「映画館で見なくても良かった」ヒノマルソウル 舞台裏の英雄たち mさんの映画レビュー(感想・評価)
映画館で見なくても良かった
評価が良さそうだったので見てみたのだが思っていたのと違った。
スポーツ根性や精神論という不確定なものを根拠とし、
行動を正当化する後半の展開に正直引いてしまった。
オリンピックとは、公式HPの記載には
”スポーツを通した人間育成と世界平和を究極の目的”とするとある。
この映画で描かれていることは、これと対極のできごとだと思った。
これが実話だということに唖然としてしまった。
時代背景もあるだろう、今から20年以上前の話だし、
行動せざるを得なかった関係者たちの葛藤や、知られざる意志を、
映画化し記録に残す意義はあったとは思う。
しかし、スポーツ界での不正やパワハラなどが問題視される現在、
このテーマを扱うなら別の描き方があったのではと強く思う。
感動ものではなく、問いを投げるような作りだったなら。
せめて、理不尽な状況に立ち向かう姿勢こそを描いていたなら。
とても、感動しためでたしめでたしで終われる内容ではなかった。
こうせざるを得ない環境で、無自覚に順応している彼らに、
お上の御都合通りに、自ら進んで命をかけてしまう彼らに、
このテーマを、そのように描いたこの作品に、
疑問の方が勝ってしまって涙も出なかった。
でも見なければこの事実を知ることもなかったので
その点は良かった。不勉強な自分に恥ずかしさも感じる。
前半の、世論や力不足に惑う主人公と寄り添うパートナーの姿は、
ひとが迷いながらも自己をみつめ、相談できる誰かと
お互いを尊重しながら少しずつでも前を向き
進もうとする姿が描かれていて良かったです。
コメントする