「けれどもほんとうのさいわいは一体何だろう? 美しき若草たちよ、永遠なれ✨」ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語 たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
けれどもほんとうのさいわいは一体何だろう? 美しき若草たちよ、永遠なれ✨
1868年に刊行された児童文学の名著『若草物語』と、1969年に刊行されたその続編『続若草物語』を、現代的な解釈を加え新たに映像化。
それぞれの幸せを追い求めるマーチ四姉妹の姿を描きだすウーマン・シネマ。
監督/脚本は『レディ・バード』『犬ヶ島』(出演)の、女優としても活動しているグレタ・ガーウィグ。
四姉妹の次女にして作家、ジョー・マーチを演じるのは『グランド・ブダペスト・ホテル』『レディ・バード』の、名優シアーシャ・ローナン。
四姉妹の長女、メグ・マーチを演じるのは『ハリー・ポッター』シリーズや『美女と野獣』のエマ・ワトソン。
四姉妹の末っ子、エイミー・マーチを演じるのは『トレイン・ミッション』『ミッドサマー』のフローレンス・ピュー。
資産家の跡取りにして四姉妹の古くからの友人、セオドア・ローレンスを演じるのは『インターステラー』『君の名前で僕を呼んで』のティモシー・シャラメ。
四姉妹の伯母を演じるのは『プラダを着た悪魔』『マンマ・ミーア!』シリーズの、レジェンド女優メリル・ストリープ。
👑受賞歴👑
第92回 アカデミー賞…衣装デザイン賞!
第25回 放送映画批評家協会賞…脚色賞!
第73回 英国アカデミー賞…衣装デザイン賞!
舞台・映画・ドラマなど、何度も映像化されている超有名アメリカ文学作品が原作。
「世界名作劇場」でアニメ化(1987年)されているため、日本での知名度も高い作品であります。
主人公ジョー・マーチには作者であるルイーザ・メイ・オルコット本人の人生が投影されており…って、そんなこと今更言うまでもないですね💦
まず申し上げておきますが、わたくし『若草物語』を読んだことがございません!
アニメも観たことが無いし、舞台はおろか映画やドラマなどの映像作品も完全に未見。
なんか『赤毛のアン』みたいな話なんでしょ?くらいのふわっとした印象のみという、完全なる無知の状態での鑑賞であります。
「今更『若草物語』なんて古臭い作品、観る気起きない〜…😮💨」
とか思っていたのですが!が!が!!
いざ鑑賞してみてぶっ飛んだ!凄まじく素晴らしい映画じゃあないですか!
冒頭、小説が売れたことに対する喜びを抑えきれないジョーの、スカートをたくし上げながら群衆の中をダッシュするという描写。もうこれだけで、この映画が傑作であることがわかる。ただ爽快感のある印象的なシーンというだけではなく、ジョーというキャラクターの説明とこの物語全体を通して描こうとしていること、それらを短い時間で端的に描き切っています。上手すぎるっ!👍
この冒頭のシーンをはじめ、とにかくジョーは生命力に溢れパワフル。
こんな女性が身近にいたら、そりゃローリーじゃなくても惚れる💖結婚しなくて良いから側にいて欲しい…。
構成のうまさ、ビジュアルの美しさをのぞいても、ジョーを魅力的に描けているというだけで100点満点がすでに出ちゃっていますこの映画。
魅力的なジョーにメロメロになると同時に、自らの夢に向かって真っ直ぐに進む彼女の姿に共感せずにはいられない。
自分自身とジョーを重ねてしまうからこそ、華やかな少女時代と灰色な日常を送る現在とのギャップに胸が締め付けられ、もう中盤くらいからは涙がとめどなく溢れてしまった…😭
結婚だけが女の幸せではないと確信するジョーのパンキッシュな魂と、それでも揺れ動いてしまう孤独な心のせめぎ合い。それこそが本作の見所。
それが終盤まで最高のバランスで描き込まれていたからこそ、物語が終着点へと向かうにつれてどんどん不安が募り始める。
