劇場公開日 2020年12月25日

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「絵は素晴らしい動く絵本」映画 えんとつ町のプペル あやのさんの映画レビュー(感想・評価)

1.0絵は素晴らしい動く絵本

2021年1月28日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

単純

絵は素晴らしかった。一瞬しか映らないシーンでも細部まで描きこまれた町は圧巻だった。
逆に言うと、心を動かされたのは絵1点のみだった。

個人的にこの作品が好きではなかった理由が3つ
①あの素晴らしい絵をもって、アニメーションの力をもっと信じてほしい
とにかく説明めいた台詞が多かった。その台詞は作者にとって重要なメッセージだからなのかと思いますが、キャラの表情・行動だけで言いたいメッセージは十分に表せると思いました。素晴らしい絵や魅力的なキャラデザインだっただけに、もっとアニメーションの力と、観る人を信じてほしいと悲しくなりました。この辺が映画ではなく「動く絵本」と感じたところです。

②余白がなく、終始説教されている気分になった
観る人がメッセージを感じ取る作品ではなく、作者の伝えたいメッセージをストレートにぶん投げてくる作品と感じました。星を見るという観る側は誰もが知っている目標を掲げているからこそ、まるで「俺は当たり前のことやってるのに、お前らはおかしい!目を覚ませ!」と説教されている気分になり、私はちょっと息苦しかったです。
観た後に、「あれはどういう意味だったんだろう」とか「どうしてあのキャラはこうしたんだろう」と考えたくなるシーンが1つもなく、キャラクター達は「血の通った人間」ではなく、作者の考えや思いを代弁するために「動かされている人形」のようだと感じ、「人の夢を馬鹿にするな!」と訴えようとしているにしては、観る人の価値観を受け入れない一方的な伝え方に思えました。

③危うい革命家ルビッチ
ルビッチが星があると信じている理由は「父親が言っていたから」しか映画には描かれていません。
星の存在を信じてから実際に星を見つけに行くまでの間の、ルビッチの努力や行動がまったく描かれず、ただただルビッチとプペルが叩かれる話ばかりが続きます。
終盤にやっと動き出したルビッチの行動は理解できず、テロリストでは?とすら思いました。
「命令されるままに異端者を裁こうとする」異端審問官がいわゆる悪役として描かれていますが、「父の言葉を信じ町に星の存在を知らせようとする」ルビッチとの違いが分からず、またそこの葛藤も特に描かれていないため、ここの対立に心が何も動きませんでした。
「夢を追う少年」の姿であれば、父の言葉だけを信じ、周りになんと言われても見に行くために【行動し努力する】ルビッチを描いたほうが、子供に見せたい映画になるのでは?と感じました。実際西野さんもここまで相当な努力をされたのでしょうし。
叩かれる話が中盤まで続いたのは、ご本人の心情が影響してるのでしょうかね。作品としてはマイナスに感じました。

というか、これ海外でも放映されるそうですが「日本人は親の言うことを信じてテロをおこしてる映画を称賛してる」とか言われないのでしょうか。汗

個別のキャラクターの台詞などには素敵なところもありましたが、ストーリー展開が私には合わなかったです。
言葉は悪いですが、「自分の夢を信じて進もう」ではなく「バカはバカであることを自覚しろ」というテイストの方が強いと感じました。
が、CG感満のアニメに寂しさを覚えていた身としては、映像は本当に素晴らしく胸を打たれたのと、エンディング曲がとても好きだったので、0点からの加算で1点となりました。

西野さんの個人的な経緯を知っていて応援している人、先見の明があるにも関わらず人から認めてもらえない人にはグッとくる作品かもしれません。
映画の内容よりも、映画を作るまでの試行錯誤のほうがよっぽど面白かったです。
経営者として一流の方だということはよく分かったので、次回作を制作するのならば、もっと脚本を根本から見直してほしいです。
もったいないなと思いました。

(1/28追記)
以下、1/28の西野さんのブログより抜粋
******
面白かったのは、「主人公のルビッチが星を見る為の行動の動機が弱い」という意見です。
(中略)
その言い分って超分かるんけど……僕は、それを幻想だと思っています。
(中略)
今回のご意見を頂戴した時、多くの人は「動機や覚悟の後に行動がある」と思い込んでいるから、いつまで経っても行動できないんじゃないのかなぁ?と思いました。
******
この記事を読んで、次回作を見る気がゼロになりました。
言いたいことはもちろん分かります。正しいと思います。
ですが、このブログに書いてあった動画多分私も見たのと一緒ですが、理由はそこじゃないです。動機がちいさかろうがなんだろうが、行動がなさすぎるから、動機が弱いって話でした。
夢に向かって行動する大切さを子供たちに伝えたいのに、努力の部分はほとんど描かず叩かれまくってるシーンを多く描いておいて、動機が弱いと言ったら、「動機に囚われてるから行動できないんでしょう?」と言われても、いやそうじゃなくて…ってなりました。
いや、私も含めた多くの凡人が行動できてないのはおっしゃる通りなんですけどね。
この記事を読んだら、自分の正しさをひたすら凡人に理解させたいオナ○ー作品なんだと思えてしまって、私は心底嫌いになりました。次回作は見ないことにします。

あやの
masayoshi/uchidaさんのコメント
2021年2月6日

残念な人生の方なのでしょうね・・・。がんばってもきっと報われない低所得者。夢を持とうにも的外れな努力、いやその努力ってなんも頑張ってない、典型的なルーザー。他人の頑張った人々の果実を当てにする年金に述べる不満愚かな人々。自分の人生は自分で切り開けって!

masayoshi/uchida
さんのコメント
2021年1月31日

同感です。ぼくも最後のテロ行為が気になってダメでした。主人公が他者との対話もなく、一方的に断罪する内容ですしね。ドリーマーを正義とし、邪魔するやつをアンチ認定するサロンの価値観そのまま。自分と異なる意見をアンチ認定して煽る分断の手法ももう今時ね。

西野さんは、思想性がない、自分の考えを疑ってみることをしない、自己批判がないって、評論家の岡田さんに見抜かれてましたね。

誠
あやのさんのコメント
2021年1月29日

アンチとつけるなら、アンチえんとつ町のプペル派ですかね🤔
アンチと名づけれる分、興味はばりばり持ってます!

あやの
コジ52さんのコメント
2021年1月29日

この作品を見てここまで書けるのが逆にすごいです。正直、相当なアンチ西野なのかなと感じました。因みに私は西野ファンとかではなく、むしろ西野の作品というのを知らずに観た位です。海外で誤解されないか心配というのは、流石に批判がすぎるかと。

コジ52