「米国ローティーン女子(女子中学生)の為のお花畑映画」ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語 YAS!さんの映画レビュー(感想・評価)
米国ローティーン女子(女子中学生)の為のお花畑映画
ローティーンにターゲットを絞った映画なので、50過ぎのおじさんが見るべきものではなく
お花畑の中で進行する「ものがたり」は設定や経済状況等”難しい事”には突っ込む冪ではない。
女子中学生用映画なので、男優は脇役に至るまで、上玉を起用するが、
全ての男は「ご都合主義の脇役」に過ぎず
父親でさえ、ストーリーの味付けのみに従事し、重要なファクターにはならない。
流石に主人公は”存在感ある美人”だが、姉妹を含む
登場する他の若い女性は同姓からのジェラシーを生ませないように不美人を起用。
主要な役者以外には演出がされていないので、
両御大女優をはじめ、セリフの棒読みで”ものがたり”は捻りもなく浅く進行する。
監督が主要人物以外に演出の興味がないのならば、個々役者の腕に任せずに
優秀な演出助手を起用する冪だった。
物語の進行は原作とは違い、多々の過去エピソードを絡める構成に成っているが、
ベースとなる時代進行が安定していないので
作品としてはまとまりがないものになってしまった。
本作に言いたいことがあるのならば、
もっと起承転結よく、完結に物語を進行させる冪。
不要なエピソードを省かずに、4姉妹へ個別の光を当ててしまったので
1本の映画として、まとまりがつかないものになってしまった。
時間軸以外にも「夢」や「過去の過去」等
場面展開に対する脚本処理がお粗末。
編集も下手なのと、監督の演出がまるでできていない。
エピソードを絞らずに、たくさん入れ混んだ事で、1つ1つが散漫になり
深みがなくなり、各所で混乱を招いた。
そのエピソードの多さを監督自身が危惧し、ストーリー展開を早くしようと考えたのか、
1カットを小刻みに編集したシーンでは趣がなく、うわべだけでのものになってしまった。
あれやこれやで、やり散らかしてしまった感がいがめない映画なので、
監督と脚本家はもっと撮影前に熟考してから、本作品を作る冪だった。
近年のハリウッド映画らしく
時代考証とは関係なく、アリバイ的に最初と最後に黒人エキストラを
主人公たちと同じ立ち位置に出演させているが、
お花畑の本筋はあくまで階級制度の上に成り立っている。
メイドは白人だが、お約束通りにデブ女だった。
多額な資金を投入した作品である事は、映画の各所で理解できる。
衣装や小道具が素晴らしく、特に撮影された家(セット?)の内外装も最高である。
撮影ではロウソクの表現がしっかりできており、
また最初の数シーンにおける”淡系な風景の色彩感”がよく、
撮影力の高さは伝わってきた。
主人公の性格は大嫌いだが、同じ時代を扱った「風と共に去りぬ」の方が遥かに良い映画だ。