パヴァロッティ 太陽のテノールのレビュー・感想・評価
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生前のパヴァロッティに関わった様々な人たちの話から、私人として、そ...
生前のパヴァロッティに関わった様々な人たちの話から、私人として、そして偉大なマエストロとして、彼の人生のピースを繋げていく。
今までパヴァロッティの映像は沢山観てきたが、改めてローマのカラカラ浴場で行われた三大テノールコンサートの場面に見入ってしまった。
3人の巨匠は勿論、観客も含めすべての人が光り輝いて見えたのは、音楽がもたらす喜びに照らされたからだろうか。
歌手としての絶頂期が過ぎても、パヴァロッティの表現力は輝きを増し続けた。
人生経験を積んだ彼の悲しみの表現がまた秀逸で、心が粉々に砕け散るような苦悩と愛が共存しているその圧倒的な表現力に驚くばかりだ。
貴重な映像をありがとうございます。
劇場のスクリーンで観ることができて本当に良かった。
【多くの人を愛したテノール歌手の大男は、多くの人の心を魅了し、太陽のような笑顔と共に記憶に残る男になった・・。ロン・ハワード監督が、優しき視点で彼の人生を描き出した素晴らしきドキュメンタリー映画。】
■印象的なシーン
・パヴァロッティがパン屋でテノール歌手だった父の影響でオペラ歌手を目指す決意を後押ししたのが、彼の母親であった事。
ー母親の慧眼に驚くと共に、彼の女性に対する優しさの由来はここから来ているのではないか・・-
・パヴァロッティが史上最高のテノールと言われていたディ・ステファノの代役でステージに立ち、高音域Hi-Cを炸裂させ、大成功を収めるシーン。その後も彼は「連隊の娘」でHi-Cを9回披露し、確固たる地位を築いていくシーン。
ー若き頃の破竹の勢いと、持ち前の高音域の強さをフルに発揮した歌唱シーンに震える。又、彼はこの後も”代役”がきっかけで、別領域の音楽世界へも進出していくのだ・・。-
・最初の妻と三人娘たちとの関係性。特に娘さんのジュリアーノが病に侵された時、周囲からの非難もものともせず、公演を全キャンセルし、傍についてあげる姿。
ー後年の娘たちとの確執も、幼き時の父親のふるまいを見ていれば、時間はかかるが、氷塊するよなあ・・。良き父親であった数々のシーン。-
・1987年、若き天才テノールと謳われていたホセ・カレーラスが白血病に侵され彼を見舞うパヴァロッティ。そして、彼の復活を祝って行われたローマ・カラカラ浴場でのプラシド・ドミンゴを誘っての3人の感動的な競演シーン。
ー普通は、”俺が、俺が”となるところを(もともと仲が良かった三人であるそうな)舞台上で”三人で話し合い、君が、君が・・”と譲り合って歌うパートを決めるシーン。
そして、最後の揺れるような万雷の拍手とスタンディング・オベーション。
素直に感動する。-
・1991年、イギリスを未曽有の暴風雨が襲い、チャリティコンサートを開催した際に激しい雨の中、自ら傘を閉じた(そして、徐々に民衆も傘を閉じていく・・)ダイアナ妃を見つめてパヴァロッティが歌った(と見えた・・)「見たこともない美人」
ー故、ダイアナ妃はパヴァロッティからユーモア、人を心から愛する気持ちを貰い(そういった時期だった・・)パヴァロッティはダイアナ妃からチャリティの大切さを学んだのだな・・。
二人が楽しそうに話をする写真の数々。-
・1992年、METでコンサート予定のブルース・スプリングスティーンがキャンセルした後釜を必死で探したプロモーター、ハーヴェイ・ゴールドスミスが必死になって見つけた”代役”とは・・。
ー成程、ここからロック界との交流が始まったのか・・。全く覚えていないぞ・・。-
そして、パヴァロッティは「パヴァロッティ&フレンズ」として、スティングたち、ロック界の大物と同じステージに立つ。だが、オペラ界からは良く思われず・・。
◆観客たちの言葉
”彼の”あの声”を聴きに来たんだけれど、そこまでではなかったね・・”
ーこういったオペラ界の反応に対しての、U2のボノの言葉が素晴しい・・。
”歌の事が分かってないね。彼の今の声は様々な経験を重ねてきたから出る声なんだ・・”
つまりは、パヴァロッティの若き頃のテノール声は横隔膜をフルに活用した、Hi-Cを武器にしていたが、老年期に入れば歌い方も変わるし、観客もいつまでも昔のパヴァロッティを追うな!という事が言いたかったのではないかな・・。-
・又、パヴァロッティがボノにシツコイマデニ歌を書けよ!と迫るシーンもユーモアが漂い、微笑ましい。それにしても、凄い押しである。
”今、ダブリンにいるんだよ・・By ボノ”
”うん、今、僕もダブリンに着いたところ・・By パヴァロッティ”
笑ってしまったよ。でも、あの笑顔で攻められると、断れないし、憎めないんだよなあ。
■そして、ラスト
パヴァロッティの「誰も寝てはならぬ」の心に染み渡る歌声で映画は終わる・・。
<3人の女性と子供たち、ダイアナ妃、ロック歌手たち、そして何よりもオペラを愛し、人間を愛したパヴァロッティのユーモア溢れる姿、ちょっと我儘な姿も含めて優しき視点でロン・ハワード監督が一人の大男の人生を描き出した素晴らしきドキュメンタリー映画である。>
パヴァロッティおじさんの美声に酔う!
