「リレハンメルから長野への流れを知らない人は楽しめるのか?」ヒノマルソウル 舞台裏の英雄たち Scottさんの映画レビュー(感想・評価)
リレハンメルから長野への流れを知らない人は楽しめるのか?
舟木選手がなにかのインタビューで「テストジャンパーの方たちにも感謝したい」って言ってたんだよね。だから、大変な働きをしたっていうのは知ってたの。どんなだったのかなと思って観てみたら面白かったな。
リレハンメルの原田の失敗ジャンプはテレビで観てて驚いたんだよね。こんなことがあるのかって。ただ長野五輪に向けて強化は順調だったし、次こそ金だって思ってたの。
その裏側での代表選考、団体戦のメンバー選出はこんなに熾烈だったんだね。前回五輪のメダリスト二人(西方、葛西)をメンバーから外して、それでも金メダルが取れるってすごい充実の布陣だったんだなと観てて思ったな。
リレハンメルから長野のジャンプ団体は、原田のドラマなんだよね。長野五輪団体の原田の一本目は距離が出ないのね。気候のコンディションが相当悪かったらしいの。「本当にこの状況で飛ばすの?」って感じだったっぽい。
だから余計に「ここで終わったら……」ってみんなが思ったの。そこでテストジャンパーの出番になったら、燃えるよね。それだけじゃドラマにならないから、西方と原田の葛藤を描いてるんだけど。
劇中で「メダルをかけてオリンピックで飛べるチャンスなんてない」っていうのは、本当だと思ったよ。西方ですら届かない超熾烈な競争に残らないと日の丸背負って飛べないのに、その状況がきた。やるよね。
そして無事、競技再開となり、原田も良い条件で飛べて二本目は大ジャンプを出すんだよね。「自作自演なのか」とまで言われた逆転の大ドラマ。
「仲間が手をさしだしてくれなかったら、僕は今でもあそこ(リレハンメルのジャンプ台)にいると思う」といった原田が、仲間のためにも飛んだ。長野五輪のインタビューで、リレハンメルの悔しさをみたいにふられたときも「ここはリレハンメルじゃないからね。みんなで手をつないで」と答えた。
そういう背景を知って観てると、もう一々感動するんだけど、その辺を知らない人が観たら、この作品はどうなんだろう。
感動実話の再現ドラマになってるから、演技とか、割と一本調子なの。小坂菜緒もかなり一本調子の演技なんだけど、そういう役だから、まあ良かったかな。
あと実況が《スキージャンプ・ペア》の人なんだよね。これがおかしくて。どこかで、とんでもないジャンプが出ちゃうんじゃないかと少し思いながら観てたよ。