劇場公開日 2021年8月20日

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「沖田監督の映画が好きな人は絶対見ておくべき。たとえ予告編で興味を惹かれなかったとしても。」子供はわかってあげない kizkizさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5沖田監督の映画が好きな人は絶対見ておくべき。たとえ予告編で興味を惹かれなかったとしても。

2021年9月23日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

さすが沖田監督。傑作でした。押し付けがましさのない脱力コメデイは健在。
今年のベスト青春邦楽賞・候補。

惜しむらくはタイトルも予告編も全然面白そうじゃないこと笑
でも沖田監督ブランドを信頼していけば最高の2時間を楽しめます!

私は邦画のコメディは”いまコメディシーンですよー”、”こんぐらい大げさにしたら面白いですよねー”みたいなのが苦手。
でも沖田監督の作品はごく自然に笑いがある。このコメディ感は群を抜いてる。日本で一番好きな監督の1人。

幼い頃に別れた父親の行方探しを探偵に依頼。会いに行こうとするも怪しい宗教団体の関係者で……。

言葉にするとヘヴィでドラマチックな物語。
映像でみるとびっくりするくらい脱力系で超のんき。
漫画原作ありでも沖田監督の作品にしちゃう。意義のある映画化。さすが。

モブキャラかな?ってくらいに呆気ない出会い方をする登場人物にどんどんと愛着が湧いてくる。
対して魅力ありまくりの主人公・美波がどんどん映画をひっぱっていく。
見ててこんな気持ちのいい映画はなかなかない。
生理的に気持ちのいい映画。

爆笑の連続なわけではない。かといって始終ニヤニヤする笑いでもない。
見てる顔は無表情なんだけど”いまたしかに面白いコメディを見てる”って気持ちだった。自然なコメディ。

冒頭のアニメシーンはニヤニヤ笑いましたけど。どんなアニメやねん笑

ちなみに個人的に一番笑ったのは、スタッフロールでキャピキャピな劇中アニメソングの作曲/編曲が牛尾 憲輔さんだったとこ。音楽担当だから当然なんだけど……笑

主人公・美波を演じる上白石萌歌の魅力がすごかった。もうずっとかわいい。
女の子として素敵なのはもちろん、人間いや生き物として惹かれまくった。仕草や行動が完璧。
個人的2大主演だった『わたしは光をにぎっている』の松本穂香、『私をくいとめて』ののんと並んだ!

笑わせない面白さと心地よさのタッチで描かれるゆる~い世界。過去作以上にシリアスな重みをあえて描いていない。
だからこその日常の良さ。そしてそれでもにじみ出る深み。

そして最後のシーンがもうヤバいのです。はじめて自分の胸がキュンキュン鳴るのが聴こえた!
いままでの脱力具合ゆえに余計にキュン死3秒前。発狂しそう。もうヤバいのにさらにそんなことされたら。
ホアアアアアアアっ!!!!ホアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!

漫画的なキャラクター描写を実写にしても違和感ないのが素晴らしい。

原作漫画を軽く調べてみたらいくつか興味深いコマがあった。
漫画ではモノローグで表現されてる心理描写が、映画では表現されていなかった。
カットすることで別の作品、沖田監督作品にしてる。すごい

沖田監督の映画が好きな人は絶対見ておくべき。たとえ予告編で興味を惹かれなくても。

あのゆるーーい沖田監督ワールドに浸れることでしょう。美波の魅力にやられることでしょう。
そしてラストシーンで胸がキュンキュンって!!キュン!!キュン!!って!!!!!

kizkiz