劇場公開日 2020年10月3日

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「凄い映画観たよ、凄いよ…」生きちゃった まつこさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0凄い映画観たよ、凄いよ…

2020年10月15日
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タイトルみて、どんな映画かは想像出来なかったのでまずそこから知りたくなった映画。
そして石井裕也作品は絶対観たいのでみにいきました。「映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ」の時も思ったけど、石井裕也監督は映画を撮るたび撮るたび、新しい映画、それもすごく魅力的な映画を観せてくれるなぁと脱帽する。石井裕也っぽさはあるんだけど、日常的な生活やリアルな感じを撮るのめちゃくちゃ上手いんだけど、登場人物一人一人、なんか全く新しい感じがする。この映画も超凄かった。
フラットな気持ちで思い出すと、割とトラウマ映画寄りの内容ではある。今かなり自由に気ままに暮している私だから百歩譲ってこんな感想を書けるけど、家族スタイルや経験、どんな人生歩んでるかによっちゃこの映画は辛過ぎて観れない人も多いだろうな…。そう簡単に「あ〜良かった、良い映画だった」という感想を人に言いづらい展開と内容ではあった…んだ…けど…映画として作品として、素晴らしいものだった…。
ストーリーは言わないとして、俳優陣良かった。太賀も若葉竜也も大島優子も他のキャストも全員レベルが…。作品の空気感とか俳優陣の演技力が桁違いに良いとそれだけでまだ何も起きてなくても引き込まれる映画にもうカテゴリーされちゃうね。ストーリーと相まって、人間の感情や考えって、当たり前だけど喜怒哀楽だけじゃあないんだなと痛感させられる。繊細。繊細過ぎて、何かが1ミリでもズレたり、小さなすれ違いや勘違いで、次に何が起こるのか…数日後に、半年後に、5年後に、何が起こるのか分からないね。今年はそんな事考えたり反省したりする事が多い年ではあったし(私が)、この映画見て更にその思いが強くなった。教養がすごいわ…。
話の展開はかなり抑揚があるなあと思っていたけれど、ラストシーンまでためてためて作った空気感のおかげで最後、頭がパーンなったというか…映画の魅力が最大MAXになった、限界値超えた。
太賀・若葉・大島は幼馴染みの設定。
色々展開が凄すぎる、過激過ぎる、信じられないぐらい辛過ぎる、でもある意味現代の闇を如実に描いてるような気もするストーリーなんだけど、私にとっての一筋の光は厚久(太賀)と武田(若葉)の関係値だった。それがあったから、この映画を最後まで観れたし、厚久が今後の人生どんな風に過ごすのか考えようとするだけで怖いんだけど、武田がいることが変な話ほっとする…ような気がする。
あと、やっぱり俳優って演技が上手いと勿論すっごく良いんだけど、その人の生まれつきもってる人柄や人生から滲み出る何かが演技にも雰囲気にも出て来る瞬間鳥肌がたつぐらい感動するなぁ。と思いました。
そういう意味では、物語や悲しみに対する涙だけじゃない涙がぼろぼろ出て来る時間だった。
もうその役の人間が取り憑いた人達しか出て無い映画であり、そういう人達を生み出す脚本と監督とスタッフ・俳優だったんだろう。
凄いもん観たなぁ…。凄い良かった。

まつこ