「作品と作家を分けて考える」映画 えんとつ町のプペル ぽりおさんの映画レビュー(感想・評価)
作品と作家を分けて考える
作品と作家を分けて作品を評価するというのは案外難しいものです。作家なんて知らなきゃそれでいいんですが、顔を出しすぎて何ならそれが広告みたいなところもあったものだから、評判に加味された印象が強い作品です。悪い意味で。
いい点は言わずもがな映像美です。美麗だと思いますし、この手の凝りすぎた作品によくあるどこを見ればいいかわからないという点も視線誘導がうまくいっているおかげであまり感じませんでした。ただ、キャラデザは好みが分かれる印象。画にルビッチのアップが多い印象。アクションシーンにいいところもあるが、後半一部分物足りなさがあり。フレームレートはこれ以上挙げると不自然になるのでしょうか?映像の評価は4.5/5。
脚本に関しては可もなく不可もなくと感じました。劇中中盤以降にされる世界観の説明は割かし面白いんですが、説明不足なところもあり(異端審問官他)、全体的に足りない感じがしました。それとは別に”そうはならんやろ”というところもありますが、まぁ突っ込んだら負け系の作品だと思います。
作品は視聴者に感情移入させるためにエモーショナルな場面を挿入するわけですが、登場人物の知性を低下させる演出をさせると私のような年齢の上がった視聴者層は一気に冷めてしまい感情移入と逆の方向に走る場合があります。心に残らないんです。この作品でもその体感がありました。
何に時間を割いて何を削るかというのは難しいところだとは思いますが、ただルビッチとプペルの普段の生活や日常やり取りを描くだけで視聴者は勝手に感情移入してくれるのでモンタージュで済ませずそっちのシーンに時間を割いてもよかったのでは?と感じました……がここは好みの問題ですね。脚本の評価は2.5/5
音楽は悪くないですが、作中の一部で夢の礫を流すモンタージュシーンがあり、めちゃくちゃ冗長に感じました(多分本当に長い)。先述したプペルとルビッチの日常もモンタージュで済まされます。雰囲気を引っ張れるほどだとは感じませんでした。劇中音楽も普通。音楽の評価は3/5
総合
前評判よりは良いと感じました。原作とは違う部分もあるらしいですが、映画で良くあるここをこうしたほうが面白くなるのに……という点はあまり思いに浮かびませんでした。
ディズニーとタメを張れるかといえば凋落ぶり激しいディズニー相手なら張れると思います。メッセージの押し付けもあちらほどひどくないし変な知識がなければ普遍的なメッセージだと思います。でもこのご時世Dにタメ張ってうれしいかという根本的な問題がありますね。