ジョゼと虎と魚たち(2020・アニメ版)のレビュー・感想・評価
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泣ける作品ではないと思う
簡単にネタバレすると、絵の描ける車椅子の24歳女性(くみ子)が大学四年男子(恒夫)に出会って引き籠もりだったのが少しずつ外にも出るようになる。些細なことでケンカして恒夫がくみ子を追いかけてクルマに轢かれたけど絵本を描いて励ましたりリハビリを頑張ったら目標だった海外留学にも行けるようになったぜ。という話。
ボンズの作画は流石に素晴らしい。人物、背景、意外に動きのある描写、俳優さんも違和感ない演技。
ストーリーは凡庸。原作、実写映画とは違いレーティングもなし。引き籠もりになったような暗い人間関係も描写なし。恒夫のバイト仲間の舞も恒夫に惹かれていて告白されるも、結局、くみ子が好きだとなる。同情や打算や性欲といった汚いものなく、屈託のない表情をみせる跳ねっ返りのくみ子がいいというのは、大学四年男としては子どもっぽい。内容に毒がなく安心して見られるぶん薄っぺらいストーリーになってしまったのかなと思った。
原作(1984年)の時代からすると、バリアフリーや電動車椅子、電車の昇降補助、図書館の通路が広くとられているなど環境が相当改善されて不遇な感じもまた薄れてしまっているので別にくみ子が車椅子じゃないといけない理由も、よく考えると、無い気がしてくる。
説明不足が玉にキズ
主人公と車いすのジョゼが偶然出会うところから物語が始まります。
アルバイトとしてジョゼの世話役をする主人公。
祖母から外の世界は虎ばかりで、危険だと教わるが気になるジョゼ。
まず、ジョゼは主人公にただの嫌がらせを始める。
主人公を辞めさせたいのは分かるが、主人公は外の世界の恐ろしい虎だ。
もっと恐れや怒りを表す嫌がらせをして、次第に嫉妬や憧れの感情と繋げてくれればジョゼの感情をもっと表現できた。
いきなり主人公に強く当たっては、虎をも恐れぬ怖いもの知らずと思えてしまう。
それなら外に出ることを恐れないだろうに。
主人公と共に外の世界に導かれるジョゼ。
主人公には見慣れた世界でも、1つ1つに感動するジョゼを見て世界とは素晴らしいのだと気づかされてゆく。
祖母に外出を禁止されても好奇心には勝てず何度も約束を破ってしまう。
私たちの誰もが主人公に共感できるこの映画の見所の1つです。
タイトルのジョゼと虎が出会う場面が来るのですが、納得できない場面です。
序盤から一貫してジョゼはとにかく強いのです。
ほぼ初対面の主人公に対しても強気で文句を言い、祖母に対しても平気で約束を破る。
外の世界に対しても緊張するだけで恐れる描写はほぼ無く、主人公から逃げるために遮断機の降りている踏切にも入る。
恐れ知らずというか命知らずというか。
そんなジョゼが動物園の檻に入った虎を遠目から見て、怖いと言うのは違和感しか感じなかった。
普通の人からしたらジョゼの方が怖いだろと。
外の世界を虎と思い檻に入っていたジョゼと、外の世界に出れない檻の中の虎。
檻から出たジョゼなら、虎を可哀想と憐れむと私は思います。
そして唐突に祖母が亡くなる場面に移ります。
ジョゼは祖母に甘える描写も無く、祖母もジョゼには厳しい態度でした。
外から見ているとドライな関係と見えても、その絆は固く立ち直れないくらい落ち込んでいるだろうと私は勝手に思っていました。
主人公ともドライな関係に見えても実は好いているとするには、その場面が必要だからです。
しかし、ジョゼの悲しむ場面は一瞬も無い。
少しでも立ち直る流れを描かないと、ジョゼの心が心配になります。
そしてジョゼは主人公にアルバイト代が払えないから来なくていい、と伝えます。
主人公は「これで時間を考えず会いに行ける」と言うかと思ったら、本当に会いに行かない。
金が貰えなければ会いたくもないって事かと、ツッコミを入れたくなります。
主人公の同僚が心配してジョゼを訪ねるのです。
お人よしの主人公なら一番に動くだろと思うのですが、理解できません。
主人公の入院から絵本の場面がこの映画のクライマックスです。
私はこの場面が素直に好きです。
誰だって夢があって、でも実現できる人は少ない。
夢破れ傷つき立てなくなっても、いつかは傷を治し歩いていかなければならない。
外の世界を恐れ、檻に入っていたジョゼを導いてくれた主人公。
