「今観るべき作品!」ヒノマルソウル 舞台裏の英雄たち おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)
今観るべき作品!
イオンワンデーフリーパスポート1本目
23年前、テレビで日本を応援していた長野オリンピック。その金メダル獲得の裏側でこんな熱い物語があったとは、まったく知りませんでした。オリンピックやワールドカップの時だけのにわかスポーツファンの自分は、そもそも本作の中心で描かれる西方仁也さんを存じ上げませんでした。本作を通して、いい勉強をさせてもらいました。
本作では、日本代表のスキージャンパーだった西方仁也が、前大会で逃した金メダル獲得を目ざし、長野五輪に向けて練習に励んでいたが、腰の故障から代表入りがかなわず、テストジャンパーとして長野オリンピックに携わり、大切なものに気づくまでが描かれます。はっきり言って、予告であらすじはほぼ予想でき、そのとおりに進行していくので、驚きはありません。しかし、そこに家族や仲間との絆がしっかりと描かれることで、物語に深みが増し、感動的な作品に仕上がっています。
主演の田中圭さんは、オリンピックにかけるストイックなアスリートを好演しており、妻役の土屋太鳳さんと醸す雰囲気もとてもよかったです。この二人は「哀愁しんでれら」に引き続いての夫婦役ですが、本作の方が断然しっくりきます。二人の思い出のジャンプ台で、夫を毅然と支える土屋太鳳さんの演技には泣けてきました。
脇を固める、古田新太さん、山田裕貴くん、眞栄田郷敦くん、濱津隆之さんらも重要な役どころをきっちり演じ切っていたと思います。これだけ名の知れた俳優さんに対して、少しも引けをとらない演技を見せたのが、小坂菜緒さんです。まったく存じ上げませんでしたが、日向坂のメンバーなんですね。最近のアイドルの演技力には驚かされます。
これらの役者さんたちが文字通り一丸となって物語を作り上げる姿は、劇中で命懸けで金メダル獲得に挑む姿と重なります。いくつもの伏線を回収しながら迎えるクライマックスシーンは、結果がわかっていても感動が抑えきれず、肩を震わせて涙してしまいました。
開催の賛否が問われる東京オリンピックですが、できる限りの感染症対策の下、どんな形でもいいので開催してほしい、日本選手にがんばってほしい、心からそう思えるようになりました。今だからこそ、ぜひ多くの人に観てほしい作品です。