劇場公開日 2020年2月7日

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「何重にも嘘が張り巡らされていて、観客も踊らされる」グッドライアー 偽りのゲーム スクラさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5何重にも嘘が張り巡らされていて、観客も踊らされる

2020年3月6日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:試写会

知的

難しい

何が真実で何が偽りか最後まで観ないと分からない!

だました相手の人生なんて知ったこっちゃないと言い放つ冷酷な詐欺師をイアン・マッケランが、
夫を亡くし莫大な遺産を持つ寡婦をヘレン・ミレンがそれぞれ演じる。
英国を代表する大御所俳優の演技のぶつかり合いがすごかった。

イアンが演じる詐欺師ロイが本来の騙す側、
ヘレン演じるベティが騙される側のはずだったのに、「悪女」ベティによって実はその手で踊らされていたのはロイのほうだった。

ここまでは予告編で把握していたから覚悟して観ていたのに、
いったいどこまでが嘘でどこにそっと真実が隠されているかが最後の種明かしまで全く分からなかった。

悪女ベティことヘレン・ミレンに観客もまんまと踊らされていたような感覚。
ラストの彼女の笑顔は晴れやかなのに、観る人によっては(倫理的な意味で)もやもやが残る内容だったのでちょっとスコアマイナス。

その点も含めて、下の方にネタバレ含む感想・考察載せます。

以下、ネタバレの感想

オープニングすら観客をだましていたのではないかと2回目に鑑賞して思った。
黄色じみた紙にタイプ音とともにキャストやスタッフの名前が刻印されるオープニング映像とベティとロイがPCのキーボードを打ってチャットする場面が交互に映し出されるから、キーボードの音に合わせたオープニングの演出だろうと理解してたんだけど、そのオープニングに重大な嘘が隠されてた。オープニング映像をよく見てみると、黄色じみたただの紙じゃなくて、所々に文字が書かれていて、途中ではっきりと「1948年10月」って印字されているのを発見。
「1948年」は、はっきりと物語で語られ、重要なエピソードが起こる年なんだけど、オープニングで既に出てきていたとは・・・

見事に復讐を果たして、籠の中から解き放たれた「ベティ」の晴れ晴れしい笑顔がラストを飾るけど、「ロイ」は全身麻痺の車いす生活になってしまうので、「復讐のためなら何でもして良いのか?!」と考えてしまうところ。

スクラ