久しぶりに映画館へ
キングオブハイC=ルチアーノ・パヴァロッティが生きて歌って愛する姿をたどる115分はひとときの夢のような時間でした
中でも農夫役の彼が愛らしくて忘れられない
だれも寝てはならぬと言ったのに…。
神に与えられし才能とは、容姿や声や音楽センスだけに在らず、
その環境がほとんどだといつも思う。
たとえばビヨンセが貧困家族の中で生まれていたら、
たとえばメッシがサッカーとは無縁の環境で育っていたら。
ルチアーノもまた、親に恵まれた。
背中を全力で押してくれる仲間に恵まれた。
だから彼は太陽でいられた。
そう確信したドキュメンタリー作品だった。
今回、大好きなロン・ハワードが監督をやるということで、
どんなことになるのか相当ワクワクしていたけれど、
なんと彼の得意な美しい映像はほとんどなく、
ルチアーノの歌=美しさに焦点を絞り切った作品となった気がする。
そうさ、美しさを語る時、余計なものは一切要らない。
そんなコメントが聞こえてきそう。
そして殆どの方が彼の十八番「だれも寝てはならぬ」の部分や、
三大テノールの映像を評価していたけれど、
私は彼の最後の舞台に一番心を揺さぶられた。
年老いて、高音も出なくなり、声に張りもなくなったと誰もが酷評した後の、
あの圧巻の歌唱力と表現力は言葉では言い尽くせない。
日々、老いるという恐怖に怯えながらも、
自分自身を信じ切って到達した、まさにあそこが頂点なんだと感じさせられた。
私もたったひとつの優れた才能と恵まれた環境で、
重圧に耐えながら慈善事業して朽ちていきたかった。
さようならルーチェ(伊語で光)。
もう一回ドルアトで観に行こうと思う作品。
ドキュメンタリーとしては…
彼の才能と功績を再確認する映画。
もちろんステージのシーンは圧巻。
有名な曲をじっくり見せてくれる。
今回あえてドルビーアトモスで観賞したのは非常に意義があった。
3大テノールの競演映像も、久しぶりに見て「素晴らしい」の一言に尽きる。
いろいろなインタビューや番組で見せるチャーミングな人柄もまた好感。
ただ、俗な言い方で申し訳ないが、いわゆる「ファンムービー」的な要素が強くて、ドキュメンタリー映画としては評価しにくいというのが正直な感想。
「歌の才能は言うまでもなく、人間的にもユーモアに溢れて社交的、家族思いで芸術への造詣も深く、後進の指導にも熱心で慈善事業にも力を尽くしました」とさ。
もちろん輝かしい半生なんだけど、それはほぼ「公式プロフィール」。彼のファンならある程度皆知ってることなんじゃないの?
妻以外の女性を愛してしまったことは、彼にとって本当にあるべき結末だったのか、クリスチャンである彼に罪深いという意識はなかったのか。
その後バッシングを受けた当時をどう振り返るのか。
そんな、表には出ていない、ここで明かされる秘密、その他オペラ歌手として天才ゆえの葛藤や苦悩や孤独は無かったのか。
そういった彼の内面的な戦いへの掘り下げがもう少しあると、彼の人間としての深みがより強く感じられたと思う。
(もちろん部分的に内面を語ろうとするシーンはあるけど、どれもチラッと触れておしまいなんだよね。)
もちろんパヴァロッティがあらためて好きになる映画ではあるのだが、とても表層的な部分しか語られていない気がしてスッキリしなかった。
オペラ素人でも楽しめる人間の魅力
パバロッテイが、愛し愛されてちたことが、すごく伝わってきた。
この作品でオペラ初見で、彼の名前すら初めて知った私ですが、
少し愛おしさを感じてたもの。
しかし、「透明で分子が見える歌声」って表現がスゴい!
