地獄の黙示録 ファイナル・カットのレビュー・感想・評価
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真善美、とは限るまい。
これは映画館で観るべき傑作。すでにDVDで観賞済みな本作だが、今回 IMAX で見て、改めてTV画面とは異質な戦慄と感動が。熱帯雨林を呑み込み焼き尽くすナパームの炎にボクは心奪われ、美は狂気も残虐も超越すると確信した。
殺戮は罪。狂気は罰。美は祝福?ほんとうに?神が正気と確認したのはだれ?この美は呪詛では?悪意では?
混沌のなかで、ボクはコッポラの天才を思い知ったのだ。
映画は教科書だった
おそらく公開時以来なので40年ぶりか。あらためてIMAXの大迫力で観直していると、中一当時のことをいろいろと思い出してきた…
この映画で初めてドアーズの「The End」を聴いて夢中になったんだ、とか。この映画で初めてワーグナーを知ったんだ、とか。この映画がきっかけでベトナム戦争に興味を持って、開高健の闇シリーズを読みあさったんだ、とか…
そしてその「ワルキューレの騎行」をバックに繰り広げられる、人を人とも思わぬ狂気がなぜかくも美しいのか…
確かに映画はいつも僕らの教科書だった。学校では教えてくれないようなことこそ…
音響や撮影も確かに凄いが、内容も興味深い
音響や撮影は流石アカデミー賞。
特にインパクトを感じたものは以下。
・ヘリコプターの離着陸
・機銃/大砲の射撃
・ナパーム弾一掃
・ベトナム民の踊りのシーン
・シーンに応じて効果的に流れる音楽
ストーリー展開も凄く良くできてる。
アメリカ軍のカーツ大佐が、命令に背き、カンボジアの奥地で自らの王国を築いており、それを暗殺しろとの特殊任務。
危機意識に乏しい部下に護送されながら、主役のウィラード大尉は1人、カーツ大佐の過去を遡る。感慨にふけて、尊敬と同情を示しつつも冷静に分析する。
そして、大佐の領域に潜伏した後もドラマがある。
エリートだった大佐がなぜ狂ったのか?
そもそも狂っているのか?
大尉と大佐は似ている部分もあるのでは?
大尉と大佐が相見えるとき、どうなるのか?
などの興味深い疑問を、主役と一緒に抱えることになる。この疑問が晴れていく様子が、3時間の映画を一瞬で終わらせてくれた。
しかし、この映画を見終わったあと1番に感じたものは、何とも言えない重苦しさだ。
・大佐の言葉に重みがある(うろ覚えだが以下)
「4分の1の数でも、戦闘意識のある精鋭部隊ならば勝利できる」
「理性を伴わない原始的な殺人本能」
「恐怖だ」
・ベトナム民の惨状。惨状とは不釣合いな純粋さ。
・そして、大尉の最後の決断。
大佐に思考を読まれた上での決断を下しているが、理性的だったのか、本能的だったのか?
I like smell of napalm in the morning. じっくり三時間。
「地獄の黙示録」で一番盛り上がるのは、やっぱりキルゴア中佐が出てるシーンではないでしょうか?あんな戦争の真っ只中でも弾当たらないし、戦闘そっちのけでサーフィンの波を気にしていたりとなかなか強烈なキャラクターです。キルゴア中佐がいればそこは安全地帯ってのも説得力がありますよね。ラスボスのカーツ大佐よりよっぽど人気あるのでは?っと思ってしまいます。
そんなこんなで久しぶりに観た「地獄の黙示録」。2回目なので通常版での細かい所まで覚えてなかったのですが、三時間は正直しんどかったです。一番好きなキルゴア中佐は割りと最初の方で出番が終わってしまいますし、後はひたすら闇に向かって行く感じでけっこう観てて疲れるんですよね。通常版でカットされていたフランス人のシーン、会話はなかなか面白かったんですけど、ちょっと間延びしちゃっている印象も否めないです。
今回IMAXで観た戦闘シーンの迫力は圧巻でした。あれってホントに森にナパーム弾落としとるんちゃうん?っと思えるぐらいにリアリティーあります。どうやって撮ったのかとても不思議です。でも、あの当時なんでノリで何発かホントに落としてそうですよね。
このファイナルカットより更に20分長い「特別編集版」もあるようなのですが、個人的には通常版ぐらいがちょうど良かったかなっと思えました。それでもIMAX の大きいスクリーンと良い音響なので、ジゴロク好きの方は今のご時世でも映画館マストですよね!
IMAXの迫力!
ベトコンの村を襲撃し、ナパーム弾で椰子林を焼き払うシーンが、まさに圧巻。現実の戦場に居るような気がして、恐ろしさを覚えた。オープニングやところどころで流れるドアーズ「The End」が凄い迫力で迫って来るのも、音にこだわるIMAXならではであり、全く感無量だった。もちろんワーグナーの「ワルキューレの騎行」もこれから始まる戦闘シーンを否が応でも盛り上げていた。久々に劇場で見たこの作品はCGとは根本的なところでは全く違うものだと分かった。臭いまでありありと嗅いでいる気にさせるのが、現実にあるセットなのだと理解した。映画監督なら、CGなど一切使わずに作品を撮りたい撮りたいと思うのも無理はない。金が湯水の如く使えるならば、是非そうしたいだろう。それだけの意味はあるのだ。
昨今のCGを駆使したものではない生撮影のリアリティーを存分に感じら...
昨今のCGを駆使したものではない生撮影のリアリティーを存分に感じられる。IMAXだと音響も素晴らしい。山場はかの有名なワルキューレのシーンだろう、久しぶりに観たがまあ、鳥肌ものであった。
川を登っていき道すがらの各エピソードもよくまとめられている印象で、完全版よりもこのファイナルカットの方が好印象。
ただ、クロージングがどうも個人的には気にくわない、あの禅問答みたいなやりとりとフェイドアウト感に違和感を覚えた。
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