スキャンダルのレビュー・感想・評価
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アメリカ文化知らないと難しいかも?
アメリカンな世界での訴訟映画で、純日本人のおれには若干付いていけない展開だったかな。
まさに訴訟大国といったところか。。。
自分の上司、それも業界最強の権力者をセクハラで訴える、それは並大抵の覚悟ではできない。
最初に訴えるベテランキャスター。
ノリに乗ってる人気キャスター。
いつかメインを張りたい新人キャスター。
それぞれがそれぞれの立場でこのセクハラ問題に立ち向かったり立ち向かわなかったり。
こういうセクハラとか枕営業みたいなのは、悲しいことに現実の日本でも存在してるんだろうな。
エロ漫画の世界ではもってこいの展開だとしても、現実ではそういう世界は悲しすぎる。
さて、面白いんだが、やはりちょっとおれにはついていけなかったのが、まずまずの評価に落ち着きました。
Bombshell
フェミニストであることがバランスを欠くような物言い。Fox Newsとトランプの異様さ、それに呼応する街中の白人達。今はもっと酷いのだろうが、理解し得ない社会を内外に示している。
豪華共演と聞いて、もっと派手な作品かと思っていたが、それぞれの人物を丁寧に描き、葛藤とひとつひとつの選択がことの次第を静かに伝えてくる。なんなら吊し上げられても良いような加害者権力側もカタルシスを充填しない。製作側の意図が伝わる。次の段階に来たのだと思う。
FOXニュースの実話。
声を上げることがどれだけ自分の今後の人生を揺さぶるか、たくさん悩んだ人たちの勇気と、まず最初に一歩踏み出した彼女に盛大な拍手を送りたいと思いました。
たった一人が訴えても力でねじ伏せられてしまうくらいの力を持ってる人を訴える。
もし失敗したらなにも変えることができなかったかもしれない。
実話ということで、当時ニュースで見ていたことが
映画化するとこうなるんですね。
権力があればフェイクニュースすら流せてしまう。
ゲス男でしたね、奥様も可哀想。
あんなに彼をかばっていて、裏切られてますね。
この問題はきっと、どこにでもたくさんあるんだろうなと。
組織が大きければ大きいほど起こりうる、小さな会社でも起こりうる、女性が見るのと、男性が見るのとではきっと、受け取り方が変わってくる映画だなと思いました。
勇気をもって行動することには
ちゃんと意味があると思わせてくれる作品でした。
女性主体の復讐劇
実際にあったFOXニュースでのセクハラ騒動をかなりスケールデカく描いた作品。
そんな自分は男性だから、この映画に関して正当な評価はできないと思う。
セクハラはどの社会にも存在する一種の病みたいなもんで、それがケーブルTVの人気局ばかりじゃなく下町の小規模な工場とかでもあり得る問題。
只、男性の自分でも悔しいと思うのは権力の横行。これは許せないよ。
これ以降だろうか、ハリウッドでも様々なセクハラが訴えられて、一つのムーブメントと化していった。
なので女性が観ればスカッとする復讐劇なんだろうが・・・
まあ、例えば(いや、その例えが決して正しいとは思えないが・・・)男性の自分がマカロニ・ウエスタンの「続・荒野の用心棒」を観てスカッとするのに対して、女性が観てもイマひとつな感じ?
