「大切なのは今ある関係、触れられる相手」ナンシー shimoさんの映画レビュー(感想・評価)
大切なのは今ある関係、触れられる相手
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映画「ナンシー」(クリスティーナ・チョー監督)から。
「嘘をつくことでしかコミュニケーションを取ることができない女性」
それが、主人公・ナンシーだというのだろうが、
今やネットの世界では、デマや嘘は驚くほど氾濫しているし、
彼女の嘘が、そんなに社会に影響を与えているとも思えない。
人付き合いが苦手な彼女が、
他人の関心を集めるために嘘ばかりついていた、という設定は、
あまり特別感はないし、そんなに驚かなかった。
この作品を「サイコスリラー」とジャンル分けした方が、
大きな間違い、嘘じゃないのか、と思うほど。(汗)
さて、5歳で行方不明になった娘を30年間捜し続けている夫婦と、
もしかしたら私かも・・と思い込む主人公のナンシーの出会い。
お互いが、やはり人違いだったと気づいていたが、
それでもしばらく一緒に行動すると、親近感が湧いてくる。
さらに暗い表情の中に、彼女の優しい一面を見ることもある。
30年間娘を待ち続けていた女性は、やはり違ったと理解した上で、
ナンシーを抱きしめて、こう耳元で囁く。
「大切なのは今ある関係、触れられる相手。
愛してる、無条件で・・」
特に、人の温もりを感じる「触れられる」関係は、
30年間、忘れていた関係だったのかもしれない。
ハッピーエンドじゃなかったけれど、なぜか温かさを感じたなぁ。
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