「旬だったのだ。」ブラック・ウィドウ うそつきカモメさんの映画レビュー(感想・評価)
旬だったのだ。
内容はすっ飛ばして、まずプレミアアクセスについて考えてみた。公開延期に次ぐ延期で、当初の予定を1年以上伸ばされたワケだが、正直、映画館に行くか、配信で見るか悩んだ。配信のほうが、多少割高になるが、メリットとしてはいつでも都合のいい時間に、自宅などでくつろいで見ることが出来る。もちろん映画館まで出かける時間や手間もない。感染のリスクも防げるというところか。
いや、最大のメリットは「見逃し」をしなくて済むということだろう。
一瞬で過ぎてしまう迫力のアクションを何度でも繰り返して見られるし、ストーリーの複雑な流れを理解するのにも便利だ。マニアックな疑問としては、劇中使用された楽曲などのタイトルなど、エンディングロールを見逃せばもう調べようがない。マーベル映画にはカメオ出演などもよくあるだけに、ブラピやマット・デイモンがチラッと名前だけ見えた時なんか、「えっ?何の役で出てたんだろう…」なんてことがあったりした。もちろん、ネットで調べればたいていのことは判るのだが、基本的には、目の前を通り過ぎてしまう映像たちは、Blu-rayなどの発売を待つか、ダウンロード可能なデバイスに頼るしかない。
そうすると劇場で見る魅力って何だろう?
大画面で迫力の映像と最高の音響、空調の効いた快適な空間。親しい友人と共通体験。時に、笑い声や歓声が響いてくるライブ感。70インチのテレビが自宅にあるので、見たい友人を誘えば全部自宅で出来る。ポップコーンやドリンクも好きなだけおかわりできる。
もうこうなると、「早く見たい」という欲求を満たすことだけが最大の目的ということになりゃしないだろうか。
次に気になったこと。それは、この映画が本来予定していた公開時期の映画的な予備知識についてだ。『アベンジャーズ エンドゲーム』で尊い犠牲になった彼女が主人公として映画に再登板する。『スパイダーマン ファーフロムホーム』で一応「その後」が描かれているものの、どうやらホークアイとの間に浅からぬ因縁がある様子。それを補完する内容になるんじゃないかとか、スカジョが『マリッジ・ストーリー』『ジョジョ・ラビット』の2作品で主演、助演女優賞のノミネーションでキャリア最大の評価を得ている時期でもあった。
とにかく旬だったのだ。残念ながらもうその時間は戻ってこない。
2021.7.9