ビッグ・リトル・ファーム 理想の暮らしのつくり方のレビュー・感想・評価
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自然農法
自然農法のドキュメンタリー。いい面ばかり特集されがちな農法をトラブル込みで美しい映像とともに描かれている。ここまでダイナミックな森を舞台にして、動物もたくさんで癒やされ映画だった。規模がでかいので、森の中に住んでいるようである。
特にカタツムリなど害が出てきたときの対応策は面白かった。天敵を増やす。コヨーテの天敵はおそらく人間などになるのだろう。そう考えると、動物界のトップに位置づけられるとして欲をコントロールし始めたのは人類の進化であるような気もしてきた。最近では熊で話題だが、適度に間引くのは自然にとって重要なのだろうか。
そうした観点から見ると今の少子化も一種の自然の連鎖の中の一つの「意味」のある事象という側面もあるのではないかと思った。増えすぎないように自然調和されているのかもしれない。
しかしこの自然農法は唯一、異常気象やビジネスとしての生産への対応は弱い気もした。傷だらけだけどうまいは買ってくれるかもしれない。しかし異常気象で干ばつになったら。数千年単位の長期目線で見れば予定調和されていくと思うが、その変革期でこれで生産、ビジネスを起こすとすれば、自給自足ならいいが、ややどころかかなりの忍耐力と仲間や友人がいないと難しいだろと思った。
つまり、自然とは、、、、、、、、、、完璧なんだ。
仏教の輪廻転生と食物繊維は非常に酷似している。それが『自然だ』と力まずに彼らは語る。
どこまで演出なのかは分からぬが、それを差し引いても、続編が見たくなる作品だ。
高畑勲先生『思いでポロポロ』や『平成ポンポコ』を思い出した。
現代の『大草原の小さな家』だね。
勿論
これだけの事をやる亊に全く脚色がないとはいえないかも。でも、基本理念が間違っていないし、ここまでやれば、海面が上昇するなんて亊を無理強いする事はなくなるので、大いに共感する。人工的で市場主義に特化した内容であっても、やってみれば良いと思う。
自然に学ぶ農園づくり
保護した愛犬トッドが吼えるので都会暮らしをあきらめて田舎に引っ越すという愛犬家によくある話かと思ったら本格的な農場経営とはすごい飛躍ですね。
LAから北へ64km、ムーアパークの農園アプリコットレーンファームズの創設と発展までの8年間を追ったドキュメンタリー。土地勘が無いのでピンとこないが東京で言えば奥多摩当たりの遠さでしょうか。
広さ200エーカーはマザー牧場の1/3位だからリトル・ファーム。そこに家畜850頭、果樹1万本のほか花、野菜、ハーブなどをバイオダイナミック農法で育て地元やネットで販売、観光ツァーも営なんでいる。
農場主のジョン・チェスターさんはテレビの動物番組で世界を取材したドキュメンタリーの本職なので農園・牧場を拓く経緯を撮り溜めていたようです、自らキャストを務める手法はムーア監督流ですね。
メインは農業の素人のチェスター夫妻がメルボルン大学のアランヨーク名誉教授にバイオダイナミック農法の手ほどきを受けながら軌道に乗せるまでの失敗と復興の記録です。
バイオダイナミック農法というのは有機農法を更に純化、土壌づくり、肥料から害虫駆除まで農場の生態系の自然な営み、循環で行うと言うもの、百聞は一見にしかずではないがミミズを培養して肥料を作ったり果樹の下草を食べて刈るのは山羊さんたち、アブラムシの天敵がテントウムシ、野ねずみはフクロウ、葉を荒らすかたつむりはアヒルがついばむところなどつぶさに見せてくれています。17頭も出産するお母さん豚や孤独な鶏との絆、親を亡くした子ヤギの乳母探し、コヨーテから家畜を守るわんちゃんなど流石に動物を撮るのが本職なので見いってしまいました。
幸いに山火事の被害も無くホッとしましたが自然頼みの生き方というのは薄氷を踏む思い、おいしくて安全な食材を作ってくださる農家さんには感謝ですが理想の暮らし、憧れには至りませんでした。
とてもよかった
コロナで休館していたシネウインドが再開したので、久しぶりに映画館で映画が見れた。多種多様な生命の息吹が感じられる映画で、コロナでの自粛から解放されようとしている今の気分にぴったり。
ミミズや動物のうんちがいかに生態系に重要であるか、また、ありとあらゆる動物を飼育することが重要であるかがよく伝わる。いきなり広大な農場を始めていて、最初は小さい方がいいのではないか、手におえないのではないかと心配したがあの広さがまた重要なポイントであった。
師匠のおじいさんが秘密を抱えていたというので、てっきり何か着服していて追放されるのかと思ったら、まったくちがっていた。
映像が美しい。赤ん坊があっという間に大きくなる。「今に波乗りのようになる」と言われていて、本当にすごい波乗りになって楽しそうだった。
自然の美しさと醜さ
内容はしっかりとしたドキュメンタリーだが、主人公が動物カメラマンというだけあって美しい映像も満載で動物たちが生き生きと描かれていた。
農場の良い面だけを見せるのではなく、生まれて間もない羊を安楽死させたり、蛆虫がたかる牛の糞の映像がアップで映されるなど、我々が目を背けがちな自然の負の部分を隠さず映像化している点も好感を持てた。
こんなに内容に引き込まれる映画は久しぶりで、自分もこんな所で働いてみたいなとか、コヨーテのような大型肉食獣が少ない日本では難しいかもと色々想像が膨らんだ。
自然の美しさを改めて実感させられる
よみうりホールにて試写会鑑賞。
見終わった率直な感想としては、素直に自然の美しさを心から感じ、とても感謝の気持ちで劇場を後にできる。そんな作品だ。
ドキュメンタリー映画のため映されたもの全てが現実として受け取ることができる。
この作品で登場する動物達は決して家畜ではないため食肉として育てられてるわけではない。
自然の一部として動物達を半ば野性的に育てる事で、農作物を育てるためにも彼らが必要なんだと説明があった時はとても興味を引かれた。
彼ら動物の糞は大地にある土や草、そして農作物の栄養源となる。
そして農作物を育てる上では欠かせない害虫害獣の対策。それらを農薬などで防ぐのではなく、これらを駆除するのもまた動物達に任せるわけだ。
例えば農作物の葉を食べてダメにしてしまう害虫は鳥に任せ、時には売り物となる果実を鳥が食べ荒らしてしまう場合は、その害獣たちより更に大きい鳥たちが彼らを食べることで果実を守る。
時には果実をダメにしてまうツチネズミをヘビが、狼ががネズミを食する事で果実が守られる。
そうやって自然の生態に任せて農作物を育てあげたのがこの作品のチェスター農家のやり方である。
人為的なもので農作物を守り、育てることももちろん素晴らしいことだと思うが、こうやって自然に任せて作り上げるものもまた素晴らしく美しい。
作物を育てることは決して簡単な事ではなくいろんな困難に遭遇する。
しかし困難を解決する事は意外と簡単だったりする。害獣と思われていたものが害虫を排除してくれた様に、困難と思われていた事が困難を救ったりする。
そうやって自然というものは絶妙なバランスで支えあってできており、作中でも語られていたがそのバランスこそがまた完璧なんだと。
そんな自然の美しさや自然に対する感謝の気持ちを改めて感じさせてくれる作品だった。
ただ感謝するだけではダメだ。今日この日から自分も自然を大切にできる行動をしていきたいと心から思った。
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