「カネマサはなぜ面会を断り続けたのか」ひとくず 森のエテコウさんの映画レビュー(感想・評価)
カネマサはなぜ面会を断り続けたのか
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それは、同じ過ちを繰り返したくなかったからではないか。
その過ちとは、替わりのきかない家族を否定し手放してしまった過ち。
過去のその過ちを悔いながら、どうしようもない毎日を繰り返す中、偶然にも救いのように目の前に現れたマリ。
どうしようもない過去を償うようにマリに接するカネマサは、マリにとっても救いだった。
殺人の罪で連行されるカネマサと、それを見送るマリの、「カネマサー」「マリー」と声の限りに呼び合う場面は、余りにも切なくやるせなく胸を締め付けられる。
『人間なんて屑だもの。神様なんて信じない。神様なんていないから。
それでもいつか、あなたを抱きしめたい』
そのために、カネマサは、自らの罪を償い終えるまで新たな家族との面会を断り続け、自分と新たな家族だけを信じてその日を迎えた。
そんなカネマサを出迎えたのは、傷を癒したマリとその母、そして、カネマサを苦しめ続けた実母。
アイスの入った袋を振り続ける実母にカネマサが呼び掛けたのは、「くそババァ」ではなく「かあちゃん」だった…
マリとカネマサを双頭に、圧倒的な熱量で演じられ、一瞬も目が離せない演出と構成で築き上げられたこの映画は、文句無しの圧倒的傑作だ。
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