「「許す」ことの難しさ」幸せへのまわり道 h.h.atsuさんの映画レビュー(感想・評価)
「許す」ことの難しさ
「許す」ことは「決断」すること。
とても重く心に響く言葉。
当たり前のようだが決して簡単なことではない。本人が能動的にならなければ、自然と気づいたら、「許す」状態になるわけではない。
主人公のFred Rogersは穏やかで怒りとは無縁のような印象を受ける。しかし、彼はもともと短気な性格で、みんなから愛される穏やかな性格は天性のものではなく、努力して身につけた結果であり「聖人」と呼ばれることを嫌っていたと夫人は言う。
Fred Rogers自身が苦労してきた経験から、
Lloyd Vogelが抱える苦悩を見抜き、共感し、彼を救いたいと思ったのかもしれない。
怒りと不寛容に満ち溢れた、現在のアメリカ。お互いの攻撃的な主張が飛び交い、「許し」を受け入れる余裕はない。
すべてのテロや紛争は「相手を許せない」状況から始まる。
宗教的ではない、愛と寛容に満ち溢れた人物はこのアメリカにいた。
Fred Rogersのような影響力のある人が今のアメリカにいれば分断社会の様相ももっと違ったものになっていたかもしれない。
映画の進行においては、TV番組「Mister Rogers' Neighborhood 」の世界と行ったり来たりするスタイルがとてもユニーク。おもちゃの町もとてもカワイイ(NHK朝ドラ「ひよっこ」のオープニングのよう)。
いつも楽しく拝読させて頂いてます。
>> すべてのテロや紛争は「相手を許せない」状況から始まる
ここ凄く共感し、心に響く表現だなと思いました。
今のアメリカ国内もまた小さな火が大きな火になろうとしています。
敵を攻撃するきっかけを探すのではなく時には許すきっかけを見つける事が大切だと改めてこの作品で感じますね。