「【Josse, another story】」ジョゼと虎と魚たち(2020・アニメ版) ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)
【Josse, another story】
立つ位置によって、見え方も、感じ方もずいぶん変わる。
遠くから、穏やかに見える海も、近くによると荒々しかったり。
寄せては返す波は、追いかけると逃げるようで、逃げると追いかけてくるようでもある。
この30ページにも満たない原作は、読む人や製作者のイマジネーションを刺激するのだろう。
足の不自由なジョゼの個性のなせる技かもしれない。
この作品の恒夫は、原作や、前の映画と異なり、ずいぶん主体的だ。
もう少し言うなら、それさえも飛び越えて、向学心や向上心にも溢れてさえいる。
もしかしたら、若者にはこうあって欲しいといったメッセージがあるのだろうか。
ただ、共通しているのは、ジョゼの足の不自由さを、気に止める様子もないことだ。
個性のひとつのように見ているのかもしれない。
背が低くて、高いところの棚に手が届かないくらいの感じ方かもしれない。
あと、非力でジャムの瓶の蓋が開けられないとか。
外の世界は怖いというように、旧態然とした人々もいるが、描かれる若者の接し方が、そうでないのは、世の中が変化してきていると言うことなのだろうか。
ジョゼと恒夫。
二人は、寄せては返す波のようだ。
追いかけては逃げられ、逃げては追いかけられるような。
「ジョゼと虎と魚たち」は原作も前の映画もラブストーリーだ。
これもそう。
虎と魚たちの解釈は、ちょっとイメージと違ったが、青春っぽさが溢れていると思う。
できたら、原作も読んで、そして、前の映画も観てみて、自分なりのジョゼと恒夫をイメージの中で作り上げて欲しい。
やっぱり、ジョゼは何者にも変え難い個性だ。
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