諦めている主人公を、今度はジョゼが救おうと絵本を懸命に作る。
ジョゼがどれだけ感謝していたのか、主人公を理解していたのかが分かります。
私はここで終わってくれたら良かったと思ってしまう。
ジョゼは主人公のお見舞いと、リハビリを見てるだけ。
ジョゼは主人公を好いているが、主人公はどこでジョゼを好きになったんだろうと思ってしまう。
今度はジョゼが主人公を病院から連れ出して遊んだり、主人公のわがままにジョゼが付き合わされるとかそういった描写を入れないと説得力がない。
面識のあるジョゼの祖母が亡くなった時に、会いにも行かない主人公の愛情は0くらい。
絵本を見たら大好きになりましたとはならないでしょう。
最後に主人公の退院の時、ジョゼが行方不明になる。
人魚が海に帰ったように、そばにいる事だけが愛情の形ではないのです。
ジョゼは別の道を歩むため遠くに移り住み絵本を書き、時を経て出版された絵本を主人公が読む。
そして主人公がジョゼを探し、仲良く暮らすのでした。
なぜなら絵本には続きが足され、再び出会い幸せに暮らす物語に変わっていたのです。って話を私は想像していました。
しかし結果は、ジョゼはウロウロしてて家に帰る途中滑って主人公がキャッチ。
なぜわざわざ、退院の日に連絡もせず虎に会い暗い時間になったのか全然意味が分からない。
序盤の破天荒なジョゼなら分かるけど、常識を身に付けたジョゼはそんな事しないでしょ。
全般に言えるのは説明不足。
映画自体は素晴らしいし美しいのだけど、何か理由が無いとそういう行動しないでしょって所がとても多かった。
いい映画だからこそ勿体ない。
関西人には馴染みやすい作品
学生の物語にカタルシスなんてなくてもいいじゃん
よいところはキャラと町並みの作画が綺麗なこと。特に表情作画がよかったと思いました。会話、展開のテンポ、声優さんの演技のよさとあいまって、時間を忘れて観られました。
障がいをもつジョゼを特別扱いしない冒頭のシーン、セリフ回しにはオレンジデイズの妻夫木くんを彷彿とさせる空気感がありました。
中盤から終盤にかけての展開について、鑑賞中は不満でした。
起きる問題、その経緯、それをめぐる周りの人の反応、問題解決、それぞれがあまりに直接的すぎるため、それなりに大きな問題が起きているにもかかわらず、カタルシスと呼ぶべきものがないからです。
ですが、観賞後時間が経つにつれて、評価を改めました。
この映画が主眼においていることは、今この時代の大学生活をできるだけ脚色なく、どこにでもある物語を描くことではないか、と。
周りにとっては些細な、でも自分たちにとっては大きな問題の勃発
それに対して劇的なカタルシスのないまま続く日々
経済性を求められない大学生活にのみ許される形の瑞々しさを思い出させてくれる作品と思います。
(でももっと名作にもなれたと思う)
完璧欠点が無かった
男同士で行きました。てか場内男8割くらいでした。すいません中川大志役の名前忘れました。アニメーションめちゃくちゃ綺麗で、作画崩壊全く無し、最初はジョゼツンデレで面倒見ていた中川大志が絆を深めていくんですが、まずこの時点で中川大志とジョゼ役が声優めちゃくちゃうまいんですね。ジョゼのツンデレ具合がめちゃくちゃあってる。二人とも聞いてて全く苦にならない。んで中盤ジョゼが図書館の人と仲良くなったり人と接する内にどんどん外への恐怖は消え、中川大志とジョゼはデー
トのようにいろんな様々な所に行き、いろいろなことを体験して行くんですが、祖母が亡くなり、打ちひしがれ更には中川大志は事故に合い、一時は自分と同じように足が動かなくなり、二人とも絶望のどん底に落ちますが、バイトの女の子がナイスプレーをし、チャラ男は気を利かせやるときはやります。ジョゼはなんとか立ち直り、自分を助けてくれた中川大志を次は自分が助ける番になり、勇気を起こし中川大志を勇気付け、立ち直らせリハビリして中川大志は復活します。そして自分たち二人は自分の思いが合致し恋をし、最後の生なましいキスシーンめちゃくちゃジョゼ可愛いです。あと歌良すぎ。あまりにも簡潔に語りましたが、とりあえずここまで欠点が無く、めちゃくちゃ現実の厳しさを教えられ、とてもリアルに感じました。他の登場人物もめちゃくちゃよく、みんながみんなちゃんと役割を全うしてます。見てあげてください二人の現実にあらがおうとする姿をスクリーンで
時間をかけてお互いを理解する
