ジョゼと虎と魚たち(2020・アニメ版)のレビュー・感想・評価
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その後も観たくなる作品
映像、音楽の入り、キャラクターの表現等の環境は素晴らしいものでした。
声優に関しても、視聴後にメイン声優が俳優であった事に気付くくらい、ハマっていたと思います。
ストーリーについて、ジョゼの過去のお話があれば、ジョゼの性格やチズの発言の理解が深まると感じました。
とはいえ説明が過ぎると想像の幅が狭まるし………うーむ。
結論。
ジョゼほんと可愛い。ほんと好き。
映画の後も皆の人生に目一杯の幸あらんことを、心より。
ジョゼと管理人の話をずっと観ていたいです。
映画を観たあと、こんなにいい気分になるのは久しぶりです。アニメは普段あまり観ないんだけど、アニメならではの自由な表現やキャラの瑞々しい表情が素晴らしいです。ジョゼの孤独感に寄り添う管理人の優しさに、そのまま作り手の暖かい眼差しを感じるようで、感情移入しまくりで何度もウルっときました。
上手く言葉に出来ないぐらい感動した。
正直この映画を見ていた98分、鳥肌が止まらなかった。
何故もっと早くに観に行けなかったのか後悔するほど、良い作品でした。
尊いという言葉がピッタリと当てはまるこの映画は、ジョゼと恒夫の2人の様な甘酸っぱくて綺麗で、そして純粋な恋をしたいという気持ちにならないハズが無かった。
ジョゼの「健常者にはわからん」という台詞が、深く胸に突き刺さった。普段自分が当たり前に出来ている事がどれだけ幸せかということを今一度考えさせられた。
根っからのEveさん信者の私なのですが、主題歌・挿入歌の「蒼のワルツ」「心海」無しではこの映画を語れないぐらい良い曲です。
絵も映像も主題歌もどれが欠けてもこの感動は生まれなかった様に思えるぐらいに完成されたものでした。
映画が終わって直ぐに原作小説、コミカライズ作品、主題歌・挿入歌を買ってしまうぐらいにはオススメしたい作品です!!見なきゃ損なので是非!!!
怖いけど怖いだけじゃない世界
予想通りのエンディングだった。
が、
そこに至るまでの物語は素晴らしかった。
生まれつき足の不自由なジョゼ。
限定された世界しか知らないジョゼ。
そんな彼女の心が解放されていく様を、清原さんは見事に演じていた。それに付き添う管理人の中川氏も、第1声から声優さんと遜色ないくらい馴染んでる。
物語は案外シビアだった。
彼女の置かれている環境もそうだけど、介添人の逝去や、就職。また彼女への視線やら態度が描かれる。
舌打ちされるような事を彼女はしていない。
鼻で笑われる程、他人は彼女を知らないはずだ。
容赦ない偏見の眼差しが彼女を刺す。
よく歪まなかったなと、祖母の教育方針に胸を撫で下ろしたりもする。
好奇心の海へ管理人と共に泳ぎ出すジョゼ。
そんな彼女の変化を1番喜んでいたのは祖母なのだろうと思う。
祖母の死も、管理人の事故も衝撃的だった。
現実では充分起こりうる。
なぜアニメでは起こらないと思っていのだろうか?