を受けるだろうと想像する。
なにしろ80年代におなじみなジョン・リスゴーがセクハラ親爺ってのも個人的には残念なキャスティング。
とにかく悪役に徹してるってか・・・おめージジイのくせにいい加減にしろって単純に思うけどね。
「女だから」の優位性と虐待は紙一重
「美しい女」限定で、「セクハラを笑顔で耐え抜く」ことができたら昇進や高額の年収を手に入れられるが、断ればクビ、という天国か地獄かの選択。
ターゲットになった女性達は、たまたま美しく自己顕示欲や上昇志向が高かっただけでその究極の選択を迫られることになる。
華やかな世界は実力や努力だけがモノを言うわけではない。運とタイミングと覇者の気まぐれが肝なのだ。
よって、奴隷から皇后になるように急転抜擢も夢ではない無理やりポジティブに考えれば、千載一遇なチャンスなわけで。
…
ということは、ほとんどのFOX社員は
女は突出した美しさがないと、アンカーになれない
男は急転チャンスはない
と絶望感を抱いているのかしら。
終盤ロジャーTシャツを配っていた女子は、この絶望感を抱いて嫉妬も感じていたんだろうか。
自己顕示欲が強すぎるのもいかがなもんかと思うが、セクハラはダメ!絶対!!!
二本立て二本目。実話ベースのセクハラもの。 ニュースキャスターって...
二本立て二本目。実話ベースのセクハラもの。
ニュースキャスターって美形揃いですよね。さもありなんって感じ。日本でもこれに近い話はきっとあると思う。告発する勇気、これが並大抵なものではないというのが分かります。
ここからややネタバレ注意。
でも和解金20億って…なんか羨ましい気もしてしまいます。もっとすごいのは被害者全てへの和解金より加害者の退職金の方が多いっていうラストテロップ。マジですか?理不尽すぎて言葉もありません。加害者、大勝利ですやん。
女である前にアンカーよ
映画「スキャンダル」(ジェイ・ローチ監督)から。
メモしたワンフレーズごとは面白い言葉があるのに、
作品を貫くようなフレーズが浮かんでこなかった。
実際に起こった女性キャスターへのセクハラ騒動だが、
それを映画作品にした「狙い」がうまく見つからない。
事実に基づいた・・のお決まりの注釈もなかったから、
だいぶ、脚色されているに違いないのかも・・。
そしてやっと見つけたのは、メモを見直し発見した
「女である前にアンカーよ」というフレーズ。
普通なら「アンカーである前に女よ」なのだが、
女だから、とセクハラを問題にするのではなく、
あえて、この現状を訴える立場にいるアンカーとして、
セクハラを受けた女性である前に・・と強調した。
本来は「性被害を受けた女性」を援護し、
加害者を追い詰めて報道する立場のアンカーだからこそ、
こんな発言をしたのだろう。
手垢のついたフレーズではないからこそ、印象に残ったなぁ。
平坦で散漫
重いテーマのはずなのだが、それほど怒りを感じることもなく、
不快な思いをすることも余りなかった。
それは私が男だからなのだろうか。
理由は2つあるように思う。
1つはいわゆる#Metoo運動が少なくとも日本においては非常にうさんくさく、
心からのシンパシーを感じられないこと。
特にマスコミや芸能界においては、怪しげな連中が跋扈しているように見える。
実際、ハニートラップに填まる愚か者が後を絶たない?
2つめはトランプの存在だ。
事実に基づく話だから実際にそうだったのかもしれない。
しかし、そこが強く出過ぎてしまったがために、フォーカスがぼけた。
そして、3人それぞれの内面を掘り下げられず、比較的平坦なストーリーとなってしまった。
全体としてつまらなくはなかったが、心に訴えかけるパワーはなかった。
2回めにしてやっと。。。
たまたま、2回目。2本立てだったのでタマタマ。
やっと意味が分かりつつありますが、まだ。。。
トランプさんとの絡みがよくわからず。
パワハラ??訴訟?
それにしても、ニコールさんは、凄いなぁーと。
アップに耐えうる⤴️素晴らしい☆彡
今に続く闘いの狼煙を上げたは、アンカーウーマン
開幕早々、2つの事に驚いた。
まず、シャーリズ・セロンの面影ナシ!
演じたのは、アメリカ人なら誰もが知っているという人気キャスター、メーガン・ケリー。
恥ずかしながら本作の前までは知らず、似てる!似てる!と大評判の特殊メイク施したシャーリズの画像とメーガンご本人の画像を見てみたら…、
凄まじいそっくりメイクが作品の内容と等しいくらい超驚き!