この作品は自分が好きなEveさんが主題歌・挿入歌ともに歌われるということやそれが素敵な映像と共に観られるということで公開前からとても楽しみにしていた作品でした。
観てみて最初の感想は「あぁ、観てよかった☺️」でした。
映像や歌、そして台詞を読む声は思っていた通り、またはそれ以上にいいものでした。ジョゼが管理人に対してある意味で心を開いていく中で変わっていくふたりの会話。それは会話のセリフだけではなく声色にも現れていたような気がします。
ですがやはり1番引き込まれたのはストーリーの良さでした。ジョゼを助けるためにと飛び出した管理人(恒夫)が事故にあってしまった。そんな事はなく物語は進んで行くと思って観ていたものでしたのでとても驚きました(笑)自分の今までの頑張りが水の泡になる事だけではなく、身体的な面から自分の夢を叶えられなくなってしまったと思い、何もかもが良くなる主人公。人はやはり脆く、だが仕方ないと思いました。ですがそこで今まで自分がして来てもらったことを今度は自分が返そう!好きな人のために頑張ろう!というジョゼ、そして各々のやり方で恒夫を元気づけようと動く同僚たち。その甲斐あって恒夫の心に翼が生えたシーンは感動的でありました。
描かれてはいませんでしたが、ジョゼはもちろん、バイト先の同僚たちも恒夫に助けてもらった過去があるのでしょう、だから「今度は自分が!」と恒夫のために、人のために行動できる。僕はそんな風に人と関われているだろうか、関わっていきたいと思う。ジョゼと虎と魚たちのような優しい世界をまずは自分の周りから作っていきたいと、今この時期に思う。
救われました
誰かがいるから夢を追える
萌えるボーイミーツガールの青春恋愛アニメ
実写版映画は見たことありません。なんでアニメ版を見ようと思ったのか上手く言えません。田辺聖子氏の大阪弁恋愛小説やったからかな。若い時少し読んだこともありましたが、ジョゼは今回文庫本を買って初めて読みました。アニメとでは当然ですが時代も舞台も違います。
ポスターだけ見て車椅子の少女の重たい映画がと思ったらあきません。実写版のジョゼ虎みたいに切ない映画とも違います。時代が違います。純愛ハッピーエンドです。カップルで見てください。ジョゼが可愛いのでオタクみたいなおっさんもたくさん見てますが許してやってください。
最初始まった時、主人公の恒夫が標準語やったんで、えっ?舞台大阪と違うの?と思ってたら、あんまり上手ない大阪弁が出てきて、阪堺電車が出てきて、おー大阪や!まあこれくらいの大阪弁やったら我慢できるがな。ところがジョゼが登場してきたところから、後は二人の心の変化が気になって気になって、それどころや無くなってしまいました。健常者と障碍者の恋愛模様に重たく感じるところはあまりありませんが、多分今の世の中、車椅子の方をよく街中で見かけるようなったことがあるからかもしれません。ただ、だからと言って街が車椅子の方にすごく便利になったかというと、そうでも無く、作中でもエレベーターのために地下街を右往左往するシーンが出てきます。地下鉄から乗り換えるJR大阪駅でも実際のところ1階からホームに上がれる駅のエレベーターは東口(御堂筋口)にしかありません。中央口では一旦駅ビルのエレベーターで3階まで行って乗り換える必要があるのです。西口(桜橋口)ではエスカレーターさえありません。
この作品は純粋なボーイミーツガールの恋愛アニメ。ただ1度だけ「健常者には解らん」このジョゼのセリフは、心に強く響きます。
恋愛アニメ(ラブコメ)として見ると、恒夫を従えて外出することになって、ジョゼの表情がどんどん変わっていくのはもうドキドキします。ジョゼのかわいいこと。惚れてしまいます。
原作と実写版映画とではエンディングが異なるそうで、これは第3のエンディング。ストーリーも原作とは全く違っています。エンドロール前で完結してたらほぼ原作の終わり方と同じかもしれませんが、きっと監督は2人をハッピーエンドにしたかったんだと思います。だからエンドロールが終わって館内が明るくなるまで帰らないでください。わたしは原作を読んだ後でもこのエンディングが1番お気に入りです。
最初と最後のジョゼと恒夫の出会いはまさにマンガ的出会い。最後の方の出会いは、いや〜そんなアホなとツッコミ入れたらあきません。舞台は大阪ですよ。
思いっきり笑わせて、思いっきり泣かせて、そして最高のハッピーエンド。最後の最後のジョゼの「死んだんか?」はまさに関西人のセリフ!