メグの夫婦仲は改善し、ローリーとエイミーは結婚。「結婚だけが女の幸せじゃない」というメッセージがだんだんと揺らぎはじめ、極め付けにベア教授がジョーの元を訪ねてきたところでその不安は現実のものに。
いや結局結婚するんかーいっ!💦これまでの話は何やったんや一体…。
と思わせておいてからの、まさかのクライマックス。いやこれにはやられましたね正直なところ。観客の意識の隙をついた完璧なカウンター一閃!🤜💥
これは完璧すぎる現代的な解釈!ロバート・アルトマン監督の『ザ・プレイヤー』(1992年)を髣髴とさせるそのエンディングは、価値観を押し付ける世間の風潮や商業主義に染まった「ロマンス」を売り物にする業界へ強烈なファッキューをかましつつ、創作に携わる人間を無償の愛で包み込む。
ここまで完璧な古典のリコンストラクションは観たことが無いかも知れません。
一点気になったことを述べるとするなら、キャストの年齢。
四姉妹のキャスティングが完璧だったことは間違いない。
…間違いないのだが、この映画は現代と過去、7年という時間を振り子のように行ったり来たりする。
ジョーの年齢は明言されていないが、クライマックスの彼女の年齢を25歳くらいとするならば回想での彼女は17〜8歳、エイミーの年齢はそれよりももっと若いことになる。
超好演しているとはいえ、さすがにシアーシャ・ローナンやフローレンス・ピューがティーンエイジャーを演じるということにはちょっと違和感。特に演劇に夢中になるという少女らしさ全開のシーンなんかは結構な無理矢理さを感じてしまった😅
もう一点述べるとするなら、確かにエマ・ワトソンの方がシアーシャ・ローナンよりも歳上。歳上なんだけども、童顔のエマに対してシアーシャはかなり大人びて見える風貌なため、エマとシアーシャの姉妹関係が逆に見えちゃう。割と中盤までジョーが長女でメグが次女だと思ってた。
それとフローレンス・ピューと三女ベスを演じたエリザ・スカンレン。この2人だとどうしてもピューの方が大人に見える。というか実際ピューの方が歳上だし。
だから本来メグ>ジョー>ベス>エイミーという姉妹関係が、ジョー>メグ>エイミー>ベスに見えちゃうのです。
まあこの姉妹関係に関しては、誰が長女で誰が次女だろうと物語上なんの影響も無いので別にどうだっていいっちゃいいんだけど、気になることは気になる…。
なんのかんのと書いてますが、ともかくこの映画は隅々まで美しい✨
アカデミー賞を受賞した衣装デザインはもちろん、1860年代の街並みや家具や食事なども眼を見張るほどの華やかさ。
そして何より、四姉妹のえも言われぬ美しさ💕
特にシアーシャ・ローナン、綺麗すぎてビビった!ロングもショートも似合い過ぎ。ボーイッシュな衣装も素敵。
もうわたし、完全にシアーシャ・ローナンの虜であります…。はあー尊い…😍
今後『若草物語』を映像化する際、絶対に避けては通れないであろう文句無しの傑作!
150年以上昔の古典を換骨奪胎し、見事なまでの守破離を見せてくれたグレタ・ガーウィグ監督の手腕に惜しみない拍手を送りたい👏
※原題は『Little Women』。これが『若草物語』の原題なんですね。知らんかった。
『Little Women』を『若草物語』と訳した訳者の方、本当に素晴らしい詩的センスを持ってらっしゃる✨
それにひきかえ、この映画の邦題を決めたヤツのセンスの無さ…。よくこんなにダサい邦題を考えられたな。逆に凄いわ。
たなかなかなかさん、女優の年齢までご存じなんですね。エマ・ワトソンは確かに長女に見えなかったですが、それと、私のメグのイメージは善良で長女の責任感もあるけど平凡な女性なので、知的なイメージのエマ・ワトソンでなくても、と思いました。ベスは純粋無垢なので、絵もやりたい、魅力的にもなりたい、といい意味で貪欲なエイミーの方が大人っぽくなるのは有り得ると思います。
たなかなかなかさんへ
たくさんの「♥共感」ありがとうございます。頂いた共感作品はレビューが多過ぎて、たなかなかなかさんの投稿内容が確認出来なくて残念ですが、今後共、映画.comでのお付き合いの程、宜しくお願いいたします。