「戦火のアレッポを撮り続けた女性がいた」娘は戦場で生まれた エロくそチキンさんの映画レビュー(感想・評価)
戦火のアレッポを撮り続けた女性がいた
1年以上のブランクが空いたが「ラッカは静かに虐殺されている」「ラジオ・コバニ」「バハールの涙」に続く自主企画『シリア発見』の第4弾。
2011年から始まったシリアの内戦は泥沼と化し、数十万人の命が失われた今も収束の兆しはない。
今作は2012年から2016年にかけてシリア最大の都市アレッポの姿をそこに住む一人の女性が捉えたドキュメンタリー。
アレッポ大学に通う女子学生ワアドは反独裁政権のデモへの参加をきっかけに映像を撮り始めた。しかしデモの高揚感も束の間、ロシア軍の後押しを受けた政府軍の攻撃が激化した。
結婚、出産、医師の夫と病院で過ごす日々。爆撃により廃墟と化していく街。おびただしい数の死傷者。SNSで世界に映像を発信したが救いはなかった。政府軍に包囲されて半年、国連を通じての最後通告によりアレッポを後にした。
ワアドは生まれた娘に『サマ』と名づけた。『空』を意味する名前だった。平和への願いをこめた。
生き延びたことが奇跡。この作品が在ることが奇跡だ。
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