オペラには、まったく馴染みがないが、歌声の力は共通で、
彼の歌う声は、スクリーン越しでも鳥肌立ったし、身体が包まれていって、ホワってなる感じがした。
ローマでの三大テノール歌手の共演
あの場にいたら歓喜の涙で号泣するのは必至だな。
ダイアナ妃とのエピソードもステキ!
ボノとの友情
パバロッテイがグイグイ行くのに振り回される感も笑ってしまった。
「歌に生きてたんだ」
ジャンルは違えど、音楽に生きる二人は解りあってたんだ。
このドキュメンタリー、その分野に詳しくない人、専門的な知識がない人も
きちんと楽しめて、ものすご~く良かった!
オペラがこんなに幻想的なんて知らなかった
パヴァロッティが歌うたびに涙してしまう、この声の不思議な力に感無量だった。
語られていた通り、彼の声は人々を惹きつけ幸せにする、その高揚感はスクリーンからも感じとれる。
ロックとのコラボも大胆で実験的ユーモアも感じさせ、何より楽しそうだった。
ボノのインタビューから人柄が見えて、ますます楽しい気分を味わった。
3大テノールの共演シーンは凄かった!
スクリーンで観られて良かった。
棺の上にはヒマワリが
やっと我が町の小屋にも、マエストロ・パバロッティがやってきてくれました♪
歌唱のフィルムは当然ですが、パバロッティを愛し愛された女性たちもみな美しいこと美しいこと。
魅せるドキュメンタリーです。終始飽きることはありませんでした。
ドラマ仕立てです。作りが非常にこなれているのです。
ストーリーと曲目(の歌詞)が必ず対になって構成されています。
録音と整音も職人技。なぜなら機材も時代もバラバラの断片的録音を、あそこまで音質もボリュームも違和感なく揃えて仕上げているから「ひとつの音楽映画」として全編の流れが成功しているのです。
そして
近親者たちのインタビュー。
妻や娘たちは浮き名を流したパバロッティへの非難やわだかまりも隠しませんが、でもあれだけの怪傑(快傑?)で、それぞれの家庭に潤沢なお金も遺したのであれば「仕方もあるまいな」と家族は肯定的に捉えられないものだろうか?
ダメかなー?(笑)
だって、
パバロッティは、世界のものなのだから。
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オペラのハイライトや、
ソロコンサートはもちろん、
そしてピアノ伴奏で歌う
トスティの「小さな唇」、
ストラデッラのPieta' Signore!
「主よ、憐れみたまえ」が素晴らしかった。
確かに、あの人柄と声に心がわしづかみです、ちょっと泣きそうでした。
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愛嬌のあるあの顔は一度見たら忘れられないですね。
そっくりさんが本人役でオーディションの審査員をするのは「ワンチャンス」。
⇒携帯販売店の店員がオペラ歌手を目指します。ベネチアの観光映画としても〇
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観る前のコメント。2020.9.6.
三人三様
予告編で知りました。劇場での鑑賞を楽しみにしています。
DVDではダメですよね、例えヘッドフォンしていても。
三人三様です。
常に「自分が自分が」と巨漢の体とあの声でステージのセンターに当然のように陣取って憚らないパバロッティと、
対して線が細くて未だに“対人恐怖症”を克服出来ないカレーラス。(可哀想で応援してます笑、でも誰にも負けないトスカ「星は光りぬ」はカレーラスだけのもの)。
そして別路線を歩きつつパバロッティの誘いには付き合う大人の判断はドミンゴ。
この三人と、取り巻く友人たちのインタビューとか、これは興味津々です。
ニューヨークまで行くのは大変だし、チケットは取れないし、タキシードは持ってないし(笑)
1800円でコンサートに連れて行ってくれるのは助かります。
「オペラ対訳プロジェクト」という動画サイト、オススメですよ。
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声楽はなま物。
旬は短い。
なんとしても行くべき舞台はある。
ソプラノのスミ・ジョを東京で逃したのは僕の人生最大の失態。
ジョルジュ・ドン「ボレロ」を京都で観たのは僕の人生最大の宝。
鳥肌。
あまり知識はなく。
それでも、鳥肌たちまくり。
ロックとやったり、三人でやったり。
一般の人には、大きく近くしてくれたと思う。
