「母としてジャーナリストとして伝える、世界に届かぬシリア民の悲痛な叫び」娘は戦場で生まれた regencyさんの映画レビュー(感想・評価)
母としてジャーナリストとして伝える、世界に届かぬシリア民の悲痛な叫び
開始冒頭、幼き我が子を映す母親。でもその途端、凄まじい爆音が響き、周囲から白煙が噴き出てくる。
この世に生を受けたばかりなのに、いきなり死の危険に晒されてしまう現実。
その後もカメラは、周囲で次々と起こる死と、その現実から逃れるかのように幼き娘の笑顔を交互に映す。
それでいて、爆撃によって死んだ親子を映しながら、「子どもを埋葬する前に死んだから」という理由で、死んだ母親に嫉妬する。観客の心も揺さぶれば、彼女自身の心も揺らいでいる。
それでも彼女は、ジャーナリストとしてカメラを回し続ける。
娘の名に、アラビア語で「空」を意味する「サマ」と付けた彼女が望む空には、爆撃機は飛ばない。
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