作中、図書館で司書の花菜に問われて一番好きなサガンの小説を「一年ののち」と答えるんですが、原作にはサガンの本のタイトルは出て無く実写版映画のジョゼへのリスペクトなんですね。渋い。
12月28日に1回目見てからほぼ一日置きの22回(2/2現在)鑑賞。ワタシはジョゼに😍 まだまだ見たい作品です。
2回目の鑑賞時からは「あたいを海まで連れていけ」のセリフから後泣きっぱなしです。幸せの涙ですよ!
映画はエンドロール途中で帰らないように!後悔するよ〜!
タムラコータロー監督の傑作です。
よかった
純愛のファストフードを食べた気分。
予備知識なし、pvと参加しているイラストレーターloundrowさんを見て気になって見てみました。
ぱぱっと純愛を見たければ全然いいと思います。故に荒いところも多く見受けられると思います。
まず原作の要である負の部分がほとんど削除されています。なのでとても人物達が薄っぺらく見えて仕方がありません。祖母がジョゼを何年も閉じ込めていたのに、(外は怖いという先入観があるほど)あっさりと外出し続けることを許してしまうのに違和感があります。
主人公がジョゼに惚れる理由もよくわかりません。
対抗ヒロイン宮本が主人公が落ちぶれている時に全部吐き出してください受け止めますって言ってるのにも関わらず、急に告白しだすからまるでここで告白させた方が面白いだろと思ってそうな演出意図が透けて見える。
要するにもっと登場人物がどういう人物なのかという描写に力を入れるべきだと思いました
ひたすらに浅いし、薄っぺらいし、クサイんですよ。
まあでもここさけが嫌いな僕のお母さんは好きでしょうがね
可愛いな、みんな
良い作品でした
「届かない人たち」の物語。 凄く綺麗で爽やかな青春ストーリー
巧妙な伏線やどんでん返しが目立ち、
観客を驚かせたもの勝ちな
変化球作品が多い昨今、
久しぶりに真ん中ストレートが
キレイにミットへ決まったような
青春ストーリーを見られて良かった。
「障害者と健常者」という
難しいテーマを真ん中に置きながらも
青春映画としては王道の要素も入れつつ
原作や2003年公開の実写映画から
設定を丁度いい具合に変更したり、
アニメ的な感情や表現を加える事で
"アニメである意味"も持たせているので
原作や実写を見た事がある人でも
十分に楽しめるのではないでしょうか。
今作もそうですが、最近のアニメ作品は
芸能人を声優に起用しても
違和感ない様に演技指導されているので
自然と映画に入れるのは嬉しい所。
ジョゼ役の清原果耶さんの独特な関西弁はまさにジョゼらしくて良かったです。
気軽に楽しめるアニメだけど
ストーリーのしっかりしている作品だと思う。
登場人物もそれぞれ人間性がわかりやすく描かれていて、
観ていて飽きない。
イラストも描き込まれていて綺麗。
恒夫に対して
ジョゼが持っていたのは愛情で
まいが持っていたのは恋心だったというところが一番印象的だった。
一方的に自分の気持ちを押し付けるだけというのは
時に他の人をも巻き込んで悲劇の引き金になってしまうこともある。
自分が経験したことのない事というのは
その状況になってみるまで、本当の意味では理解できない。
そうなって初めて、自分の言葉や態度が、
相手にとってどれだけ残酷だったか気づく。
それでも、その現実を認め受け入れられた時
前に進むことができるのだろうなと思った。
最終的には、ハッピーエンドなのもあり、気楽に楽しめる作品。
いや〜、自分はダメでした! f^_^;
エンドロールで帰らず最後まで見ましょう
エンドロールの途中で帰る人が何人かいましたが何故帰るの?
