「のび太の成長譚ストーリーとして見てはいけない」STAND BY ME ドラえもん2 アロさんの映画レビュー(感想・評価)
のび太の成長譚ストーリーとして見てはいけない
ドラえもんの長編映画によくある「成長モノ」を期待して見ると酷評せざるを得なくなります。
よくある、「のび太は本来はダメダメだけど、いざという時は本気出す」が、所々出てはくるものの、カタルシス以上にダメさが強調されているため、消化不良感が残ります。
色々自分なりに解釈したのですが、この作品を「大人・子どものび太がただただ周りの人からの愛を確かめにいくだけの話」と捉えると、びっくりするくらい合点がいきます。
・おばあちゃんからの愛
・中学生から守ろうとしたしずかちゃんからの愛(プラス、ジャイアン・スネ夫からの友情)
・記憶を無くす直前の、ドラえもんからの愛
・出生時の両親からの愛
これらを、のび太が何も与えることなく、ただ自慰行為のように確認するだけの旅をしたのだと思えば、成長譚として捉えてた時に感じた矛盾や怒りが薄まります。
仮に「成長」を期待して作品を見ると、途端に不快感が出てきます。子どものび太は身代わりになって頑張ってるのでまだ見れますが、大人のび太がそれを台無しにするほどのダメっぷりなので。特に、最大にして最低の行為はやはり結婚式当日に逃げることでしょう。逃げておきながら少年期を満喫し、あまつさえトラブルを起こす。トラブルに巻き込まれただけの子どもしずかに、「守ることできたかな?」と問うてもシラけてしまいます。せめて大人のび太は子どものび太よりも少しは大人になっててほしかった。とはいえ、しずかが「そのままでいい」と言ってるように、作品テーマとしては別に「成長」は取り扱ってないのです。なので、見る側が勝手に成長を期待しても、それはそもそも作品側は望んでいない。
私も最初は「成長」を勝手に期待してました。そのおかげで、最低ランクの評価を考えてましたが、「愛」をテーマと捉えるのならば、まだ悪くはないのかな、だけど、それにしてものび太が甘えられすぎではないか、オムニバスになりすぎて愛というテーマが一本の線にはなってないのではないかな、というのが感想です。