見よ! これが日本人の誇り、カズ・ヒロ氏の神業だ!
そしてもう一つは、トランプ攻撃。
トランプが独裁者になる直前。メーガンは討論会やニュースの対談などで、直接トランプと衝突する。
きっとトランプは名前だけで、よくある相手側へ配慮…と、思ったら!
ニュース映像や肉声など、思ってた以上にガッツリ登場!
トランプが独裁者となった今、よく作れた…いや、よく作った!
きっと、妨害や圧力あった筈。
それにもめげず、企画が頓挫しかけた時も、兼プロデューサーとして完成に漕ぎ着けたシャーリズ。最近は専ら、アクション・ヒロインとして人気だが、本当の意味で闘う女性だ!
米大手のTV局、FOXニュース。
2016年、そのCEOで米TV業界の帝王ロジャー・エイルズを女性キャスターがセクハラで訴えた、全米震撼の実話を基に映画化。
日本で例えるなら、徳島アナや貴島明日香ちゃんが日テレのCEOにセクハラ受けたような事。ゆ、許せん…!(#`皿´)
事の発端は…
看板キャスターの一人、グレッチェン・カールソンの解雇。
視聴率の最もいい朝のニュース番組を降ろされ、視聴率の最も悪い昼のニュースに左遷され…。
元々我の強い性格でもあるが、かつてロジャーからの性的誘いを断った事があり…。
若い社員のケイラ。
ミス続くが、TV業界での成功を夢見る野心家の面あり。
そんな彼女の若さと美貌をロジャーが気に入り、ある時彼のオフィスに呼ばれ、そこで…。
そんな時、グレッチェンがロジャーを提訴。
局が大スキャンダルで揺れる中、メーガンは沈黙を突き通す…。
訴えの声を上げた者、新たな被害者、事の成り行きを見る者…。
彼女たちが各々どう動くか。
作品は三者三様の視点で展開していく。
それにしても意外なのは、局内の女性のほとんどがロジャー派だという事。“チーム・ロジャー”なんて女性たちも現れる。
そこにどんな思惑があるか分からないが、一応超大物でやり手だし、TV界に多大な貢献をし、多くの女性たちに今の地位や仕事を与えた。
つまり今話題の、施されたら施し返す。恩返しで御座います!…ってやつ。
しかし、だからと言って許されるものではない。
徐々に出るわ出るわの醜聞。
女性軽視発言。女性を性の捌け口。自分の好みなのか、局内のほとんどの女性にタイトな服やミニスカを履かせ、生足がセクシーに見えるようワイドで撮る。当時、それ目的で見てた視聴者も多かったんだろうなぁ…。
そして、ケイラとの自室での“密会”。
もはやあれは、変態エロじじいに他ならない。
しかもそれを、口封じさせる。
セクハラでパワハラ。
ロジャーにハーヴェイ・ワインスタイン、そしてきっとトランプも、皆似た者同士。
ケイラ役のマーゴット・ロビー。
演じた役は複数の女性被害者を合わせた架空の役柄らしいが、その苦悩はリアル。号泣するシーンは胸に迫った。
ニコール・キッドマン演じるグレッチェンも実在の人物。シャーリズとマーゴットはオスカーにノミネートされ、彼女だけ弾かれたが、実際にあったこの物語は彼女の勇気ある告発が無ければ始まらなかった。
シャーリズ、ニコール、マーゴット…実力も華もあるハリウッド3大女優の共演。3人がエレベーターで一緒になるシーンは、スゲェ…!
ロジャーも存在感無くてはならない。ジョン・リスゴーがさすが! 彼もまたカズ・ヒロによる特殊メイクで、さながら“ジャバ・ザ・ハット”級!
