劇場公開日 2020年12月25日

  • 予告編を見る

「西野アンチとシンパの極端な声はおいといて…」映画 えんとつ町のプペル キレンジャーさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5西野アンチとシンパの極端な声はおいといて…

2020年12月27日
Androidアプリから投稿

公開1週間も経たず、あまりにも多いレビューの数。
評価も両極端。

もちろんキナ臭い何かを感じなくもないが、それは作品そのものとは別のお話。

まず、キャストに関して俳優陣は良いが芸人声優は正直なところ全員いただけない。

物語の大事なけっこうなポイントを端折っている割に、MV的な演出やエモーショナルなシーンなど極端に冗長になる。特に、韻を踏むように繰り返す最後の講談的なクライマックス演出は、鼻白む思いをさせられた。

『雲の上の話』と『海の向こうの話』って、象徴的な意味で重なるってのは分かるけど、物語が社会経済など具体的に踏み込んでいる以上、結局片方のゴールをすべての解決として語るのはどうなの?

…とこんなふうに「伝えたいこと」より「(表現やギミックで)やりたいこと」が優先しすぎてて、気になるところが目立ってしまっている。
でも、キャラクターや造形・色彩など、ビジュアルは見事。
絵本が原作という意味では、その味わいをしっかり維持しているのは大事なことだと思うし、そこにすごく助けられていると感じる。
むしろ、絵本だからファンタジーで成立していた部分を、経済至上主義への批判等を下手に盛り込んだおかげで根拠やプロセスを気にせざるを得なくなったという不幸がある。

まあ、「主人公の成長」や「謎が解ける快感」「(文字通り)闇が晴れる演出」など、映画として総合的に見て楽しめる要素は多いので、私は個人的に好きな映画ではないが、お正月映画としてオススメできる映画だとは思う。

キレンジャー