劇場公開日 2020年12月25日

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ジョゼと虎と魚たち(2020・アニメ版)のレビュー・感想・評価

全241件中、21~40件目を表示

4.0小学生が観てもOK、ダークサイドを全削除した「ジョゼと虎と魚たち」

2022年10月18日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

実写版を観て以来、10数年ぶりの「ジョゼと虎と魚たち」
実写版における、
土壇場になって意志を貫けない恒夫がとにかくリアルで、
「成就してほしかった」という気持ちと
「まあ分かる」という諦めの気持ちが交錯して
これも青春なんだろうと 無理やり消化させて
劇場を去ったことをふと思い出した

今作に触れるにあたり、
観る前は期待と不安が半々な気持ちだったど、
観た後は「これはこれでアリ!」と率直に感じた

原作に込められた障害を持つ女性のリアルが生々しく痛かった
で、今回のアニメーション版はどうなのかというと、
原作にあった、ありとあらゆるハラスメントが全カット、
いるはずの脅威の虎たちが存在しない世界に変わり、
さらに悲恋になんてならない、
これ以上は無いってくらいのハッピーエンドが用意されて、
キュンなラブストーリーになってた

これなら子供が観ても大丈夫な内容
きっと制作・配給サイドのねらい、
ターゲティングしている層が「子供から大人まで」なんだろう
原作や実写版に触れるにはまだ幼すぎるけど、
今回は子供と一緒に観れた「ジョゼと虎と魚たち」だった

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伊助

2.0これだけを見ると一見いい話なのだが、なぜか「ジョゼと恒夫の話」では...

2022年9月23日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
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ミナミA

4.5成長、自立していくジョゼに癒される

2022年9月11日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

幸せ

瑞々しく、若々しく、外連味のない爽やかな作品である。90分という短い上映時間であり、物語に起伏はあるが敢えて深掘りしなかったことが奏功している。原作未読、2003年公開の実写版未見、予備知識ほとんどなしで鑑賞したので、この作品の魅力をストレートに味わうことができた。

幼い頃から車椅子で生活していたジョゼ(清原果耶)は、下り坂で車椅子が暴走したところを偶然通り掛かった大学生の鈴川恒夫(中川大志)に救われる。この事件で二人は出会い、メキシコ留学資金集めのバイトをしていた恒夫は、ジョゼの祖母からジョゼの世話役バイトを依頼される。恒夫はジョゼの毒舌要求に閉口しながらも応えていき、ジョゼを外の世界に連れ出す。ジョゼは徐々に元気になっていき、次第に二人は親密になっていくのだが・・・。

本作は、何と言っても、個性的なジョゼの存在感が圧倒的であり際立っている。毒舌の奥に潜んでいる、自由に一人で行動できない苛立ち、諦め、疎外感など、ジョゼの鬱屈した心情をジョゼ役の清原果耶が瑞々しい感性で表現している。初めて触れる外の世界への素直な感動と何でも知ろうとする無邪気な好奇心が可愛らしい。大人が忘れていたものを思い出させてくれる。

恒夫役の中川大志は、個性的でクセの強いジョゼに戸惑いながら、彼女の魅力に次第に惹かれていく恒夫を現代感覚溢れる大学生として好演している。ジョゼの心を開く案内人的役割を担っている。苦悩する場面もあるが、あっさりしている性格が、ジョゼと好対照で、ジョゼとのバランスが良い。

ジョゼは恒夫に助けられるだけではなく、絵の才能を使って苦境で落ち込んでいた恒夫の心を勇気付ける。コロナ禍で疲弊している我々観客の心も癒してくれる。絵の持つ力が感動を誘う。ジョゼの自立へのプロセスの第一歩として、象徴的な場面である。

本作は、恒夫との恋愛を通して、成長、自立していくジョゼの姿を描いた青春ラブストーリーである。

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みかずき

5.0美しいアニメ版

2022年8月15日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
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なりなりなりたさん