それから、ケイラの同僚役のケイト・マッキノンも好助演。
ロジャーはあの手この手で妨害。全面否定する。
当初は孤立無援だったグレッチェンだが、後に続く同じ被害女性たちが。
そして遂にメーガンも動く。
旗色が悪くなってきたロジャー。
グレッチェンがトドメの一撃。
それでもロジャーの悪あがき。とことん憐れな奴…。
グレッチェン以外の女性キャスターたちが後出しジャンケンと指摘されてるが、それくらい権力に立ち向かうのが難しいという事を自分的には感じた。
かつては『オースティン・パワーズ』『ミート・ザ・ペアレンツ』などコメディ派だったが、最近はシリアス作品も多いジェイ・ローチの演出も快テンポ。
実話、実名、スキャンダラスな内容で興味津々で、確かに面白かった。一本の映画として。
しかし、実際の関係者や業界に与えた衝撃はただ事ではないだろう。
ハリウッド映画業界でもさらに悪質なワインスタインの事件があったが、日本でも間違いなくあるだろう。
“枕営業”なんて言葉をよく聞く。
関係を迫る側。
業界での成功の為、自ら体を売る側。
それは氷山の一角で、明るみになってない事実はどれほどあるだろう。
どの国でも、どの業界でも。
エンタメ業界は夢のある世界か、それとも…。
ラストのケイラの姿が意味深だ。
が、本事件やワインスタイン事件がきっかけで拡がった#ME TOO運動。
それは今も続く。
美しきアンカーウーマン
個人評価:3.8
シャーリーズ・セロン&ニコール・キッドマン。
洗練され過ぎた女優2人の鋭い眼光に、たじろぎながらも魅入ってしまう本作。
キャリア志向の塊のTV業界の中での、セクハラとキャリアとの等価交換。利用したか、それとも利用されたかで立場も変わる。
またマーゴット・ロビーやケイト・マッキノンもとても良く、大好きな女優陣勢揃いで見応えがある。
見る人によって評価は変わるかも
性犯罪の被害当事者や、関わったことがある人と、「被害にあったこともないし、そんなの滅多にないでしょ?自分の周りにはそんな被害者いないよ」タイプの人が見るのとでは感想が大きく変わると思います。
私はストーリーだけでなく、セリフやキャストの表情、一挙一動に感情移入してしまい最後まで目が離せませんでした。
特にセリフ(吹き替えで見ました)が『一見普通のことを言っているけど当事者にとってすごく重い言葉』が自然と使われていました。とてもリアルだった。
この映画によって、性別に関わらず全ての人が声を挙げ、
また、被害者の性別に関わらず、性犯罪が少しでも無くなることを祈ります。
分断を引き起こした男
スリリングなエンターテインメントとしての進め方だけに軸足は置かない。
キャスター達の気持ち、
ロジャー・エイルズの罪の深さ、
影響の大きさ、
をじっくりと描く。
が、
もう少しキャラクターを作り上げても、
よかったか。
実話ベースの作品は、
リアルに仕上げようとして、
事実に呪縛されて、
登場人物がのっぺらぼうになるケースがある。
特にこういう作品ではさじ加減が難しい。
敵の敵は味方の描き方はよかった。
ヒットしたから、
興行的に成功した、
という事で括ってはいけない問題を、
伝える!
という、
大きい問題に対峙するスタンスや気概のようなモノは感じた。
ルパート・マードックをマルコム・マクダウェル!
若い頃の非道ぶりをアレックスでつなげたか?
