「ナターシャをもっと好きになる」ブラック・ウィドウ デブリさんの映画レビュー(感想・評価)
ナターシャをもっと好きになる
ナターシャの素顔がたくさん見られてうれしかった。“妹”とのシーンもそうだし、アレクセイやメリーナとのシーンもそうなんだけど、正体が分かって以降のタスクマスターとのシーンで見せる動揺や葛藤も人間らしくて好き。調達屋とのシーンもいい。蹴っ飛ばしたり「私のベッドよ」って言ったり調達されたブツに文句を言ったり、力が抜けてる感じがかわいい。
姉妹のシーンが本当によくて。フローレンス・ピューは顔が短くて(言い方)、声がハスキーで、王道ヒロインとはまた違った感じなんだけど、主人公の妹だったら王道どまんなか。世界の妹。エマ・ワトソンとかシアーシャ・ローナンとかも候補だったそうだけど(若草物語縛り?)、絶対、フローレンスでよかったよ。そう思わせてくれるだけの演じっぷり。ポケットいっぱいのベストのくだり、かわいくて参った。公開前から先出しされてたヒーローポーズいじりも、わかってるのに笑ってしまう。
アクションも見心地がすごくよかった。人間が走り、人間が飛び、人間が戦ってる感が強かったので、いつものMCU映画より余計かな。野球で外野手がダイビングキャッチするのを見るとすごく気持ちいいのって、自分が知ってる(想像してる)軌道をずばっと実現してくれるからだと思うんだけど、この映画のアクションにはそれに似た快さがある。
ブダペストには一度行ったことがあって、ああいう旧市街のアパートみたいなところを見ていいなあ素敵だなあとため息をついたことがあるので、ちょっと複雑ではあった。ぎゃー、それ壊しちゃうの、という思いと、うぇーい、もっと壊れろ、という思いが胸の中でひしめき合って。それでもとにかく面白い画だったことは確か。VFX多用しているだろうけど、それにしてもよくあんなところでロケできたよ。さすが。
エンドロールの後のシーンは、制作サイドからファンへの慰撫みたいな意図を感じた。と同時にホークアイの単独ドラマへの引きも強烈に感じて、ちょっと複雑。「Disney+」に引っ張るのがね。でも、エレーナのことが大好きになっちゃったしなあ。困った。
星「0」をつけたのではなくて、星をつける行為を放棄しています。映画には感想だけ言って点数はつけないことにしているので。なお、映画.comの評点は0.5以上の星をつけた人の平均で算出されているようなので、私が星をつけなかったせいで評点が下がるようなこともありません。