「星を見せるだけでいいらしい」映画 えんとつ町のプペル Masuzohさんの映画レビュー(感想・評価)
星を見せるだけでいいらしい
話題作と言うこともあって
予告もよく見たので鑑賞
フラットなタッチのビジュアルで
個性を見せてくる
スタジオ4℃制作とあれば
期待も出来ます
「原作者」西野亮廣に関しては
詳しくは知りませんが
ネットでの炎上ぶりなどは
度々耳に入っていましたので
まあ話題性になるなら
どうとでもやるタイプという
認識はありました
感想としては
・4℃によるビジュアルは美麗
・それに対しシナリオがあまりに退屈
・キャラの行動が不穏すぎて移入できず
・行き当たりばったりの人物描写
・貨幣経済を理解なさっているか
・露骨なメタファーに辟易
・これハッピーエンドか?
といった感じで実際に見てみると
ハッタリ気味の密度の薄い作品に
思えました
煙突の煙で空が見えない街に
暮らすルビッチ
空には星があると言い続け世間に
馬鹿にされていた父は
事故でもうなく病弱の母と二人暮らし
そんなルビッチが偶然知り合あった
ゴミ人間(この呼び方もどうよ)
にプペルと名づけ友達になり
父からもらった腕輪を落としたとか
父が言っていた星を見てみたいと
プペルに後の伏線ぽいことを
色々打ち明けますが
いじめられるから
絶対言わないでとも言います
押すなよ!絶対に押すなよ!
そもそもルビッチが何故
煙突掃除の仕事をしているのか
というと父がいないので稼ぎが
一番いいやつとか色々
言われますがハッキリしません
とにかくこの映画細かな設定に
まるで説明がなく
かといってそんなに感じ取れる
描写もない部分が多いです
全体的に煙突掃除の同僚とか
お姉さんとか色々出てくるんですが
特に説明もないので
モブと変わらない感じです
前半の展開はダラダラしてて
とにかくプペルが異端者として
追われる立場で煙突掃除の親分が
プペルをかくまいつつ仕事を
与えてくれますが
その親分も支配層の異端者を
排除するために送り込んでいた
工作員に命を狙われますが
一命をとりとめます
まあその後登場してこないので
あまり意味がなかったというか…
ただ父もそうやって殺されたのでは
ないかという疑惑を
ルビッチと母は抱えていきます
ところがこのルビッチの性格も
よくわかりません
そもそもプペルが異端者として
狙われているのを
知りながら仕事場に連れてきたり
煙突に上らせたり
プペルはゴミから出来た人間で
ゴミ捨て場から助け出したわけですから
臭くても仕方がないのですが
なんでお前は毎回洗ってるのに
臭いんだと糾弾し始めます
まあそれには理由があったのですが
ルビッチもなんか行動や言動がズレてて
キャラがつかみづらいです
人物描写が下手くそな印象です
オリラジの藤森がやってる
炭鉱堀のスコップもウザすぎて
誰だかあんまり知りたくない
感じになっちゃってます
けっこう重要キャラなんですけど
結局この煙突の町は通貨経済で
殺し合いになった世界と
隔絶するために「耐久性の低い通貨」
ですぐ消費されて回る経済を
目指したものの中央銀行ともめて
廃止させられてしまったのを
その発案者の息子が
復活させて
ゲーテッドコミュニティに
仕立て上げたと言うことでした
ここもいろいろ突っ込みどころが
あるのですがそもそも耐久性の高い
堅実な素材を使うから通貨として
成立している経済を理解してる人が
考えたとは思えません
だったら物々交換したほうが
ましでしょう
それに外界からの侵入を防ぐことが
目的なのに中の住人に
外の世界を見せない事に
すり替わっているのがよくわかりません
そしてなんか壁で隔てたみたいなこと
話してたのに海があって浜辺があって
船があるとかなんかもう
どんなレイアウトの世界なのか
最後の最後でわかりません
ルビッチはその煙をスコップが
持っている火薬で吹っ飛ばして
星を見せるという目的をもち
爆弾テロでもやるのかと思ったら
気球を作って空に上がるという
説明も一切なしに実行します
でうまくいってプペルが父の形見が
乗り移らせた父親だったのか
なんだったのかよくわからん感じで
父が悲願成就の折成仏(?)して
物語は終わります
でもこれって外からこの町の存在が
バレてしまうわけですから殺し合いする
経済社会に飲み込まれて
いくのだとしたら
ハッピーエンドなんでしょうか?
西野亮廣という人は前述のとおり
よく知らないのですが
なんか全体的に抑圧され
自分のしていることを馬鹿にされても
上を見続けて頑張っていれば
叶うといった表現の
メタファーを非常に感じる作品でした
下手すると自己啓発的な印象も
受けるのは気のせいかもしれませんが
キャラ説明の乱暴さも手伝って
目立っちゃうんですよね
ビジュアルは4℃のクオリティで
画面は見られるが中身は初めて作った
人の作品て感じのアンバランスさは
否めない作品でした