「原作のよさがない」星の子 吉泉知彦さんの映画レビュー(感想・評価)
原作のよさがない
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原作を読んでいて、悲惨な状況にあっても間抜けで笑えるところやユーモアや自虐的なおかしさがあったのだけど、そういう部分をばっさりカットしている。ただただ悲惨で気の毒な人たちとして暗く描かれていて救いがない。物語を語る上での工夫もセンスもあまりない。
原作の主人公はちょっと頭の足りない子だったのだけど、そういう感じもしなくて芦田愛菜さんなので余計に聡明に見えるし、彼女に好かれたら先生も喜びそうだ。似顔絵を描いているアメリカ人の俳優も『ターミネーター2』に出てた子であることも触れない。作品名に触れることが権利の侵害であるとでも思っているのか、腰が引けた表現でげんなりする。
最後の集会で初めて参加した男の子の演説がものすごく面白かったのに、そこもない。両親が河童呼ばわりされる場面も面白かったのに、つらいだけだ。監督さんや脚本家は相当真面目な人で、今村夏子さんを理解できていない。確実にふざけた人である。
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