「スポーツの祭典、いい意味で無茶苦茶」名探偵コナン 緋色の弾丸 nakadakanさんの映画レビュー(感想・評価)
スポーツの祭典、いい意味で無茶苦茶
テレビシリーズを昔見ていた程度で、赤井秀一は知っていますが、ファミリーの方は世良までくらいしか知らないものです。
この作品を観る前に、一応配信で「緋色の不在証明」は見ました。
映画のオープニングでも赤井ファミリーの紹介があったので、知らなくても観ることができる、知っていたらより楽しめる、といった感じなのかと。
赤井ファミリーの見せ場が適度に配分されているかと思います。
個人的には灰原の活躍が印象的で、灰原とコナンのバディ感が良かったと思います。
4年に一度のスポーツの祭典って、まあ、現実にも東京で行われようとしているので、こういうストーリーになっているものと思いますが。
過去の事件は商業主義化に対する抗議の為だったとか、現実の祭典とリンクするような話もありましたが。
個人的には、この時期に強行するのはいかがなものか、商業主義と国威高揚のためにやろうとしているのではないのか、と考えているものです。
ということで、日本スゴイをアピールするリニアが競技場に突っ込み破壊するというラストは、皮肉の様に感じてかなり笑ってしまいました。
万国旗で速度を落とすという部分も、国際社会は慎重な姿勢でブレーキをかけようとしているところ、日本は暴走して自滅してるというようにもとれる気が……。
映画を製作している時は今のような社会情勢ではなかったと思うので、考えすぎでしょうか。
スポーツの祭典の件に限ったことでもないかもしれませんが。
ラストは映像的にも、スピード感と派手過ぎる破壊規模で、いい意味で無茶苦茶だなあと楽しめました。
赤井の狙撃も、いい意味で、イヤ嘘だろ!無理だろ!、という感じで楽しんだものです。
事件の方は、過去のFBIの事件が絡んでいるものですが、冒頭の過去の事件描写は本格サスペンスのような緊迫感がありました。
そのリアルな雰囲気の冒頭から、最後の荒唐無稽なハチャメチャ感、このギャップが面白いです。
FBIの司法取引、本当の情報を隠したことが、犯人の動機に繋がるわけですが、こういう構図は「ゼロの執行人」と同じような気がします。
脚本も同じ櫻井武晴ですし。
FBIとUSMSは仲が悪いという話もありましたが、USMSとは何だろうと思い後で検索すると、連邦保安官局のことだと分かりました。
州をまたいで捜査に来るよそ者のFBIと、各州の地元に根ざして捜査する保安官組織という感じなのかなと想像しましたが。
司法取引とか証人保護プログラムとか、子供に分かるのか?と思いますが、子供は派手なアクションでやはり楽しめるのかなと。
キャラの関係性については、赤井ファミリーのだれがどこまでコナンや灰原の正体を知っているのかというのは、曖昧なまま見ていました。
ので、コナンも灰原も世良にはもうバレてもいいのか?とか、赤井が生きてることを弟は知っているのに母親や妹は知らないのか?とか、やや気になりました。
今回見た上だと、赤井が生きていることを母親は知っているように見えましたが。
事件自体はさほど謎はなく、サスペンスアクションの要素が強いストーリーでした。
評価の低い意見を見ると、謎解きがないとか、アクションに寄り過ぎというものがありましたが、確かにミステリーとしては物足りないと思います。
キャラクター描写については、最近のテレビシリーズをきちんと見ていないためか、あまり気になりませんでした。
とは言え、毛利小五郎の描写の適当感は気になりました。
依頼を受けて犯人捜査のためについてきたということでしたが、他の招待客とあまり変わらない扱いだった印象です。
個人的には、荒唐無稽さが面白く、ラストも笑えて楽しめました。