劇場公開日 2020年8月28日

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「ジオラマとスクリーンサイズ」幸せへのまわり道 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0ジオラマとスクリーンサイズ

2020年9月6日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 フレッドはほんとに聖人であるかのように、ロイドの家族問題について見抜いてしまったようだ。どうしてわかるの?と思うくらい、的確に見抜く眼力は凄いものがあった。取材といっても休憩中の数分のみだったのに・・・

 ロイドを中心としたありきたりの家族再生の物語ではあるものの、このヒーローとも言うべきフレッドの怒りを鎮める技術が功を奏した物語でもあった。「許す」「許さない」は本人の問題でもある。これを基本にまるで催眠術にでもかけられたかのように心が洗われていくのです。

 しかし、終盤になると、あまりにも宗教色が強くて本当に洗脳されるんじゃないかとも感じてくるのも確か。怒りを抑えることが本当に善なのか?とも否定的に見てしまい、家族や近所の問題なら正しいのだろうけど、国レベル、地球レベルで考えたらどうなんだろう?確かに争いごとは減る。しかし、為政者がその力を得たら、とんでもないことになるとも想像できるのです。子どもの頃から怒りをコントロールすることによって、無批判になり、無気力にもなりかねない。従順で反抗しない国民として飼い慣らすことが可能なのです。

 まぁ、そうは言ってもフレッドの心を見抜く能力は凄いし、帰った後ですぐに電話でアポを取るとか、写真を撮ったり、家族の名前まで覚えておくとかという付き合い方は営業マンなんかには必要なこと。人との付き合いにおいても大切なことを教えてくれるので、コミュニケーションとか“おもてなし”とか大切にしたい人には必見の作品かと思いました。

kossy