「結論・青山先生監修のコナン映画を見たい。」名探偵コナン 緋色の弾丸 mintさんの映画レビュー(感想・評価)
結論・青山先生監修のコナン映画を見たい。
ネタばれを多く含みます。記憶違いがあったら、すみません。
楽しめたシーン
・灰原哀の活躍・・・探偵団のお守り役や解析役ではなくしっかりと事件に巻き込まれ、コナンの相棒として活躍している。コナンへの思いもそこはかとなく感じさせる良い役回りだった。
・秀吉の詰将棋のような追跡劇・・・他の赤井ファミリーとは違い、戦闘タイプではない秀吉をとてもかっこ良く見せられていたと思う。
・赤井秀一の狙撃・・・物理法則ガン無視のアクション。前作のドラゴンボールバトルと同様なので、ツッコミません。私は、異次元アクションとして楽しめました。過去作で、遠距離上方や暗闇での狙撃を成功させている赤井秀一の主演作としては、かなり無理はあれど特別感のある狙撃だったのかなと思う。
・真犯人(開発者の方)の犯行計画・・・15年前の連続誘拐事件を模倣したのは、最後のターゲットにその時のことを思い出させようとしたという理由があるかもしれない。
病院での誘拐は、警戒態勢の現場でボディガードもいるターゲットを攫うための作戦としては見事だった。(まぁ、普通ガスが充満し出したら、クエンチってなんだ?の前に、窓開けるけど、、、)
リニアを最後の犯行現場にして、共犯者を実行役にする。そして、現場をライブ中継してリニアを暴走させたのは、共犯者に全ての罪を着せて殺す計画だったのなら納得できる。
その前に誘拐事件を起こしたのは、警戒させてリニアを無人運行にしたかったから。
爆弾とかではなくリニアの暴走だったのは、爆弾では犯行前に見つけられる危険があるし、プログラムの方が素人に見つけられる危険は少ないから。なにより、リニアの制御は、開発者である真犯人が先駆者であり、おそらく誰も外部からは止められない。
犯人はバレバレだけど確たる証拠は少なく、他のハッカーの可能性を否定しにくい。(タブレットやPCは他人が見れないようにして、一定時間操作がない場合データ消去などの細工をしていれば良し。)
灰原さんにタブレットをスられて見破られたが、普通は画面を見ただけでは何の操作をしているのかわからないはず。もし指摘されても、「いや、逆に暴走するリニアを止める方法を考えていたんだよ」と言い逃れられる。
このように考えると、システムの開発者としてのアドバンテージを存分に生かし、自分の手をほとんど汚さない見事な犯行計画だったと思う。実際、阿笠博士の発明品とコナン達の超人的な肉体と強運(メインキャラクター補正)がなければ、計画は完遂していたでしょうし。
楽しめなかったシーン
・リニア外での犯人確保と自供(開発者の方)・・・「FBIはやっぱり正しかった」と思わせようとしたが、失敗。今回は、FBIが悪い。
今回の真犯人の動機が、15年前の事件に関してFBIは自分の目撃証言を邪険にして父親の死の原因となった誘拐犯を一向に逮捕しようとしなかったからというもの。
しかし、FBIが隠していた真実はもっとひどい。実はFBIはその目撃された人物が犯人グループの一人であると知っていたが、共犯者を見つけるために司法取引をしてその人物を無罪放免にしていた。
当然、そのことを聞いた今回の真犯人は「なんだ、その薄汚い取引は?!」的なセリフで大激怒。それに対して、ジョディさんは「あなたも、その薄汚い司法取引によって守られている」てきなセリフを言い放つ。
いやいや、証人保護プログラムと司法取引による犯人の免罪は、違うだろ、、、とつっこんでしまった。
共犯者を捕まえられないから、犯人だとわかっている人間を無罪にしてでも共犯者について語らせる。
理屈としては仕方ない部分もあるかもしれないが、遺族からしたらたまったものではない。
司法取引をしないと共犯者をひっぱれなかったFBIの失態。そのツケを負わされた15年前の被害者遺族である真犯人。
まず、謝るのが筋じゃねーの?とか思ってしまいました。
とにかく、味方側に全く共感できなかったのは、すごく残念。せめて、コナンがFBIにも非があると言ってくれれば。
そして、ゼロの執行人でもそうだが、公安やFBIをよく見せようとして、犯人の動機は勘違いでした~的なオチに持っていこうとするは本当にやめてほしい。
・リニア内でのもう一人の犯人(女性の方)との最終決戦・・・コナン史上最も素直な犯人、ターゲットの言うことを聞きすぎる
リニア内でのもう一人の犯人との最終決戦。最後のターゲットに銃口を向け、狙いを定める犯人。
すると、ターゲットから「そこから撃つと、リニアの走行に支障をきたす。だから、もっと後ろから狙え、もっと、もっとだ。。。。」との指示。
犯人は、ターゲットの言う通りに後ろへ下がり続けた。そして、落ちていたペンに躓いた。スキあり一本。
・・・なぜ、言うことを聞くのか。犯行時にターゲットから安全な拳銃の撃ち方を教わる犯人。多分、根はとても良い子なのだろう。純真無垢だ。
というか、たとえリニアであっても、常識で考えて弾丸一発で事故るはずがないと考えるのではないか。
およそ音速で走行しているリニアは、速度0の物体に衝突したら、静止時に音速で衝突された時と同じ衝撃を受ける。
そう考えると、弾丸一発で事故るリニアとか怖すぎる。たぶん、当たり所が悪ければ、小石一個で脱線する。
そもそも、立場上犯人はリニアの構造や安全性について知っているはずじゃないのか。そうでなくても、下調べぐらいはするだろう。
躊躇するぐらいなら、何でリニアを最後の犯行現場に選んだのか。
コナン&赤井ファミリーを相手にするのだから、もっと骨のある犯人の方が見ごたえがあったと思う。
・犯人への狙撃シーン・・・コナンは、よろけた犯人をカーテンで覆う余裕があるのなら、サッカーボールで制圧したほうが、犯人のケガも軽かったのではないか。人命を尊重するコナンらしくないと感じた。
・推理が全く無い
「プログラムをいじれるのは開発者である貴方だけ、この奪ったタブレットがその証拠」とか、推理もへったくりも無い。女性の方の犯人に至っては、証拠すら必要ない。だって、犯行現場をライブ中継してるから。
犯行計画は割としっかりしていて、真犯人(開発者の方)も魅力があるかはともかく、プログラミングスキルとドライブテクニックを兼ね備えた隠れハイスペックの人間である。にもかかわらず、それをメインキャラクター達は頭脳戦ではなく、メインキャラクター補正のゴリ押しで捕まえてしまう。とても、勿体無い。
総評
犯人を捕まえるための推理や頭脳戦がほとんどないので、物語の軸となる事件に深みが出ていない。特に、メインキャラクター達は、知識や技能を披露するだけでほとんど頭を使わず、ストーリーに流されている印象を受けました。
近年は、推理ものからアクションや恋愛ものへと移行していることは感じていましたが、それらは両立はできないものですかね。コナン作品の魅力を損ねないように、今後はワンピースのように原作者に監修をお願いしたほうが良いと思いました。
来年は、原作よりの警察学校編のお話しのようなので特に。
コナン映画のポテンシャルは、こんなものではないはずだ!!!