「プロファイリングの有効性が裏目に出ている」リチャード・ジュエル 根岸 圭一さんの映画レビュー(感想・評価)
プロファイリングの有効性が裏目に出ている
英雄として囃し立てられた男が同時に苦悩する内容が『父親たちの星条旗』『ハドソン川の奇跡』のクリント・イーストウッド監督らしい映画。今作はそれらに並ぶ良作だった。前半の爆弾が発見されるシーンの緊張感と臨場感も凄まじい。いつ爆発するのかと観ていて怖かった。
今作はFBI=悪の国家権力という描かれ方をしている。確かにリチャードに対して捜査の書類にさり気なくサインさせようとしたり、犯人の発言と同じ台詞を言わせて録音したりと、やることが悪どい。だが、FBIがリチャードを犯人だと疑って止まないだけのプロファイリングのデータや今までの経験があるのだろう。
『マインドハンター』『FBI心理分析官』といった本ではプロファイリングについて解説されている。これらを読むとその有効性がよく分かる。例えば重罪犯は警察官のような権威に憧れるといった記述がある。それも今作のリチャードの特徴に合致している。今回の事件はプロファイリングの有効性が裏目に出ている。
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みかずきさんのコメント
2025年3月1日
フォローありがとうざいます
私、2015年くらいから、キネマ旬報、kinenote、Yahoo検索、地元紙などに映画レビューを投稿しています。現在の目標は2回目のキネマ旬報採用です。こちらにサイトには2022年2月に登録しました。
宜しくお願いします。
本作、本来はシンプルではっきりしているはずの真実が、現代社会の情報過多&多様化でいかに見難くなっているかを問題提起した作品だと思います。イーストウッド監督から現代社会への警鐘だと感じました。