「人種では判断してはいけないと教えてくれる」クイーン&スリム あたさんの映画レビュー(感想・評価)
人種では判断してはいけないと教えてくれる
見ず知らずの黒人(差別的に言うと*)二人が出逢い、帰り道に運悪くタチの悪い白人(*)警察官に捕まり、いざこざが起き殺してしまう。そこから逃亡ストーリーが始まります。目指すはキューバ。逃げ回っている間、人種に関係なく沢山の幸運に恵まれて何とか捕まらずに逃げ切り、心身共に疲れてしまった二人は車で一晩過ごす事に。朝起きると目の前には銃を構えたお金はあまりないが、逃げている間に助けてくれた白人(*)夫婦の知り合いであろう黒人(*)男性が。銃を構えたのは冗談の一つだったと笑いに変わった。彼がキューバへのジェット機がある滑走路まで送ってくれる恩人となる。
と言うストーリーだと思いますが、ラストシーンでまさかの展開が起きます。
実は、逃げ回っている間に匿ってくれた白人(*)夫婦。奥さんが若干彼らを警察達から、この二人を隠すには抵抗があったよう。でも、何とか夫に合わせ一言も警察にはバラさなかった。
そして、彼らはこの二人にキューバ行きのジェット機を用意してくれている知り合いがいてその手配ももうしてあると連絡先を渡してくれた。
二人が目指すのは、あとはその知り合い。
彼らは最後のシーンで車中で寝泊りし、朝、白人(*)夫婦の知り合いであろう黒人(*)男性が突然車の前にいたんですよね?白人(*)夫婦は、知り合いの外見はどうとか全く言っていなかったはず。
そして、なぜこの黒人(*)男性は、QueenとSlimの居場所が分かったのか。
そうです。この二人を見つけたら警察から大量のお金が入るのです。白人(*)夫婦は、この事を二人に注意するよう警告していました。
この黒人(*)男性は、たまたまこの二人が寝ている所を見つけた。急いで警察に通報し、警察の指示通りに動いただけです。一度家に帰り、二人が銃を持ってたら危険なので自分の身を守るために銃を持っていたんだと思います。彼も黒人(*)である事から二人が信じると思うでしょう。
ここでSlimが重大なミスを犯します。彼に「君は〇〇(白人(*)夫婦)の知り合いか?」
男性はもちろん「はい」と答える。
疑いはあったものの、彼が黒人(*)である事だけから半信半疑でついて行ってしまう。。
自分のトレーラーに二人を連れて行き、友人と話すふりをして警察と話していました。Slimが何度か電話を奪おうとしましたが、この男性は一切渡さなかった。でも、二人とも気持ちが焦っていてそれどころじゃなかったと思います。
そして、ジェット機が止まっている滑走路へ。そのジェット機も二人のために用意されたものではなく、たまたまそこで違う乗客を待っている又は警察が用意した。
二人を置いて、その黒人(*)男性は足早に走り去る。
安心した二人。これでやっと逃亡が終わる。
ところが、後ろに見えるのは何台ものパトカーとそのサイレン。。
絶望的です。
二人の逃げ場はもうありませんでした。
最後の最後に人種で判断してしまった事が大きなあだになってしまった。。
そして、警察に両手を上げて伏せろと言う指示があったのにも関わらず、二人はお互いに気持ちを確かめ合う。
ただ、Queenが話し終わる直前に胸を打ち抜かれ、最後はSlimが彼女の亡骸を両手に抱えながら警察達に何発も撃ち抜かれる。
逃げきれなかった。
私は個人的に「悔しくて堪らない」「人種差別へのやらせない気持ち」「人は人種で判断してはいけない」と強く感じました。
映画のシーン毎に流れる音楽にも注目です。
最後のシーンは、Moses Sumneyの「Doomed」が流れる。「(失敗するよう)運命づけられた」「不運の」「死ぬ運命の」と言う意味です。
美しくアーティスティックに描き、素晴らしいアーティスト達による。音楽との兼ね合いも一緒に。