ボノのインタビューは、もう少しボノ、キレイな格好で出て欲しかったな。歳をとったなあと。
新鮮味はない
物凄くテノールに詳しいわけではないが、いわゆる無知な自分でもパヴァロッティの存在は知っている。それほど有名で偉大な人物。
この作中で描かれている人物像に関しては特段新鮮味がなかった印象。以前スカパーかなんかで彼の特集を何度か見てしまった事もありその時描かれていた事とあまり変わらなかったかなといった感じの印象を受けてしまった。
もちろん彼の歌うシーンは鳥肌が立つ。ただそこに興奮するのならこの作品ではなくまた別のものを目にする方がもっともっと彼の魅力に引き付けられる。
個人的にはこの作品はパヴァロッティへの追悼の意を込め表したファンのためそして、死後テノールに興味を持ち彼の生前を知らないテノールファンのための作品かなと思った。
彼の存在を一つの作品として残す意味は強く感じた。
自分の思い出とシンクロしたシーンだけ泣けた
自分は、たまたま見た深夜番組でソロで歌ってる彼を見て感動してファンになりました。
その後、ロックと一緒にやったり、3大テノールとかあったんですが、そこのシーンでは見事に泣きっぱなしでした。
他はそんなでもないかな。
ロバート・ゼメキスって言うから、普通のドキュメンタリーとは違う演出があるかと期待したんですがね。
新しい妻の話しでは周り同様、ちょっと興醒め。35歳以上離れた妻と恋に落ちたなんてホントかね。
でも前妻もちゃんと出演してたので、安心しました。
家族もみんな幸せそうで。遺産もすごそうですな。
冒頭から鳥肌
オペラもパヴァロッティも名前は知っていても薄い知識。それでも、冒頭のパヴァロッティの歌には一気に鳥肌。
枠にとらわれず、自分の声だけを武器に社会活動にまで広げ、世界中に感動を届ける。
何よりその屈託ない笑顔。素朴な人柄と言われるゆえんが映像から伝わってくる。
神からもらった才能と人は言うけれど、それだけではないことも語られている。
努力の人。人に教えを乞うこと厭わず、人に教えることを、惜しまない。
最初の妻が「あの声に恋しないなんてありえない」と。まさに。
あの笑顔と、あの歌声を聞いたら、惚れてまうやろ!
パヴァロッティの歌を大音量で聞きたい!コロナが収まったら、オペラを見に行こう!
イタリア人のいいところ満載、同時に普遍的なテノール歌手
パヴァロッティの人生の局面に合わせた選曲が素晴らしかった。声を出して笑ったり、微笑んだり、嗚咽して泣いてしまったりで観客の自分も大忙し!楽観主義パヴァロッティの笑顔とウイットに富んだ言葉の数々、その裏側にある神経質さが心に沁みた。
パヴァロッティが音大生に教える場面はとてもかっこよかった。白いハンカチの由来もわかって嬉しかった。彼の旅支度の大変さ、イタリアの食材山ほど運搬、運ぶスーツケースはえっと30以下だけど25以上!
ドキュメンタリーというのはとても難しいジャンルだと思う。この映画は映像も音も美しい。パヴァロッティの生き方の転機となった人たちとの出会いや事柄が映像とインタビューで再構成され、ナレーション無し、冗長な話も映像も一切なかった。全て必要不可欠なパズルのピースで成り立っていた。
インタビューを受ける人達が、楽しかったとき、つらかったとき、驚いたときを語ることで、彼らの人生も知ることができた。変わりゆくまたは重苦しい世界情勢を背景に、パヴァロッティが何をして与えたのかが具体的に描かれていた。
私は最初にドミンゴが好きになり、その次はカレーラスだった。パヴァロッティは声は素晴らしいけど大きい人だから演じる役割が限られるのではなどと思い、あまり関心がなかった。だけどこの映画で彼が何をしたのかわかった。監督の手腕なんだと思います。いい映画でした、本当に。
自由人として・・・
ピンと張り詰めたピアノ線のような硬質な声にもかかわらず、なぜか温もりがあるパヴァロッテイの歌声。三大テノールの一人として、頂点を極めたにもかかわらず、オペラの世界から、ロック歌手やポップ歌手達と共演する、枠に収まりきらない生き方は、多くの女性を魅了し、私生活においても自由人そのままであった。天才ゆえの孤独感を抱きながらも天真爛漫に生きる彼の人生は、男性にとって羨ましく映る。晩年、病魔に襲われても、自由人として人生を全うした一人の男がここにいる。
彼の歌い終わった後の表情が彼の人生のすべてを物語っている。
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