「【女性が幸せになる道は、裕福な男との結婚だけではない。信念を持つ美しき若草達が成長していく姿に魅入られる。小説家を目指すジョーがグレタ・ガーウィグ監督の姿とダブって見えた、多幸感溢れる作品でもある。】」ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【女性が幸せになる道は、裕福な男との結婚だけではない。信念を持つ美しき若草達が成長していく姿に魅入られる。小説家を目指すジョーがグレタ・ガーウィグ監督の姿とダブって見えた、多幸感溢れる作品でもある。】
ー米、南北戦争時代を背景に個性溢れる4姉妹の成長する姿が素晴らしい。-
■今作品が素晴らしいのは、
・4姉妹一人ひとりの気質が丁寧に描かれている所と若き俳優さん達の溌溂とした演技である。
・そして、キャスティングの妙。
途中から、役名=実名で美しき彼女たちの姿を見ていたほどである。
・彼女たちが様々な軋轢、恋に悩みながらも、一人の誇りある人間として成長していく姿を南北戦争を背景に、少女時代と7年後を重層的に描くところも素晴らしい。
■印象的なシーン
・長女:メグ(エマ・ワトソン:安定の演技である。)
家庭教師のジョンと出会い、結婚した7年後、お金に不自由する姿。ジョンが”僕は甲斐性無しの旦那だね・・”と寂しそうに呟く姿を遣る瀬無い想いで見つめるメグ。
ーこの作品が、決して”ハッピー”だけを描いているのではなく、成長する過程で、苦い経験や、若き日の選択を後悔する場面も描いている事が良く分かる。ー
・次女:ジョー(シアーシャ・ローニャン:最早、素晴らしき女優の域に達している。)
冒頭、出版社に原稿を持ち込んだ際の、編集者との遣り取り。そして、7年後、”若草物語”を持ちこんだ際の、自信溢れる言葉の数々と署名のアップ。
-彼女も”ある選択”を後悔するのだが、家族(特にローラ・ダーンが演じた母)の支えで乗り越え、幸せを掴む場面(お相手は"ルイ・ガレル"じゃないか!)と、ローリーへの想いを吹っ切り徹夜で”若草物語”書き上げるシーンはこの作品の白眉のシーンの一つであろう。-
・三女:ベス(エリザ・スカレン)
ピアノが好きな、控えめな女性。その性格から皆から愛される。隣人の資産家ローレンス(クリス・クーパー)からは特に愛され、ピアノを贈られる。
-地味な存在として描かれるが、彼女が奔放な次女と4女の梯となっているのは観れば分かる。心中で勝手に”聖母”と命名する。-
・四女:エイミー(フローレンス・ピュー:近年の2作で、一気にスターに・・。)絵を書くのが好きで勝ち気、ちょっと意地悪な所もある魅力的なお転婆娘。
ー彼女が、ローレンスの息子ローリー(ティモシー・シャラメ)への想いを”好きな人の二番目は嫌なの!”と言い、去るシーン。辛いよなあ・・。でも、その言葉を言えるのは立派だなあ。-
・母(ローラ・ダーン)の博愛精神に満ちたクリスマスの朝の行動。それを見ていたローリーの計らい。
ー地味だが、”この母にしてこの娘たちあり”が分かるシーン。資産家ローレンス家の人々の気質も分かる。-
・昔気質の叔母(メリル・ストリープ)の姿。旧弊を象徴する人物として描かれるが、存在自体が、”インパクト大”である。
・南北戦争時の時代の移ろいの描き方。
序盤は”ホワイティ”だが、後半では”自由黒人”と思われる人々が描かれている。
<グレタ・ガーウィグ監督が、芸術と恋を両立させようとする稀有な女性を、自らとダブらせて描いたと思ってしまった作品。
当時の意匠、衣装も素晴らしく、人間性肯定の姿勢で描いた内容も実に爽やかな、多幸感溢れる作品でもある。>
NOBUさん、コメントありがとうございます。
何を観ようかという選択肢に「新作」があることって
とても幸せなことなんだと、しみじみ思います。
この作品、一度観ただけだとどうにも「消化不良」な
感じのところがあり、それをそのままにしておくのが
勿体ない気分になりました。
観た直後よりも、観て3日過ぎた今日の方が
その感覚が強くなってきた感じがしています。
>観たい映画が沢山ある、どの作品をどの順番で見ようか悩む
本当に、これって
「幸せなこと」
ですね。