突然の不幸を目にした時、頭に浮かんだのは「ジョゼ…どうやって生きてくの?」だった。
おそらく俺が抱いたその疑念を、現実に抱え続けている人達はいる。主人公に感情移入する事で、そんな当たり前の事を失念していた自分に気付く。
ジョゼと管理人の立場は一転する。
支えられる者から支える者へ。
そして、お互いがお互いを支える者へ。
出来過ぎたラストだなと思いながらも、ジョゼの笑顔を祝福せずにはおられない。
ただ…色んなとこで転ぶジョゼを見て、冒頭の下り坂もそうだけれども。もう少し体の傷や、痛さも表現はして欲しかった。かすり傷1つない状態に「あー、2次元の話だった」と片付けてしまえる。
とっても素敵な作品でした。
美しい海や風景、キャラクターの細かい仕草や描写が丁寧で、山場谷場の緩急やテンポもよく、終始にやにやどきどきはらはらしながら、とっても楽しめた作品でした。
また映画館で見たいですね、個人的にイチオシ
一人の女性の成長ストーリーとも言える
アニメーション、演技、演出、音楽どれも高水準で
特にジョゼの表情の変化、海の中、街の風景などはとても美しく
心を揺さぶられました。
ジョゼの心情の変化や成長する姿を細かくフォーカスしていて
どちらかというと主人公はジョゼの方なのかな? という
印象を持ちました。 また、ジョゼと主人公を取り巻く人間の
立場や状況、やり取りが抜群に良く、人間臭くて、
ただのわき役ではないとわからされました。
足が不自由で、且つ祖母の考えからあまり外に出られず
社会知らずで我儘で、頑固で、幼稚な部分が多かった彼女が
恒夫と出会い、外の世界に出て、色々な人に触れ、
様々な葛藤の中で成長し、時には恒夫に救われ、
時には彼女が救い、お互い失敗しつつも
成長 という要素をもって進んでいく姿が、
強く印象に残りました。
たとえ手が届きそうにない夢があっても、
心が打ち砕かれても、心の翼ともいえるものをもって
少しでも実現できるように進め、という
我々へのメッセージも込められているように感じました。
同名異人
ネットで評価が高かったので観に行きました。
高評価だけあって、今の日本のアニメーションらしい作品であり非常に良かったのですが、今の観客に合わせた作品のようにも思えました。
しかし、2003年版の犬童一心監督作品の方もリアルタイムで観ているのですが内容はすっかり忘れてしまっていて、でも本作とは印象が全く違っていたので比較のために無性に観返したくなり、丁度私のDVD録画コレクションの中にあったので早速観返しました。
そして、観返すと同じ小説のアニメ化・実写化なのかと思うほどに、(大まかな設定やあらすじは同じだが)まるで別物の作品になっていました。
となると、未読の田辺聖子の原作自体がどんな作品なのかが気になって、これも無性に読みたくなり短編という事で、近くの本屋で立ち読みしてしまいました。(本屋さん本当に申し訳ありません)
そこで原作と2003年版実写化映画と本作のアニメを簡単に比較して、最終的に私の好みはどれか?という事を考えてみました。
まず、ここから原作を①、2003年版を②、本作アニメ版を③と表記します。
でまずは、(書かれた、制作された)それぞれの時代が舞台設定となっているので、時代性の違いが一番大きく感じられましたが、私は全ての時代を生きて来たので、その違いによるギャップは無視できました。
共通するのは、全作品がジョゼと恒夫の恋愛物語であることなのですが、結末が全て違っています。①のラストは同棲継続、②は決別、③はとりあえずハッピーエンドという形で終わっています。
で、③が好きな人は②は受け入れられないかも知れませんし、①が好きな人は(結末は違うが)②も受け入れられる様な気がします。
そして、①、②が好きな人は③に対してだけでなく、全てを綺麗ごとで描く、現在の大衆娯楽の表現に対しての違和感を感じてしまうかも知れません。
例えば、恒夫の本来持つだらしなさや姑息さなどを含む人間臭さや感情の機微などの表現が、①でそれとなく漂わせて、②で強調されて、③で消しさられてしまった様に個人的には感じられました。
私も③を観終わった直後は、この作品の良さを素直に感じたのですが、②を観直し、①を読むことにより愛情の奥深さや感情のリアリティを更に感じ、原作の根底にあるテーマ(障害者の愛と幸福の形と、健常者の障害者に対する愛と幸福の形)の乖離を③に感じていました。
①のジョゼにとって完全な幸福は死というのは、③のジョゼの幸福とは決定的に違っていて、むしろ②のラストの方がそのニュアンスを表していた様な気もする。
なので、今では③は、①や②の深い部分での障害者にとっての愛の残酷さや喜びではなく、限りなく一般大衆に分かりやすく喜ばれそうな恋愛物語であったような気がしました。
まあ、なんにしろ③を観たおかげで、②を観返し①まで読むきっかけが出来たので良かったです。
畳の目を数えて、四つ葉のクローバーを10本集めろ!
