「スピルバーグ的王道エンターテインメント・アニメ」映画 えんとつ町のプペル りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)
スピルバーグ的王道エンターテインメント・アニメ
原作の絵本や、作者の芸人さんについては見識がありません。
さて、
町中が煙突だらけで、常にぶ厚い煙に覆われた「えんとつ町」。
町は異端審問委員会によって監視されており、閉塞感が強い。
だが、町の人々はそんな閉塞感すら感じている気配はなかった。
煙突掃除で生活をしている孤独な少年ルビッチ(声・芦田愛菜)、彼には友だちがいなかった。
というのも、彼の父親ブルーノ(声・立川志の輔)が、いつも「煙の向こうには星がある」と言っていたから。
それは異端の考えだったから。
そんなハロウィンの夜、ルビッチは、ゴミから突如生まれたゴミ人間(声・窪田正孝)と出逢い、彼をプペルと名づけて、友だちになる・・・
といったところからはじまる物語。
ルビッチとプペルの出逢いのアドベンチャーは、まんま『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』のトロッコチェイスだし、そのきっかけとなるプペルがごみ収集車の上に落っこちるシークエンスは『スター・ウォーズ エピソードIV』のルークがごみ捨て場に墜落するエピソードにそっくり。
ということで、のっけから、かつて観たようなシーンの連続なのだけれど、それを悪い、というつもりはなく、スピルバーグ的アドベンチャー映画(つまりハリウッドの王道エンタテインメント)を上手く取り入れているなぁ、と感心する方が先に立ちます。
異界人と子どもの出逢いからして、『E.T.』といえば『E.T.』。
クライマックスの熱気球のアドベンチャーも、古くは『八十日間世界一周』の時代からある。
面白いものは似通ってしまうのだ、「それがどうした」的の開き直りともいえるぐらいの潔さ。
そして、物語の芯を貫くのは父と息子の物語。
これまた王道。
「えんとつ町」の秘密は・・・常識を疑え、同町圧力に屈するな、といった今日的テーマも含まれていて、意外とスパイスが効いている。
製作スタジオは、『海獣の子供』のSTUDIO 4℃。
煙もくもくの町や、圧倒的な星空などの背景の書き込みもさることながら、登場人物たちがよく動いていて、「やはり、やるな!」と思いました。