「学生の物語にカタルシスなんてなくてもいいじゃん」ジョゼと虎と魚たち(2020・アニメ版) たたたたさんの映画レビュー(感想・評価)
学生の物語にカタルシスなんてなくてもいいじゃん
よいところはキャラと町並みの作画が綺麗なこと。特に表情作画がよかったと思いました。会話、展開のテンポ、声優さんの演技のよさとあいまって、時間を忘れて観られました。
障がいをもつジョゼを特別扱いしない冒頭のシーン、セリフ回しにはオレンジデイズの妻夫木くんを彷彿とさせる空気感がありました。
中盤から終盤にかけての展開について、鑑賞中は不満でした。
起きる問題、その経緯、それをめぐる周りの人の反応、問題解決、それぞれがあまりに直接的すぎるため、それなりに大きな問題が起きているにもかかわらず、カタルシスと呼ぶべきものがないからです。
ですが、観賞後時間が経つにつれて、評価を改めました。
この映画が主眼においていることは、今この時代の大学生活をできるだけ脚色なく、どこにでもある物語を描くことではないか、と。
周りにとっては些細な、でも自分たちにとっては大きな問題の勃発
それに対して劇的なカタルシスのないまま続く日々
経済性を求められない大学生活にのみ許される形の瑞々しさを思い出させてくれる作品と思います。
(でももっと名作にもなれたと思う)
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