「限られたフィールドで展開されるゾンビコメディは一歩前に出ることができない…」リトル・モンスターズ バフィーさんの映画レビュー(感想・評価)
限られたフィールドで展開されるゾンビコメディは一歩前に出ることができない…
『ロボコップ』の新作監督に抜擢されたエイブ・フォーサイスが監督する作品でアメリカではHulu配信スルーになってしまった作品。日本では、ヒューマントラストシネマ渋谷&シネ・リーブル梅田で開催の「未体験ゾーンの映画たち2020」で期間限定上映されていたが、事実上はDVDスルーに近い扱いとなっている。
遠足に来た先生と子供たち、先生目当てで付いてきたフェリックスの叔父がゾンビ騒動に巻き込まれ、子供たちを怖がらせないために必死に本物のゾンビだと気づかせないように奮闘するというコメディ。
例えば火って触りたくないと思うが、何かに引火してしまって、ほっといたら火事になってしまうという状態に直面したら、必死に手でも火を消そうとする心境に似ていて、 本当は怖くて仕方ないが、子供に知られると収拾がつかなくなるため、ウクレレを弾きながら歌を唄ったりして、気づかれないようにゾンビを殺すという、常に危機迫る環境下、ゾンビより大変なのは騒ぎ出した園児、正に「リトル・モンスターズ」という状況にならないようにという極限の心境をルピタ・ニョンゴの演技力によって表現されている。
噛まれたら感染するというゾンビのお決まり設定はそのままでも良いと思うが、全体的に設定がフワっとしていて、動物とのふれあい農場内がメイン舞台ということで行動範囲がとにかく狭い。
そのため、無駄に展開を促すキャラクター達の不自然な行動やバカな失態が映画の尺を稼いでる気がしてならない。
アメリカが配信スルーしようとした理由は、映画を観ればわかると思う。今では有名女優となったルピタ・ニョンゴの存在感によって、外観的クオリティは保たれているがどうもテレビ映画臭さがぬぐい切れていないのだ。
何故か音楽でゾンビの行動を抑制できるという設定は、もっと使うべきだったと思う。そうすることでお遊戯のようにゾンビと遊びながら逃げるというカオスな状況を作りだすことができたのではないだろうか。
この映画の最大の疑問…フェリックスは、あの状態からどう逃げ出したのだろうか….