4.0病み上がりに染み渡った

2022年8月4日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

泣ける

幸せ

寝られる

 劇中で登場人物がさらに劇をやるというのは苦手なんですが、今回はそれではじめて泣きました。
 ジョゼちゃんは非常に刺々しい態度をしますが、あそこまで極端でも、心を守る防衛機制としては妥当ですね。相手を気遣って、ほんの少しの心の交流も傷つきの種になるという経験則があるのでしょう。身体に障がいがある方の生きざまを改めて考えようと思いました。
 気になったのは、ジョゼちゃんが「セミの脱け殻にも届かない」「水玉の傘もさせない」と叫ぶシーン。それは、皆には当たり前にできるのに私にはできないという絶望でしょう。本当はそんなもの目指さなくていいのです。ですが例えば1人だけ肌の色の違う子が「皆と同じ色の肌ならよかったのに」と思う。思わなくていいんですが、そう思うのが人間で、特に子どもなんですよね。自分ならどんな接し方ができるだろう、とばかり考えてました。
 病み上がりの働かない頭で観たもんで、細かい仕掛けにはついていけてませんが、心がすっとして前を向けた、この映画は私の力になりました。

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とびこがれ

5.0ジョゼの成長ぶりがあっぱれ

2022年8月3日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

原作未読。
東京ほどもキラキラしていない関西の町並みを背景に、
自立してゆく若者二人の恋物語。

なにはともあれ、あら、舞台は大阪、京阪神なのね、と分かった地点での親近感。
そんな関西人には少し距離のあった、おされなトーキョー、ラブストーリーでないだけで
こうも手触りが違うのか。
気の強いジョゼのキャラクターもそれだけで好感度爆上がりの冒頭。

「耳をすませば」を少し思い出させる物語で主人公たちは
ひと昔前まではド定番だった、守る男、守ってもらう女にという役割にあらず
対等に自立し、励まし、励まされる力配分で描かれている。
その姿は胸をすくし、見ている側もがぜんそんな二人を応援したくなってしまった。

見どころはやはりあの短尺で、
世間知らずだったジョゼを大成長させてしまう展開だろうか。
あの無理のなさには、エンドロールを見つながら思い出す冒頭に
あっぱれ、と思ってしまった。

見終わった後、主人公らを見習いキリリと背筋を伸ばしたくなる。
そんな作品。

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N.river

4.5ベタだけど真っ直ぐで美しい

2022年7月30日
iPhoneアプリから投稿

ずーーーっと美しい作画でうっとりした。特に海のシーンが美しくてキラキラしていて良かった。
その美しい作画も相まって劇中泣きっぱなしだった。
久々に映画でこんなに泣いた。

恒夫が良い奴すぎる。
自分の夢を追い続けるだけで無く、何事も一生懸命に取り組み、周りの人達にもその真面目で前向きな姿が良い影響を与えているんじゃないかな。
我儘放題で辛辣な言葉ばかり投げつけるジョゼにまっすぐ直向きに向き合ってくれる。
こんなの誰でも好きになってしまうな。

恒夫と一緒に過ごし出掛けることで様々な景色や人物や物事と出会い、世界がひらけていく感じの胸の高揚感はとてもよい。ムスッとしていたジョゼが目を見開きはしゃいでいる姿はとても可愛い。
ジョゼが恒夫のバイト先に行き、後輩と仲良く話す恒夫を見て嫉妬し怒るシーンは天邪鬼で愛おしい。24歳だけれど外にあまり出ず人と関わる機会が少ないと精神年齢も下がるのかな。いろいろな出会いと経験で少しずつ前向きに成長するジョゼに引き込まれた。

どの登場人物も不器用で愛おしくなる。
私もこういう大学生活を過ごしてみたかったな。
幾つになっても夢を追い、苦手な事でも逃げず、ひたむきに頑張っていきたいなと思えた。

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nakougg

4.0実写のやつ

2022年7月18日
iPhoneアプリから投稿

をイメージしていたけど。全然ちがうし、こっちの方が断然良い!(実写のやつはあまり覚えてないけど)。

主人公のことが好きなバイト先の女の子がいい。
いい女。

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たかひろ

3.5綺麗な映像で描かれるラブストーリー

2022年7月15日
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yuchi

3.0そこまでかな?