ダイバーと絵描きの恋愛物語
実写版見て予習なんてするんじゃなかった。
結構気になっていたので期待して鑑賞。
原作小説を読んでいないのでどちらが原作よりなのか分からないけれども、アニメ版はこれでよかったのか?と思った。
貧困、障害、差別、いろんなものがジョゼを縛り、傷つけて形作ったはず。
特におばあの存在は保護者であり牢屋のような存在だった。
そんな閉鎖生活に平凡な恒夫が入ってくる。
平凡な恒夫と皮肉れ者のジョゼ。二人は互いを珍しがり惹かれあい恋に落ちた。
外の世界には虎がいっぱいいて、でも二人なら怖くない。虎なんて目に入らない、お互いに夢中だから。
だけどやっぱり虎はそこら中に居る。
実写版はこんな感じだった。
アニメ版は優しいおばあに見守られ、夢も希望もある恒夫が、絵の才能があってあんまり皮肉れてないジョゼと出会い、あっと言う間に恋に落ちてデートして喧嘩して、互いに支えあう。
なんて綺麗な話なのかしら。
外の世界には虎なんかいないし、実現したい夢、進みたい道も有る。
実写版は綺麗ごとじゃない恋愛だったけどアニメ版は綺麗ごとな恋愛だった。
いや綺麗な恋愛を否定している訳ではないアニメ作品だし、だけどなんとも味気ないというか、現実感とか共感とか少なかった。
アニメのクオリティは文句なし、絵も綺麗だし声優も違和感なし、ストーリーも実写版を見ていなければすんなり心にしみたと思う。
でも実写版を先に見てしまった者としては、不満が残る結果だった。
登場人物いい人ばっかりだったので、江口徳子とか新井浩文ポジションのキャラが出てれば印象が少しは変わったかも。
せめて初対面で包丁振り回すくらいはしてほしかったな。
劇中セリフより
「怖すぎて夢に出てきそうや」
虎のいる世界と虎のいない世界、我々が生きる世界はどちらだろうか。
鑑賞後に心洗われた気持ちになる、とても良質の作品でした。心の翼は、きっと誰にでもあるのです。
田辺聖子さん原作のアニメ作品。
どんな感じなのか興味が湧き鑑賞です。
「田辺聖子さんの」 と書いたものの
特段熱心なファンというワケでもなく
この作品も読んだことがありませんでした。
年明け最初の鑑賞
重苦しすぎるのは避けたいし、この作品が
ちょうどいいかな、との気分で観てきました。
◇
ふとしたキッカケで出会った男女
足が不自由で車椅子の少女 = ジョゼ
車椅子から投げ出されたジョゼを助ける大学生 = 恒夫
ジョゼの祖母に雇われる恒夫
ジョゼの日常生活の相手役を努めることに。
外に出たい けれど 外は怖いジョゼ
恒夫と共に、色々なところに出かけるようになる。
海
図書館
動物園
共に過ごす時間が増える二人。
昔からの夢がある恒夫
新しく夢ができるジョゼ
夢を追いかけ前を向く二人
恒夫を襲うアクシデント… きゃぁぁ
夢を諦めかけた相手に
勇気を持って手をさしのべる事の大切さ そして
人と人との繋がりの素晴らしさ。
それを描いた、心揺さぶられる素敵なお話でした。
とても良い作品です。
満足です。
帰り道の足どりが軽く感じられたのは
私の心にも翼を貰えたから。 なのかもしれません。
◇
で、
帰宅した直後に原作を読みました。
短編なのですぐに読了。
原作のストーリーがとても気になったからなのですが
その結果、この作品が原作の内容を
相当ふくらませて出来ている事を知りました。
登場人物
原作ではほぼ3人。
・ジョゼ
・恒夫
・おばあ
この作品で増えた主なキャラクター
・恒夫の親友(?) = 松浦隼人
・恒夫に恋する後輩女性 = 二ノ宮舞
・図書館司書の女性 = 岸本花菜
(・ネコ = 諭吉)
この登場人物の追加で、人間関係がより複雑になりました。
けれど、ムダに思えた人が、一人もいません。
みんな、
ジョゼ あるいは恒夫にとって
とても大切な役割を果たしていました。
その点からみても
すごく密度の濃いドラマだったんだな、と思います。
◇ あれこれ
劇中劇(紙芝居)
これも秀逸な内容です。
原作にあるかと思ったのですが、オリジナルみたいです。
「人間になること」
魔法の貝にそれ以外を願うと、人魚はアワになってしまう という設定
瀕死の若者の命を救うことを願った人魚姫
最後は… だめだあぁぁ
こういうの、弱いんです…(泣) ホント
主人公二人の声
を演じたのが
中川大志君と清原果耶さん です
二人の実写での演技が素敵なことは知っておりますが
アニメの声優としてはどうかな?
と心配だったのですが
登場人物のイメージに合っていたと思います。
とても良かった。
◇ 余談
空飛ぶジョゼ
車椅子から投げ出され、宙を飛ぶジョゼ
その図を見て なぜか
「射出されるモビルスーツみたい」
なんて 思ってました。 (しょーもないネタですいません… 汗)
パンフレット
買えば良かった…。
売り切れではなく、単純に買い忘れです。
買いに行ったついでにもう一回観ようかな。 …逆 ?
