劇場公開日 2020年12月25日

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「アートは素晴らしい、ただし、最初の1/3までは。」映画 えんとつ町のプペル Imperatorさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5アートは素晴らしい、ただし、最初の1/3までは。

2020年12月26日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

グラフィックアート、特に、背景描写が観たくて、さっそく鑑賞。
すさまじい描画密度と、そのクオリティに酔いしれた。

スチームパンク的な世界観。
幾重にも積み重なる奇妙な形の建物と、いろいろな看板。
見上げたり見下ろしたりの大胆なアングル。
誰も目に留めない、室内のアイテムや壁の汚れさえも凝っている。
ライトアップされた“不夜城”の描写は、期待以上の出来映えだった。

だがその後、急速にシーンの“使い回し”による繰り返しが目立ってくる。
映像上の、新しい仕掛けも出てこない。
その結果、クオリティの高いアートは、最初の1/3までで尽きてしまった印象だ。
後半は平凡なグラフィックになってしまい、もはや新たな感動を得ることはできなかった。

最後まで魅力的だったのは、背景よりはむしろ、ルビッチやプペルなどのキャラクター・デザインだった。
ストーリーの進行とは裏腹に、煙で曇る「えんとつ町」の様々なスポットを、いつまでも探検してみたかったのは、自分だけだろうか?

Imperator