「意外に素朴なストーリーに好感」わがままなヴァカンス きりんさんの映画レビュー(感想・評価)
意外に素朴なストーリーに好感
何気に借りたDVD、
なかなか良かったです。
別作「アデル、ブルーは熱い色」にどこか似て、年頃の女の子二人の物語。
何かと目立つ存在の従姉妹のソフィア(「アデル~」ではレア・セドゥ演じるエマのタイプ) ではなく、この派手なソフィアの影で地味に隠れていたナイーマに大輪の花が咲くという物語。
南欧のフランス語は、北の大都会パリの言葉と違って柔らかいですね。
カンヌで遊ぶセレブリティの映画はいくらでもあるけれど、そこに住む人たちの「労働者階級の目に映った来訪者=ヴァカンス客たちの姿」という視点は、興味深いものでした。
終盤、港で、フィリップに別れを告げるナイーマと彼のやり取りが、子供相手でもフランス流儀の粋な会話なのです―
「いいヴァカンスだったかい?」
ナイーマ「ウイ」
フィリップ「ノン」
ナイーマ「ウイ」
フィリップ「ノン」・・
傷ついたはずのナイーマが「ウイ」と応えて夏が終わる。
私は子供じゃないと意地を張っていたナイーマの、大人への脱皮。
エンディングでの厨房で働くナイーマの横顔の綺麗なこと。
遊び人の ひげのアンドレはともかく、物静かなフィリップはナイーマを忘れないでしょうね。
僕はイタリア・カプリ島では昔数日過ごしたことがあるんです。紺碧の海と陽光。ストローハットに麻のジャケット。GUCCIのサングラスにメッシュの靴。良く日焼けしたヨーロッパ各国からの本物のセレブたちの賑やかさとお洒落ないでたち。そして滞在中にはお世話になった安宿の女将さんや洗濯屋さんの親切を思い出しました。
ああ、海を見たい。
コロナ禍で、カンヌもいまは寂れているんだろうな・・
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