2022年7月10日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

期待して鑑賞したが、そこまでのものは得られなかった。
何を期待した?
と言われて具体的答えられないが、出演者やモチーフでその映画に何らかの期待を持って鑑賞するわけで。

絵は今風。
見やすい。

大阪出身の清原果耶さん。
東京の標準語に染まったかな?
時折、あれれ?というイントネーション。

スマホが出てくる時代の関西の若者で、
自分の事をアタイという子はおらんよ。
原作者の田辺聖子さんは関西弁の小説家ではあるが、脚本起こす時にもう少し今の関西弁に修正する必要はあるんじゃないかな〜

ストーリー的に夢のある大学生と身障者のジョゼの物語。
出会いは突発過ぎて現実感なし。
そこから始まるストーリーも「ん〜」って感じで。

ま、正味の話が期待はずれっちゅう事でした。
私的に。

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零式五二型

4.0綺麗な恋愛映画。高さの描写の巧みさが光る。

2022年7月4日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

幸せ

萌える

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kou-suke

4.0逆にプロの声優じゃなくて正解な気がした。

2022年7月2日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

大抵、ゲストのような形で俳優が声優を務めると失敗してしまうイメージがあるけれど、この作品は彼らでよかった、と思った。逆にプロの声優さんだったら、なんか違ったんじゃないかなと

拙さ、未熟さ、わがまま、自分勝手さ
それらの表現がめちゃくちゃよかった。

ストーリーに絡む部分だから仕方ないけど、ジョゼがワガママすぎるのはこれまでのコンプレックスから来るものだと思った。人によってはイラっとするかもしれないけど、
24年間、行きたい所へ行けず、見たいものを見れず、そんな生活をしていたら、自由に全力で夢を追いかけている人(主人公)を見たら、ワガママしたくなるのも分かる。

でも、バイトの女の子が可哀想だった(´TωT`)
幸せになって欲しい。

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Octopus(あまりコメント返せません(*_ _))

4.0実写版とは、

2022年6月30日
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ハンバーグ

4.0確かな裏付けと映像による物語の厚み

2022年6月28日
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ハムカツ太郎

3.0なんとも

2022年6月27日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

絵本のくだりまでは、とても良かったと思います。ただし、病院に迎えに行く約束を守らず、勝手に行方不明になり、周りの人に迷惑をかけまくる主人公が正直好きになれませんでした。
悪くはない、けど少し残念な作品。

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こんぺいとうR

4.0こちらもやはり素敵

2022年6月7日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

アニメによるリブート作品。
オリジナルにあった、あの良い空気出てるんですよね。
設定が違うのでかなりピュアな出逢いです。
序盤でわかるんですが、すごい丁寧で良い作りなのがわかるんですね。
でかいラジカセや光KENJIのポスターに昭和感満載な家ですが、ちゃんと現代。街並みも作り込みがしっかりしてて生活感があります。
また、ジョゼが泳いで部屋を出る描写なんて、まさにアニメーションならではですね。
作画もですが音楽も作品を良く包み込んでいて、生活音の入れ方とかとてもうまいんです。
健常者にはわからない。が直に返ってくるエピソードは物語にすごく深みを増していたと思います。
あと絵本ですね。あそこはどうしたって涙出ますよ。
何というか、こんな綺麗なジョゼもあるんだなって、素直に入ってきました。
実写版とまるで違うエンディングでしたが、こっちはもっとストレートに前向きになれる様でした。
こちらもやはり素敵な恋物語でした。

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白波

5.0あたい、幸せや。

2022年5月2日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

楽しい

幸せ

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素人映画感想家

2.0日本の小説をアニメ化にする必要性を感じない

2022年4月24日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

寝られる

原作未読

田辺聖子原作の小説を池脇千鶴妻夫木聡共演で2003年に公開された名作を20年近く経ってからなぜかアニメ化
アニメ作品が実写映画になるケースは多いが実写映画がアニメになるのは珍しい
どちらかといえば地味に公開されたのでレビュアーが207人と多いのも意外だ