エイルズが、
ヘイトマーケティングで集票、
トランプを大統領に担ぎ上げた手法、
嘘みたいなプロセスに詳しい、
「ザ・ラウデスト・ボイス―アメリカを分断した男―」と併せておすすめです。
男世界の本源を突く、重苦しい作品。
FOXニューズ社という、全米3大ネットワークに次ぐテレビ網を支配するセクハラ権力者。
その権力者のセクハラに迎合し、取り入ったことによってキャスターの座を得てきた女性たちのうち、権力者の寵を失って左遷された者が、権力者のセクハラを告発した、という作品です。
キャスターの女性たちは脚線美を誇張せねばならず、それを接写するカメラワークによって大衆人気を得ていた(とまで言い切ってしまうと史実に反するかも知れませんが)テレビ局が舞台です。
つまり、女性に対してまず第一に、外見(セクシーさ)を求める数千万人の視聴者の代表として、権力者はキャスターたちを慰み物にしていたわけです。
それを視聴者のアナタも心の奥底では望んでいたでしょ、つまりあなたがた視聴者も共犯者なんですよ、と告発しているわけです。
観ている側としては、テレビに写る女性は、きれいなほうが嬉しい……という、単純で素朴な願望は抑えられるものではありませんが、それが女性に対するハラスメントを構成するわけなので、いったいどうすりゃいいのでしょうか。
その答えは、同じ日に「チャーリーズ・エンジェル」を見たことによって気がつきました。
こちらは「女性をモノとして鑑賞する観客たちを喜ばせる映画」の典型です。
つまり、もしかして、有名人という職業は、ハラスメントを甘受すべき職業上の高度な義務を負う職業なのかも知れぬとも考えられるわけです。
つまり一般人の尺度でこの「スキャンダル」という映画の「セクハラ権力者」を断罪してしまうことは早計に過ぎるのかも知れません。
例えとしては穏当ではありませんが、ソープ嬢や風俗嬢という商売を選んだ女性たちが、職業上、男性から受けることを甘受すべき水準と、オフィスワークで働く女性が甘受すべき水準とは、まったく違っているのが当然であり、それは彼女たちの報酬額も違うのだから、一刀両断に語ることはできない、という点です。
ニュースキャスターは、単なるOLよりも、はるかに高収入なことは間違いないでしょうから。
というわけで、あらぬ方向にまで悩んだ、そんな一日でありました。
ほんとの別人メイク
エンタメニュースには「あれ、こんな顔だったっけ」枠がある。
ポータルにはまいにち他愛ないエンタメニュースが挙がってくる。
顕著なのは、芸能人の誰某がSNSを更新し、その態様または発言が好評あるいは炎上──というものである。
そんななかに、写真系SNSでの顔に対して「あれ、こんな顔だったっけ」と反響が寄せられた──というものがある。
もとよりメイクは、別人や若返りを目途にやるものではなかろうか。
芸能に生きる人なら尚更そうであろう。
「あれ、こんな顔だったっけ」と思われることを目指している彼女の、なんども取り直したはずの写真に「あれ、こんな顔だったっけ」とは、素直な反応である。素直というか、下世話というか、発言の有効性が希薄である。
きょうび、どうにでも撮れるだろうに。
もっとも、芸能人の写真系SNSに寄せられるコメントに、有効性の希薄でないコメントはない。
わたしも小市民ゆえ「あれこんな顔だったっけ」の釣りに、インスタを覗く。
すると、まず間違いなく「あれ、こんな顔だったっけ」言うほど──ではない誰某が、そこに写っているのである。
この手のエンタメニュースをばかばかしいと一蹴する意見があるのだが、釣られた以上、ばかばかしいと言える義理はない。
あんがい、ばかばかしいと思っている人たちがポータルにあがるエンタメニュースをつぶさに拝観している──わけである。
ところで、シャーリーズセロンはよく見る女優である。
ただこの映画の彼女は、識別できない。
ほんとの「あれ、こんな顔だったっけ」である。
Monster(2003)の彼女は、それでもまだ判る。
しかしこの映画のばあい、スチールを見た時点で、キッドマンとロビーと、あれ・・・これは誰だ?となった。