◇ 最後に
この作品のような良質な作品の
上映機会がもっともっと増えるといいのに。
そう思います。
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。
素晴らしい!
結末には、いろいろ意見あるのもわかる。
現実は、そう甘くないよ。と自分も思う。
しかし、この映画は素晴らしいと思う。
登場人物が、すべて、個人の利益だけで無く、
友人の事を思って、行動している。
レビュー見ると、そこのとこ誤解してる人結構いる感じ。
ジョゼは、自分が別れる決意で絵本を書き、読み聞かせたのだ。だから、退院の迎えには来ない。
舞だって、告白してみて、
ツネオを立ち直らせることは、自分では無理だと
あらためて悟り、ジョゼを挑発に言ったのだ。
舞もラストではカップルになってる。
まあ、偶然過ぎもあるけど、
それを上回るストーリーの上手な展開。
人魚姫の物語で、今まで口に出来なかった感謝を伝え、
ツネオに心の翼の勇気を与えて、
自分は泡にならないで、
もとの自分に戻るだけだから、心配しないで、
あなたは、本来の自分に戻ってください!
て、事。
声優さんも、中川、清原、上手いじゃん。
ただの恋愛映画
アニメ映画の客層の移り変わりを強く感じる映画だった。
ほんとに、アニメでなにやってんだよってほどにぐうの音も出ない程にただただ恋愛映画だった、よくみたらクリスマス公開かよ、僕が悪かったですちくしょー
めっちゃ良かった。
基本、芸能人を声優に使うのはあまり好きでは無いんですが、この作品は良かった。
メインの二人に全く違和感が無い。
むしろ清原果耶はスゴくハマってた!
ジョゼがめちゃくちゃ可愛い!
主要人物がみんな良い人ばかりなのも気持ち良く観られる。
観終わってから、スゴく爽やかな気持ちになれる映画でした。
もう一度観たい!
良かったです
丁寧に作りこまれており、それぞれの場面が一枚絵のような美しさでした。
原作は未読ですが、作風・音楽・声、全て作品にマッチしていたと思います。
特にヒロインの声が素晴らしかったです。
傷つきたくないから乱暴な態度で人を遠ざけ、
希望を持つことさえも自分を傷つけることになってしまう為、
どこか諦観を漂わせながらも、とても純粋なヒロイン。
人生に傷ついてきた人特有の引っ込み思案な性格で、
人との距離の取り方も不器用なヒロイン。
そんなヒロインに、乱暴だけど素朴で繊細な声がとても良く合ってました。
良かったです。
泣ける作品ではないと思う
簡単にネタバレすると、絵の描ける車椅子の24歳女性(くみ子)が大学四年男子(恒夫)に出会って引き籠もりだったのが少しずつ外にも出るようになる。些細なことでケンカして恒夫がくみ子を追いかけてクルマに轢かれたけど絵本を描いて励ましたりリハビリを頑張ったら目標だった海外留学にも行けるようになったぜ。という話。
ボンズの作画は流石に素晴らしい。人物、背景、意外に動きのある描写、俳優さんも違和感ない演技。
ストーリーは凡庸。原作、実写映画とは違いレーティングもなし。引き籠もりになったような暗い人間関係も描写なし。恒夫のバイト仲間の舞も恒夫に惹かれていて告白されるも、結局、くみ子が好きだとなる。同情や打算や性欲といった汚いものなく、屈託のない表情をみせる跳ねっ返りのくみ子がいいというのは、大学四年男としては子どもっぽい。内容に毒がなく安心して見られるぶん薄っぺらいストーリーになってしまったのかなと思った。
原作(1984年)の時代からすると、バリアフリーや電動車椅子、電車の昇降補助、図書館の通路が広くとられているなど環境が相当改善されて不遇な感じもまた薄れてしまっているので別にくみ子が車椅子じゃないといけない理由も、よく考えると、無い気がしてくる。
説明不足が玉にキズ
主人公と車いすのジョゼが偶然出会うところから物語が始まります。
アルバイトとしてジョゼの世話役をする主人公。
祖母から外の世界は虎ばかりで、危険だと教わるが気になるジョゼ。
まず、ジョゼは主人公にただの嫌がらせを始める。
主人公を辞めさせたいのは分かるが、主人公は外の世界の恐ろしい虎だ。
もっと恐れや怒りを表す嫌がらせをして、次第に嫉妬や憧れの感情と繋げてくれればジョゼの感情をもっと表現できた。
