「映画「グレーゾーン」おそらく最長の感想を書く。(ネタバレなし)」グレーゾーン ヒロキさんの映画レビュー(感想・評価)
映画「グレーゾーン」おそらく最長の感想を書く。(ネタバレなし)
まず映画の率直な感想としてはとても楽しめました。
ただ私の楽しみ方や受け方はちょっと他の人と違う気がします。
ストーリーですが決して難しくはないです。すごく曖昧で難しい伏線や理解できない要素を言い訳にした「大どんでん返し!」と言った粗悪なものではないです。絶妙というかそれなりに気を張ってみてる人や、勘の良い人、映画を普段から見ている人には如何にも伏線っぽい描写でわかりやすいです。もちろん伏線回収時はちゃんとスッキリする。同時に「もしかしてアレはアレだったのか」みたいな余韻もあります。一緒に見た人と見終わった後カフェで話せるような考察要素もちゃんとあります。
映画の醍醐味である予告編のセリフの意味や主題歌の歌詞に込めた思い。ポスターの写真と実によく考えられてます。
もちろん映画タイトルがちゃんと映画の内容を物語っています。
この辺りはお決まりではありますが丁寧にやってあると嬉しいところです。
まだ見ていない人はその辺も楽しんでください。
次にキャストですが全員ハマり役です。続編やるならたとえ大物俳優起用する予算があろうがなかろうがメインはこのキャストで行ってほしいくらいです。所謂「ルパンファミリー」的な構成でとてもいいです。それくらい監督のキャラ、キャストに対する愛を感じます。見る側も好きになれるキャラ達です。敵に関してもどこか憎めないキャラ達というか、どことなくドジというか愛嬌があるというか・・・この辺りは仁科さんが上手いのかも知れませんが。
あとワンピースみたいに結局あのキャラなんだかんだ生きてない?見たいのもあって僕は好きです。
悪い点としてはやはりYOUTUBEのノリが冒頭にあるため、映画を見ている感覚になれたのは浪花ゆうじさんが出てきてからでした。わたしが動画で見てきた宏洋氏の印象が強すぎたのもありますが、この辺りは内輪ウケと取られても仕方ないかと思います。シリアスとギャグの切り替えも少し興ざめな表現もあり、映画の脚本がそこで破断しかねない描写であったため、ここは少し不満でした。
細かいところでは組の幹部が集まるシーンはもっとスケール感が欲しかった。あそこは100人とか大部屋にいないと組長の凄みが出なかったと思う(中村ゆうじさんは本当に上手いが)。使用人にしても組の規模に対してあの人数はさすがに微妙。暗殺が行われた組の屋敷は警備が万全だったといった発言があるが、お屋敷の庭から車が通るのが見えたりと、この辺はフィクションと割り切るには詰めの甘さを感じた。
YOUTUBERの出演シーンに関しては脚本を邪魔するほどではなかったものの、えらてんさんのセリフは知らない人には全く分からなかったと思う(個人的には懐かしい気持ちになれたが)
サプライズ的なキャスティングもなかったのでそこも惜しい(強いて言えばSidowさんか)。
良かった点としては作り手の愛をここまで感じる作品になっているとは思わなかった。最近の宏洋氏の動画の言葉を借りるなら実に人間味があって「泥臭い」作品でした。いい意味でダサさも荒もある。正直、見るまでは面白くないだろうなと思っていましたがちゃんと楽しめました。申し訳ないが好きな人が好きなことやっても面白くないことなんてよくあることで変に期待してもなと思っていたからですが。
他のいい点はストーリー、キャストのところに書いた通りです。
ここからはわからない人には全くわからないことですが個人的に言いたいこと。
そもそも公開できて見に行けたことに感動です。
公開そのものがかなり際どい綱渡りだったと思いますので公開できておめでとうございますと言いたい。
あと映画の中は2年前ですから仕方がありませんがキナクサーズが三人揃っていることが感慨深いというか切なかったです。派手に仲違いした人も時間で解決することもあるし、年齢が行くとお互いに理解できるようになることもあると思います。それでもぶつかるようでしたら是非「拳で」解決してください。
最期にこの映画が万人受けして誰からも好かれる映画か、流行るかどうかはそれこそ白黒はっきりしない「グレーゾーン」だと思います。
宏洋氏のことを上澄みだけ知って批判する人も正当な評価をしない人もいると思います。逆にファンは盲目でいい評価をするかもしれません(どんな作品にも言えますが)。
ただ私には凄く刺さりました。見て本当によかったです。
宏洋氏という人間を動画で見てきた私にはドキュメンタリーのように感じる部分もありました。
これからもいい作品を作ってください。
良い努力は必ず報われると信じています。
駄文長文失礼しました。