「痛みが人を強くする」ブラック・ウィドウ bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)
痛みが人を強くする
本作の予告編が流れだしたのは、確か2019年。あれからコロナの影響で随分待たされたが、ようやく公開。『アベンジャーズ・エンドゲーム』後のマーベル新作ということで、期待も高まる中、その期待に十分に応えてくれる内容だった。
これまで、アベンジャーズの一人として、どちらかというと、暗い影を引きずった孤高の戦士、といった印象が強かったブラック・ウイドゥ。彼女の幼き頃からの生い立ちと共に、なぜ戦士となったのか…、そしてアベンジャーズの一員として活躍することになったのか…、を描いている。
マーベルと言えば、アクションだが、今回も、ブタペストでの装甲車とのカーチェイスから、空中基地の戦闘、爆破まで、度肝を抜くシーンが満載。CGと分かっていても、手を汗握るシーンは、観る人を魅了する。しかし、今回はアクションだけではなく、ブラック・ウイドゥのナターシャを取り巻く、偽りではあるが、家族愛をテーマにしているところが斬新。とりわけ妹・エレーナとの絆をクローズアップし、ヒューマンティックなドラマとしての面白さも、備えている。
また、これまでのマーベル・ヒーローは何かしらの特殊能力を備えているものが多いが、ブラック・ウイドゥに関しては、怪力もなく、空を飛べず、糸もださず、普通の人間女性として、弱さもある中、逞しく成長し、危機を乗り越えていく強さを描いているところも共感できる。
ストーリーは、多くのブラック・ウイドゥを操って、世界を支配しようとするレッドルームを、ナターシャ偽家族が一致団結して、やっつけるお話。幼き頃は、ナターシャ達も、このレッドルームの一員としてスパイとなる訓練を受けていたが、その支配から逃れて、反撃していく。いくつか、観客を戸惑わせるサプライズが散りばめられており、「あれ? なに? どうして?」と思わせる「?」の演出によって、ストーリーに、まんまと引き込まれてしまう。
主演のスカーレット・ヨハンソンは、年を取った感は、肌に現れていたが、相変わらずの美しさと見事なアクションは流石。本格的なアクション女優としての地位を、確保している。また、妹役のフローレンス・ビューは、『ミッド・サマー』の印象とは全く違う、逞しく戦うアクション女優を演じていた。
今回、自分は普通上映を鑑賞したが、本作の本当の素晴らしさを体感するには、4DXがお薦めのようである。