泣き顔を見られたくないから?
特に今作ではクイズの答えを聞く前にチャンネルを変えるような行為です。
劇場が明るくなるまで残る事を強くお勧めします。
ジョゼはとても癒される作品でした。
原作、実写版を観ていないので違いは分かりませんが、観終わった後の余韻が心地よい映画です。
少しずつ成長していくジョゼがしっかり描かれています。
髪をとかすシーンとかハッとしました。
成長しつつあるとはいえ、私はジョゼ派ではなく最後まで舞ちゃん派でした。
退院日の約束をワザとすっぽかすような構ってちゃんは自分には絶対無理です。
自然な大阪弁というレビューが多いのですが、関西に住んだことがないので、どのキャラの大阪弁もほとんど同じに聞こえました。
関西の人が標準語と東京弁の違いを分からないのと多分似ているのかも知れません。
エンドロールに中国人の名前が多数出ていました。
特に映像やCG関係に多い印象です。
色々事情はあるのでしょうが、日本人アニメーターの育成をして欲しいなと思います。
クールジャパンだとか政府が取り組むのなら、やりがい搾取の環境を改めて、アニメーターとして生計が立てられるよう、裾野の維持発展を官民上げてしていかないと、日本のアニメ産業は家電の二の舞になると憂慮します。
実写も良かったですが、これはもっと!
葛藤のない綺麗な世界。
原作も実写版も見ないで鑑賞。
退院までの一連のシーンには涙し、各キャラの表情がとても丁寧に描かれていて間違いなく良作にも関わらず、どこか物足りない。そんな気持ちになった。
それは登場人物たちが物語が始まった時点で生まれたかのような薄さを感じたからなのだと思う。
ジョゼの祖母はジョゼの相手をさせるべく恒夫を雇うが、その真意は読めない。
ジョゼの自立をさせたいのかと最初は思ったものの、外には出したがらない上に、役所の人との会話では閉じ込めておこうとしていた意思すら感じた。
恒夫は魚を見る為に海外留学をしようとするが、その資金があるのであれば1ヶ月ぐらい旅行で行けば良いのにと思う。やっていることと比べて、どこか歪さを感じる。
(公式サイトには幻の魚という記述があるので、希少種なのかもしれないが、そんなものが店にいるのはおかしい)
そういった土台のあやふやさが、恒夫とジョゼの「夢」というものにかける想いをどこか空虚な物にし、葛藤があまり描かれないこともあり、どこか物語が軽い物になっていたように思うのだ。
そして、主要キャラ達はみな善人で人間らしいドロドロとした核がないことも相まって、よくある良い話になってしまっていた。
それが個人的に物足りなかったものの正体なのだと思う。
それでも涙したのは、セリフ外の描写の巧みさがあったからだと思う。
土台のしっかりしていない物に言葉で積み重ねても真実味がないが、心情描写ーー行動や物に映された心は真実味を帯びる。
例えば、海から帰った数日後、恒夫が来る前に「おめかし」をするジョゼ。普段やらないであろうことを祖母の驚きで表現しつつ、恋が芽生えた少女を演出している。
恒夫がプレゼントした魚のライトは、夢が叶わなくなったことを物語るべく壊れたかのような落下音をあげながら猫に落とされる。終盤では夢を一旦離すことを象徴するかのように、箱詰めされた状態で恒夫が見つける。
上げたらキリがないくらい、セリフ以上に物が語る作品だったように思う。
その印象の強さは、描こうと思った物しか入り込まないアニメならではないだろうか。
見どころは多いので、もう一度見たら新しい発見があるかもしれない。
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