「「悲しみは、乗り越えるでなく、つきあうもの」」ステップ れいすけさんの映画レビュー(感想・評価)
「悲しみは、乗り越えるでなく、つきあうもの」
いい映画でした。
山田孝之と女の子。じみな雰囲気が漂う映画の表紙で、全く内容はよく見ずに、重松清が原作ということで好きなので手にとり見た。
10年の父、健一と娘、美紀の日々。
父子家庭、保育園時代の赤子のからの男手だけの仕事を持ちながらの子育て、大変だろうなあ。
義母、義父に預けてしまうのが、当然と思いそうなところだが、孤軍奮闘する父親像に頭が下がる思いです。責任感が強い主人公。良いお父さんだ。
保育園で様子の変化があった場面などが印象的。幼児の細やかな気持ちの動きなど子育てであたるような悩みを丁寧に描いている。ケロ先生ナイス。
美紀は、小学生になり、母親が家にいると元気に話すが、教員が嘘はいけない、現実を受け止めなくては、なんて健一に話にくる。なんちゅう無神経で馬鹿な先生なんだろうなあ。わざわざ忙しい中、両者、時間をとって話しているのに、こんな話をしにきたのか、ため息が出た。何故、美紀がそう話すのか理由を考えてみたり、聞いたりするのが順序だろうに。想像力の欠如とは罪深い(>ω<)
しかし終始お父さんと娘の関係性が微笑ましかった。
終盤、10年たち、ななえ、が登場。アイドルタレントだった広末涼子も40くらいになったんだな。いい女優になったなとしみじみ。
死産した過去を持ちながら、健一に好意を寄せ、親しくなり家族ぐるみの付き合いになっていくが、美紀が気持ちが追いつかず、身体症状を出してしまう。
しかし、健一のアプローチもあり、最後に、不意に、「ね、お母さん」とななえに語りかける美紀。一瞬、空気の止まる健一とななえ。ここはウルっときました。
義父義母が、優しく、息子なんだと言って、受け止めてくれ、家族の変化や、美紀、健一、ななえ、にも寄り添ってくれる。なんとも温かい親族ですね。
美紀の役を3人が年代ごとにリレーしていったが、みな迫真の演技で子役って、すごいねと唸りました。
僕は父子家庭なんて、それも幼いうちからは、無理だなあと思ったりはするけど、なかなか良かったです。
義父に対して、健一が、美紀に義父の辛い姿も見せるべき、成長させてほしい、と語りかけるシーン。私達親子は、朋子がいない家庭で、いつも悲しみは消えないけれど、乗り越えるでなく、付き合ってきたと話す。
ナルホド。悲しみは無理に忘れようとか、乗り越えるでものでなく、つきあうものなんだなと、かなり真を突いた人生訓だと経験上思い、納得、学びを得ました。やはりさすが、重松清の原作だね。
れいすけさん
『騙し絵の牙』にコメントいただいていたのに見落としていました、すみません。
確かに森浩美さんは作詞家としての活動の方が有名ですよね。SMAPの数々のヒット曲やトシちゃんの『抱きしめてTONIGHT』なんかが有名なのと、短編小説ばかりなので映画化が難しいのかもしれません。文庫で立ち読みできるくらいの長さなので一度挑戦してみてください。泣けますよ、多分。
れいすけさん、フォローありがとうございます。
私も本名にコレ入ってますw
この映画、美紀にとっては母は家に居るんですよね。仏壇の中だとしても一緒に生活してる位の距離感に。教師は想像力ないなぁと情けなくなりました。
れいすけさん
共感&コメントありがとうございます。
美紀が不意に「ね、お母さん」とななえに語りかけるシーン
れいすけさんのレビューを読んでまたウルっときてしまうまだまだ成長途中のオヤジです。
私にとって重松清さんは森浩美さんと並んで涙腺崩壊作家です。
れいすけさん、コメントありがとうございます。
健一にとって、美紀が文字通り
「忘れ形見」 であり、
「生きる力」 でもあったでしょう。
義父母に預ける選択肢は
健一の頭に最初から最後まで、無かったのだろうなと
そんな風に思います。
※何より彼は 「勇者」 ですから☆ …別の世界のお話
れいすけさん、コメントありがとうございます。
俺も重松清原作の映画は大好物です。
と思っていたら、まだ見てないのがいっぱい・・・しかも配信なし!
じっと我慢して放映されるのを待ちます・・・