いきなり主人公に強く当たっては、虎をも恐れぬ怖いもの知らずと思えてしまう。
それなら外に出ることを恐れないだろうに。
主人公と共に外の世界に導かれるジョゼ。
主人公には見慣れた世界でも、1つ1つに感動するジョゼを見て世界とは素晴らしいのだと気づかされてゆく。
祖母に外出を禁止されても好奇心には勝てず何度も約束を破ってしまう。
私たちの誰もが主人公に共感できるこの映画の見所の1つです。
タイトルのジョゼと虎が出会う場面が来るのですが、納得できない場面です。
序盤から一貫してジョゼはとにかく強いのです。
ほぼ初対面の主人公に対しても強気で文句を言い、祖母に対しても平気で約束を破る。
外の世界に対しても緊張するだけで恐れる描写はほぼ無く、主人公から逃げるために遮断機の降りている踏切にも入る。
恐れ知らずというか命知らずというか。
そんなジョゼが動物園の檻に入った虎を遠目から見て、怖いと言うのは違和感しか感じなかった。
普通の人からしたらジョゼの方が怖いだろと。
外の世界を虎と思い檻に入っていたジョゼと、外の世界に出れない檻の中の虎。
檻から出たジョゼなら、虎を可哀想と憐れむと私は思います。
そして唐突に祖母が亡くなる場面に移ります。
ジョゼは祖母に甘える描写も無く、祖母もジョゼには厳しい態度でした。
外から見ているとドライな関係と見えても、その絆は固く立ち直れないくらい落ち込んでいるだろうと私は勝手に思っていました。
主人公ともドライな関係に見えても実は好いているとするには、その場面が必要だからです。
しかし、ジョゼの悲しむ場面は一瞬も無い。
少しでも立ち直る流れを描かないと、ジョゼの心が心配になります。
そしてジョゼは主人公にアルバイト代が払えないから来なくていい、と伝えます。
主人公は「これで時間を考えず会いに行ける」と言うかと思ったら、本当に会いに行かない。
金が貰えなければ会いたくもないって事かと、ツッコミを入れたくなります。
主人公の同僚が心配してジョゼを訪ねるのです。
お人よしの主人公なら一番に動くだろと思うのですが、理解できません。
主人公の入院から絵本の場面がこの映画のクライマックスです。
私はこの場面が素直に好きです。
誰だって夢があって、でも実現できる人は少ない。
夢破れ傷つき立てなくなっても、いつかは傷を治し歩いていかなければならない。
外の世界を恐れ、檻に入っていたジョゼを導いてくれた主人公。
諦めている主人公を、今度はジョゼが救おうと絵本を懸命に作る。
ジョゼがどれだけ感謝していたのか、主人公を理解していたのかが分かります。
私はここで終わってくれたら良かったと思ってしまう。
ジョゼは主人公のお見舞いと、リハビリを見てるだけ。
ジョゼは主人公を好いているが、主人公はどこでジョゼを好きになったんだろうと思ってしまう。
今度はジョゼが主人公を病院から連れ出して遊んだり、主人公のわがままにジョゼが付き合わされるとかそういった描写を入れないと説得力がない。
面識のあるジョゼの祖母が亡くなった時に、会いにも行かない主人公の愛情は0くらい。
絵本を見たら大好きになりましたとはならないでしょう。
最後に主人公の退院の時、ジョゼが行方不明になる。
人魚が海に帰ったように、そばにいる事だけが愛情の形ではないのです。
ジョゼは別の道を歩むため遠くに移り住み絵本を書き、時を経て出版された絵本を主人公が読む。
そして主人公がジョゼを探し、仲良く暮らすのでした。
なぜなら絵本には続きが足され、再び出会い幸せに暮らす物語に変わっていたのです。って話を私は想像していました。
しかし結果は、ジョゼはウロウロしてて家に帰る途中滑って主人公がキャッチ。
なぜわざわざ、退院の日に連絡もせず虎に会い暗い時間になったのか全然意味が分からない。
序盤の破天荒なジョゼなら分かるけど、常識を身に付けたジョゼはそんな事しないでしょ。
全般に言えるのは説明不足。
映画自体は素晴らしいし美しいのだけど、何か理由が無いとそういう行動しないでしょって所がとても多かった。
いい映画だからこそ勿体ない。
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