「いやー、いい話です。青春って、いつの世もちょっとほろ苦い」わがままなヴァカンス コタツみかんさんの映画レビュー(感想・評価)
いやー、いい話です。青春って、いつの世もちょっとほろ苦い
明らかにスケベ心全開で観ていたら、最後に穢れのない目の覚めるような一撃を喰らって、思わず膝をついてしまった作品。おっと、そう来るのね、鼻の下伸ばしていてごめんなさい!ってな感じ。
刺激を求め、男を虜にする従姉妹に憧れながらも、背伸びしきれない主人公ネイマの揺れ動くピュアな心が、最後はまぶしく美しい。そして、その光を優しく見守る中年紳士フィリップのかっこよさ。「君には価値がある。多くの価値がね」。短い言葉だけど、しびれました。
高級クルーズ船や別荘地でのディナーなど、美しい海辺の町カンヌを舞台に16歳の少女が経験する一夏の魅惑的かつ刺激的な体験。ではあるんだけど、少女は男たちを魅了する従姉妹をはじめリッチな人々との非日常を経験する中で、お金持ちであること、自由であることとは何かを感じ取っていくのだ。
そして、思いがけない出会いと体験、一夏の甘く苦い思い出が、少女を一歩前へと進める。
冒頭の「人生で最も重要なのは職業の選択だ。しかし、それは偶然によって決まる」というパスカルの言葉が、あとあと響いてくる演出が心憎い。
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