「棺の上にはヒマワリが」パヴァロッティ 太陽のテノール きりんさんの映画レビュー(感想・評価)
棺の上にはヒマワリが
やっと我が町の小屋にも、マエストロ・パバロッティがやってきてくれました♪
歌唱のフィルムは当然ですが、パバロッティを愛し愛された女性たちもみな美しいこと美しいこと。
魅せるドキュメンタリーです。終始飽きることはありませんでした。
ドラマ仕立てです。作りが非常にこなれているのです。
ストーリーと曲目(の歌詞)が必ず対になって構成されています。
録音と整音も職人技。なぜなら機材も時代もバラバラの断片的録音を、あそこまで音質もボリュームも違和感なく揃えて仕上げているから「ひとつの音楽映画」として全編の流れが成功しているのです。
そして
近親者たちのインタビュー。
妻や娘たちは浮き名を流したパバロッティへの非難やわだかまりも隠しませんが、でもあれだけの怪傑(快傑?)で、それぞれの家庭に潤沢なお金も遺したのであれば「仕方もあるまいな」と家族は肯定的に捉えられないものだろうか?
ダメかなー?(笑)
だって、
パバロッティは、世界のものなのだから。
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オペラのハイライトや、
ソロコンサートはもちろん、
そしてピアノ伴奏で歌う
トスティの「小さな唇」、
ストラデッラのPieta' Signore!
「主よ、憐れみたまえ」が素晴らしかった。
確かに、あの人柄と声に心がわしづかみです、ちょっと泣きそうでした。
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愛嬌のあるあの顔は一度見たら忘れられないですね。
そっくりさんが本人役でオーディションの審査員をするのは「ワンチャンス」。
⇒携帯販売店の店員がオペラ歌手を目指します。ベネチアの観光映画としても〇
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観る前のコメント。2020.9.6.
三人三様
予告編で知りました。劇場での鑑賞を楽しみにしています。
DVDではダメですよね、例えヘッドフォンしていても。
三人三様です。
常に「自分が自分が」と巨漢の体とあの声でステージのセンターに当然のように陣取って憚らないパバロッティと、
対して線が細くて未だに“対人恐怖症”を克服出来ないカレーラス。(可哀想で応援してます笑、でも誰にも負けないトスカ「星は光りぬ」はカレーラスだけのもの)。
そして別路線を歩きつつパバロッティの誘いには付き合う大人の判断はドミンゴ。
この三人と、取り巻く友人たちのインタビューとか、これは興味津々です。
ニューヨークまで行くのは大変だし、チケットは取れないし、タキシードは持ってないし(笑)
1800円でコンサートに連れて行ってくれるのは助かります。
「オペラ対訳プロジェクト」という動画サイト、オススメですよ。
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声楽はなま物。
旬は短い。
なんとしても行くべき舞台はある。
ソプラノのスミ・ジョを東京で逃したのは僕の人生最大の失態。
ジョルジュ・ドン「ボレロ」を京都で観たのは僕の人生最大の宝。
きりんさん、棺の上にヒマワリ、で、私、もう泣いてしまいました。映画見て感動してたくせに、お前ちゃんと見てないじゃん!と自分につっこみました。ありがとうございます、きりんさん。