「傑作ドラマシリーズを生んだ一人芝居」ナショナル・シアター・ライブ「フリーバッグ」 バッハ。さんの映画レビュー(感想・評価)
傑作ドラマシリーズを生んだ一人芝居
フィービー・ウォーラー・ブリッジが脚本と主演し、エミー賞にも輝いたドラマ『フリーバッグ』。シーズン1もシーズン2も大傑作だったが、もともとはフィービーが自分が演じるために書いた一人芝居用の戯曲だった。どんなものか観たいとずっと思っていたが、ドラマシリーズが絶賛を浴びたおかげか再演が決まり、その模様を収録したものが「ナショナル・シアター・ライブ」のひとつとして劇場上映された。ロンドンに駆けつけたところで英語力の問題があっただろうから、なんともありがたい。
フィービー演じるフリーバッグは、赤裸々な下ネタ、不謹慎ネタを次々と繰り出す問題だらけの主人公だが、ドラマでは次第に周囲の家族たちの方のモンスターっぷりが明らかになっていく。一人芝居ではフリーバッグの一人語りという体裁を取りながら、ほぼすべての人物とのやりとりがフィービーを通して演じられる。その巧みさにも感心するし、ちゃんとクライマックスにカタルシスを持ってくる予想以上にウェルメイドな作りにも驚いた。
作品としての破天荒さで言えば、後発のドラマシリーズの方が上だと思うが、ほぼ同じ話(だいたいシーズン1と同じ)ながら、表現持違えば印象も違う。どちらも楽しめて本当によかった。別物だと思うので、ドラマも舞台版もどっちもおすすめです。
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