映画のなかでさえわからない。
寄ってもわからない。
アカデミー賞において、衣装賞や美術賞、あるいはメイキャップ賞など、縁の下系の賞は、われわれ素人目には、すごみがよく解らないことがある。
もちろん男女優賞も、作品賞、監督賞であっても、主観からすれば、あの人よりこの人だろ、とか、あれよりこっちだろ、との感慨はまぬがれないものだが、専門系の賞は、規準を形成できないため、へえなるほどと納得するしかない。
が、Bombshellのメイキャップ賞の受賞は、素人目にも完全に納得ができる。
それが、すごい。
氏は受賞にともなって、アメリカ人に受け容れられやすい、通名にしている。
その戦略性にも感心した。
ものまねメイクで一世を風靡し霧消した芸人がいたが、メイキャップのような専門職において、目指しているところの違い──を見せつけた。
どんな分野でも、やる人はやるのだ──を感じたわけである。
個人的にいちばんよかったのはジョンリスゴー。食いまくり暴言吐きまくり。絵に描いたような醜悪。圧倒的に隔意を催させる。昔っからうまい人だった。
映画はやや告発色がつよい。純粋なエンターテインメントを逸脱する怨嗟が見える。
がんらいドキュメンタリーになるものを、メーガンケリーらの知名度がハリウッド女優を配した映画に仕立てた──の感があった。
すなわち被害者が声をあげるには被害者自身にも権勢が必要になるという構造が見え──なくもない。
これが何かといえばMeTooが有名人たちの出来事である──という誤解である。
とうぜんセクシャルハラスメントは巷にもある。
そこではMeTooのような大局な運動は役に立たない。
MeTooがなんとなく公的事業報告な雰囲気なのはその点だと思う。
ゆえに庶民としてはセクシャルハラスメントの映画というより、業界内の攻防ドラマに見える。
しかしそれはそれ。これはこれでいい。
フォックスの重役ロジャーエールスの話だったがイギリスのジミーサヴィルという人はもっと酷かった。百人超が性的暴行などの被害に遭いながら、当人はナイトの爵位を受勲した──とwikiに書いてあった。
MeTooは氷山を瓦解させつつあるけれど、まだ一角を感じる。それらは権力や宗教に隠れている。有名であろうとも、業績を残そうとも、故人であろうとも、その墓石には唾を吐くべきだ。
しかしいまわたしが唾を吐きたいのはこの邦題である。
リザガストーニのと重なるしジョアンヌウォーリーキルマーのとも重なるしチョンドヨンのとも重なる。ぜんぶわたしのお気にである。
多くの人に観てほしい
これが実話だなんて信じられない…
声をあげた女性達、勝利を納めた努力に頭が下がる。
働く女性でセクハラされたことない人なんて、いないんじゃないかな。
程度の差はあれど。
男性は気づいて欲しい。
勝利の後も苦しみは続く。
女は客体ではなく主体であると認めてほしい。ひとり残らず全ての人に。
巨大企業であるFOXに謝らせた女性(たち)の話で、勇気が湧き立つ力強さを感じた。けれど、高揚感のみを持って見終えることはできなかった。
だって同じような例は腐る程あって、現在進行形の場合もあるし、客体として扱われていると実際に感じて生きているから。
マーゴットロビーの声が、アニメ声で可愛かった。ケイラの一瞬で大量に溢れる涙は、すごく痛みを表していたと思う。
シャーリーズセロンのメーガンはすっごく美人なんだけどシャーリーズの面影全然なくて、メイクすげーっておもった。
いかにもアメリカ
3人の超有名女優が共演していることがこの作品の一つの売りだが、たしかにゴージャスで見応えは十分。キャラクターも上手く描き分けられていると思う。ただし3人のキャスターがセクハラに対して仲良く一致団結して抵抗するというわけではない点が、ちょっと予想外だった。そこは個人主義のアメリカならではといったところか。あくまでも三者三様。もともと局内で花形ポジジョンを争うライバル同士でもあるわけだから、困難に遭っても公然と仲良く振る舞ったりはしない。各々が自分の立場に立ってセクハラに対して行動を起こしていくという筋書きだ。
全259件中、61~80件目を表示