「信じるものを信じる」星の子 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
信じるものを信じる
3才の時にデビューした芦田愛菜。
その後多くのTVドラマに出演して日本中を虜にし、可愛らしいルックスと確かな演技力で天才子役と言われた。
が、自分的にはこの頃の芦田愛菜は勿論演技力は素晴らしいものの、ワンパターンの泣きの演技ばかり。TVドラマは全く見た事無く、出た映画数本だけ。唯一良かったのは、毒舌大阪女の子を快演した2014年の『円卓』だけ。
なので、小さい頃はそんなに好きではなかった。
そうこうしてたら、学業専念であまり見掛けなくなった。天才子役もこのままフェードアウト…?
…しかし!学業が落ち着いたのか、数年前からまた頻繁に見掛けるようになったら、あらまあ、びっくり!!
あの芦田愛菜がとっても大きくなって! しかも、人によっては可愛い、人によってはキレイ、少女と大人の女性の狭間、イイ感じに成長しちゃって!
さらに、平成天皇即位30年式典で名スピーチするほどの頭の良さ。
最近お気に入りのTVバラエティーではサンドイッチマン相手にMC初挑戦。
一旦見掛けなくなって復帰してから、無双状態。何をやっても敵ナシ!
そして、『円卓』以来6年ぶりの主演となる映画作品は、まさに才女である彼女だからこそ出来る難役を見事、演じ切った。
ちひろは中学3年生。
成績はまあ平凡、友達とは仲良く、新しく赴任して来たイケメン教師に胸ときめく、至って普通の女の子。
が、両親が…。
両親は“ひかりの星”という宗教団体に傾倒している。
何故…?
ちひろは産まれた時、病弱だった。身体中に湿疹が。
それを治してくれたのが、この宗教。湿疹も不思議な“水”で。
以来、両親はこの宗教と水の力を信じ切っている。
この宗教の儀式。
頭にタオルを乗せ、それを水で濡らす。
自分の命を救ってくれた聖なる水なので、小さい頃は何の疑いも無くやっていた。
今も継続している。ペットボトルで水を飲んでいる。
…でも、成長するにつれ、信じる一方、疑いも持つ。
また、この宗教が原因で、家族や親族に揉め事が。
おじさんと両親が喧嘩。
嫌気が差した姉のまーちゃんが家出…。
それでも、まだ…。
しかし、ある日…
下校が遅くなり、憧れのイケメン先生が車で送ってってくれる!
公園を通り掛かった時、儀式をする両親の姿が。
先生の口から、信じられない言葉が…。
変質者、ああいう連中が居るからおかしくなる、蔑み、罵り…。
…え?
私たちっておかしいの…?
ヘンなの…?
じゃあ、何が正しいの…?
分からない、分からないよ、もう…。
何を信じていいか…。
ちょっと脱線して、宗教への私個人の体験と意見になるが…、
私は宗教やそれ関連はあまり好きではない。
と言うのも、亡き母の事が絡む。
母はいつの頃からか、“エホバの証人”という宗教に入った。かなり熱心に。
裁縫が得意で、それまで近所から頼まれた直しなんかして小遣い稼ぎしてたのに、それすらやらなくなるほど。
小説などほとんど読んだ事も無い母が聖書を開き、勉強し、週に2~3回くらいある集会にも出席。極たまに勧誘にも。
何だか、「…」な気持ちだった。
そんなある日、母にガンが。
かなり進行しているが、手術すれば、その時は50/50の確率で助かる。
しかし、母は手術を拒否。何故かと言うと…
エホバの教えで、手術をする事、つまり、身体を切り刻むと天に召されなくなるんだと。
それを聞いた時、ショックだった。手術して成功して、私たち子供たちとこれからも過ごすより、そんな下らない理由で死にたいのか。宗教をクソ憎んだ。
ガンは末期で、手術はせず抗生物質だけでは勿論ガンの進行は抑えられず、ガンの発見から僅か1年で母は死去。
その後の葬式などもエホバが絡みややこしくなり…長くなるので、ここまで!
なので、時々思う。エホバなんかに入らず、手術を受けていたら、母はまだ生きていたのかな…? それとも、ガンの進行が悪過ぎだったのかな…?
本作は宗教を否定も肯定もしていない。
それでいいと思う。(上記のはあくまで私個人の意見)
信じるものは、人それぞれ。
何を信じるか。
信じるものを信じる。
ちひろが信じたもの。それは、
両親の愛だろう。
例えおじさんや周りから怪しい宗教にハマった家族と言われても、ずっと変わらぬ愛情を注いでくれた。
だからこそちひろは、自分で悩み、選び、成長出来る子になった。
それは両親も同じではなかろうか。
端から見れば怪しい宗教にハマった両親。
でも、その根本に居たのは…いや、これからもずっと、ちひろ。
ちひろだけじゃない。今は離れているけど、もう一人の娘。
最後に一言だけ掛かってきたという電話。
両親は子供たちを信じ、愛してるから。
子供たちも両親を信じ、愛してるから。
シリアスな作品が多い大森立嗣監督作。本作もテーマは複雑だが、作品自体は見終わった後心優しくなる。
両親役、永瀬正敏と原田知世が愛情たっぷりに好演。
宗教を扱った作品にはトゲのある存在も必要。イイ先生から徐々に、岡田将生が性格悪く。
ちひろの友達も好印象。なべちゃんに、おバカだけどナイスな新村くん。結婚しちゃいな!(笑)
そして、言わずもながな、芦田愛菜。
宗教にハマった両親を持つ思春期の少女の悩み、葛藤、心の機微を演じられるのは、同世代の中でも彼女だけではなかろうか。
それくらいの名演。
演技は久々に見たが、天才的な演技力は変わらず。…いや、ますます!
女優・芦田愛菜の第2の躍進として、素晴らし過ぎるスタートを切った。
今後はどんな女優活動を?
本作のようなシリアス役こそ本領発揮。
サンドイッチマンに鍛えられ(?)、コメディなんかも見てみたい。
それから、せっかく可愛く成長したんだから、少女漫画の映画化/恋愛小説の映画化のヒロイン役も見てみたい。
本当に未知なる“才能の子”。
愛菜ちゃんなら信じられる!
近大さん
芦田愛菜さん、NHK大河ドラマ「麒麟がくる」で、明智光秀の娘たまを演じられていましたが、ほんのりとした色香と柔らかな表情で、益々女優としての魅力を磨きをかけられたのでは、と感じました。
今後も注目✨の女優さんですよね。
確かに、、、恋愛ものも見てみたいですね。父心が出てきて、複雑な心境になりそうですが。茶髪にしただけで、芦田愛菜がグレた、、とか、勝手に思ってしまいそうです。笑