アニメの設定は2003年版と基本的にほぼ一緒だが細かい点がかなり違う
その2003年版も例外に漏れず原作とはわりと違うらしいのでアニメオタクみたいに原作レイプと罵るのはお門違いも良いところ

タムラコータロー監督作品初鑑賞
脚本は『ストロボ・エッジ』『滑走路』の桑村さや香
ぶっちゃっけ桑原作品は退屈でつまらない

ジョゼに清原果耶
恒夫に中川大志
2人の有名若手俳優を迎え興津和幸など声当て専門の人たちで脇を固めた堅実なキャスト

ひょんなことから先天的な身体障害者で車椅子生活の少女をお世話をするバイトを始めた大学生の話
彼にはダイバーとしてメキシコ留学の夢がある
彼女には絵本作家になる夢がある

原作の設定はおそらく関西弁なんだろう
その点では清原は池脇同様関西人だから全く問題ない
いまどきの若い大阪娘はあんな関西弁を使わないという意見もあるかもしれないがばあちゃん子だしナウなヤングと違っても不思議ではない

キャラクターデザインは好きでも嫌いでもない

SF要素がないファンタジー
教科書通りの美しいラブストーリー

池脇妻夫木版と比較するといい意味でも悪い意味でもすっきりしてしまった印象
体に良いとされる低カロリーのカレーを食べてるような気がして物足りない
実写映画の様な卑猥さは全くないので小中学生の女子には向いているかもしれない
そのためか実写版で江口のりこが演じたキャラは登場しない
健全で模範的なアニメといえる
毒にも薬にもならない

僕はアニメ嫌いじゃないがアニメオタクほどアニメが好きなわけではない
ジャパニメーションは日本が世界に誇る文化だと鼻息荒く語る人種とは違う
概ね高評価だがラピュタやカリオストロやガルパンに比べたら凡作と評価を下すほかない
絵が綺麗だとか街がリアルとか稚拙で小並感
はっきりいってアニメ化にするような題材とは思えない

ネットはアニメオタクが幅を利かせすぎている
検索汚染は彼らのせいだ
リアルでは肩身の狭い思いをしているからだろう
それはそれでいいのだがそういった人たちの不満を一般国民の世論かのように書き立てヤフーなどで発表する三流マスコミのライターの記事が我慢ならない

僕はアニメより日本の俳優の芝居が好きだ
それをこの作品で再確認した
大人の落書きが池脇や妻夫木に勝てるわけがない
三次元の意味がわからない人たちは日本の俳優の良さを全く理解しようとしないので邦画ファンとしては目障りな存在でしかない
おそらく脳の構造がかなり違うのだろう
理解しあえるのは無理な話だ
それならしかたがないと諦めるほかない

あと日本の文芸作品はアニメに向いていない
小説を映像化する場合はテレビドラマか映画が良い
人間が顔出しで表現しないといけない
声だけなら朗読劇で充分
アニメ映画をつくるなら実写ではとても敵わない表現を駆使した芸術性が高いものを求める
せめてハラハラドキドキさせてほしい
少なくともラピュタやカリオストロやガルパンにはそれがある
交通事故や車椅子が止まらなくなるトラブル程度ではドキッとしない
『ちびまる子ちゃん』や『きんぎょ注意報!』のようなギャグ要素があれば良いが当然それもない
とてもじゃないけど星4の作品ではない

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野川新栄

3.0わがまますぎてひく

2022年3月21日
PCから投稿

ジョゼと虎と魚たちは田辺聖子の短編小説です。わたしはけっこう映画を見ますがしょうじき読書量が少なく原作を読んでいる映画は稀です。
が、これは読んだことがあります。

