「観賞後に考えさせられる作品」星の子 えもんさんの映画レビュー(感想・評価)
観賞後に考えさせられる作品
芦田愛菜が好きで久しぶりの主演映画だからという軽い気持ちで鑑賞しましたが、終わった後は良くも悪くも呆然としてしまい、色々と考えさせられました。
この映画では、普段私たちが当たり前と考えていることが通用しません。
・宗教に傾倒してしまい、娘の修学旅行代も払えないようになるまでお金を使ってしまうのはダメなこと
・宗教に傾倒している妹を目覚めさせるのはいいこと
・宗教に傾倒している子供を助けるのはいいこと
外から見ていたら当たり前だと思うことです。
しかし、主人公は生まれてから宗教に傾倒している親の元で育っているので、当たり前が当たり前ではありません。
本作ではそんな主人公が世間とのずれを認識していく姿が丁寧に描かれています。
主人公は世間とのずれを認識しても、親への愛情を捨てることができません。
特にラストシーンでは、主人公は信仰している宗教団体への不信感を感じながらも、最終的には星を見ることを選択してしまいます。
最初はこんなところで終わるの?と思いましたが、他の方のレビューで、何も見えない空に架空の星を見ることを選択していることが描かれているという解釈を見て、究極のバッドエンドだと思いました。
今後も主人公は世間とのずれに葛藤しながらも、両親を信じていくのでしょう。
宗教ではなく、両親を裏切れない、見捨てられない、ほっとけない等の理由で信じていくのでしょう。
また、宗教が悪徳宗教なのか、宗教団体の悪い噂は本当なのか、なぜ宗教団体の会合で親と会えなかったのか等は何も描かれていません。
鑑賞者の想像に任されています。ただ、明らかに生活レベルを下げて宗教団体の物品を購入しているので健全な宗教団体とは言えない気がします。
考え方によっては、レイプや監禁による金銭徴収が横行している悪徳宗教団体に、主人公が蝕まれていくという見方をすることもできます。
少しでも報われてほしいと切に願ってしまうような作品でした。