「コラ!コラ!コラ!」ミッドウェイ 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
コラ!コラ!コラ!
“破壊王”エメさんが太平洋戦争を描く。
これまでも散々、ド迫力の破壊スペクタクルを描いてきたエメさん。
冒頭、いきなり真珠湾攻撃シーン。爆発、爆撃、噴煙、沈没する艦…。
中盤にもマーシャル諸島でドッグファイト。
そして、運命のミッドウェイ海戦…。
昨秋、『TENET/テネット』と共にコロナ渦のハリウッド大作として劇場公開され、この大海戦シーンはどれほど観客の渇望を満たしてくれた事だろう。
ド迫力の破壊スペクタクルは初の本格戦争映画でも発揮され、申し分ナシ!
さすがエメさん!
“破壊王”エメさんが太平洋戦争を描く。
これまでも散々、アメリカ万歳を描いてきたエメさん。
冒頭、いきなり真珠湾攻撃シーン。多大な被害と仲間を失った米軍。鬼畜日本軍を絶対許せぬ。
米軍の反撃開始!
マーシャル諸島で勝利を納め、そして運命のミッドウェイ海戦…。
日米双方の視点で描かれていると言われているけれど…、
本当にそうかい…?
確かにトヨエツや浅野忠信や國村隼ら日本の実力派俳優を揃え、山本五十六司令長官や南雲中将や山口少将、ちょこっとだけだが東條英機や昭和天皇も登場させ、日本軍側のドラマも描かれている。
しかし、ある事に気付いた。
米軍側は下士官、若いパイロット、技術兵らのお決まりのような友情、身を案じる家族との愛、我々目線の人物のドラマがあるのに対し、日本側は“軍上層部”だけ。
この差ってどちらにドラマとして見れるか、感情移入出来るか、かなり大きいと思う。
日米双方って言ってるけど、結局は…。
そうでなくとも見ててもアメリカ寄りなのは誰でも分かる。(ついでにチャイニーズさんはお友達)
やっぱりエメさん!
まあ、つまらなくはなかった。
同じく“破壊王”のベイさんの『パール・ハーバー』みたいにヘンにラブストーリー要素は入れず、一貫。
見せ場沢山。らしさ全開。退屈はせず。
エメさん流戦争超大作!
だけどねぇ…。
日米双方の視点?
ご冗談を。
本当に戦争の真実…日米平等に双方の視点で描きたいなら、イーストウッドの“硫黄島二部作”くらいの意欲が無いと。
やっぱり、エメさんはエメさん(>_<)
某戦争映画のタイトルに掛けて言うなら、
“コラ!コラ!コラ!”
当初日本には東進(太平洋へ出ていく)計画は無く、愚策とされておりそれが常識でした。
陸軍戦争経済研究班、通称秋丸機関の分析からの戦略では、南進してからの西進となっていましたが、これが英米にとってそれなりに都合が悪いもので、特に米国にとっては参戦口実がなかったのでどうしても真珠湾攻撃のような工作で参戦口実を得る必要がありました。
軍令部も最初はインド洋あたりで戦い、仮に米が参戦してきても南洋において漸減邀撃が最適であると認めていましたが、ドゥーリトル空襲を口実にして山本が辞職をちらつかせて真珠湾攻撃をゴリ押しし、米内、永野らがそれをしぶしぶのんだという形になっていますが、此の二人は裏切り者です。
北進していれば米など全く参戦できず、ソ連は日独に挟み撃ちにされ、壊滅していたでしょう。
米上層部やルーズベルトが全然出てこないのは、コミンテルンと日本側の裏切り者の関係を描写したくないからです。
まぁ、これがエメリッヒ。
観る前から想像できるっちゃ、できるも。
なのに、日米双方の視点…って評価を流すパブリシティーが、コラ!コラ!コラ!(←笑いました)…ですね。