(わたしは田辺聖子の熱心な読者ではありませんが)田辺聖子は芥川賞も吉川英治賞も泉鏡花賞もその他数多くの賞/タイトルをもつ文豪です。
筒井康隆がすきだったわたしはSF作家のエッセイや座談会に田辺聖子の小説が引き合いにされていたことを覚えています。
とても広いパイプ(多岐にわたる交流)を築いた文化人でもありました。昭和の頃には新聞や雑誌や談話のなかに田辺聖子の名や引用を見ない日がないほどでした。
当時をご存知の方ならきっとお認めになるでしょう。

1984年発表の小説ですが実写映画に加えコミカライズもノベライズもあります。時をかける少女のようなロングヒットかつメディアミックスになっています。

映画は日本製と韓国製の実写版があり劇場用アニメ版が本作です。じぶんはこのアニメ版しか見ていませんが下馬評やIMDBなどから読み取るかぎり、このアニメ映画がもっとも高い評価を得ています。

本作は原作を大きく改造してあります。原作には三角関係も恒夫の事故も紙芝居もありません。

(原作は)詩的でなまなましく、起承しますがとくに転結しません。
哀しい話ですが哀しさをどことなく滑稽にしているのは関西弁です。ジョゼや恒夫が標準語だったら、もっとずっと辛い話だったことでしょう。また大人の寓話です。性的な描写はほとんどありませんが底知れないエロスがありました。

『繊い人形のような脚のながめは異様にエロチックで、そのあいだに顫動している底なしの深い罠、鰐口のような罠がある。』
(田辺聖子作ジョゼと虎と魚たちより)

そのままアニメにしても(今の人々に)アピールするとは思えないので改造は理解できます。巧みに転結を足してありとても感心しました。

ただし個人的にはジョゼのキャラクターが鼻につきました。
本作のジョゼはたんなる我儘な女になってしまっていると思います。

現代用語にエロス資産というのがあります。エロス資産とは女性的魅力をもって傲慢がゆるされると合意された優位性のことです。ようするに生意気な若い女のことですが彼女の生意気が通用する社会も含めてエロス資産と称されます。パパ活のようなものです。

あるいはアニメの「萌えキャラ」がもっとも解りやすいと思います。萌えキャラはその外見にたいして男たちが「萌える」ことによって彼女の圭角や我儘や毒舌や攻撃性がゆるされます。それとおなじ構造の自己弁護をする若い女はエロス資産を活用している──と言えます。特殊な位相ではなく現代社会に遍在する若い女性の態度です。

たとえば21世紀の女の子という若い女性監督を集めたオムニバス映画があります。この映画はエロス資産によって拙劣なクオリティが許容されることを標榜しています。だからこそタイトルが21世紀の女の子になっているわけです。エロス資産であることが合意されると、それが低品質であっても、これはこれでいいのだろう──と受け取られるのです。

障害者であるジョゼにエロス資産を活用している──と言ってしまうのは酷かもしれませんが、原作の設定よりも若年化され、ほぼ少女の外観をしているジョゼは、はっきり言ってロリをターゲットしている気配さえあり、少なくともかんぜんに「萌えキャラ」でした。
アニメの主人公を「萌えキャラ」にするのはきょうび一般的なのかもしれませんが、ジョゼが「萌えキャラ」なのであれば、彼女はエロス資産を活用している──と見なすことができます。

エロス資産を活用しているならその我儘はたんなる我儘です。
原作では圭角ではあっても譲歩するバランスをとれる大人の女性でしたが、アニメではたんなる我儘な萌えキャラになっていた──という話です。

本作は前述のとおり原作にはないエモーショナルな転結を足していました。その感動はジョゼの我儘が払拭される効果も併せ持っていました。わたし自身もそのことに感心したのですが、にしても本作の恒夫はほとんど下僕のようでした。

エロス資産は、現代の(日本の)創作物につきものです。エロス資産を活用するキャラクターが出てこない映画/ドラマ/アニメはほとんどありません。わたしもそれは重々承知していますが(ジョゼを)これほどまでの暴君にキャラクタライズするひつようがあったでしょうか?

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津次郎

3.5現実はもっと厳しいだろう。

2022年2月14日
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SICK_JOY