「スポーツ大国=ロシアの闇が浮かび上がる」オーバー・ザ・リミット 新体操の女王マムーンの軌跡 清藤秀人さんの映画レビュー(感想・評価)
スポーツ大国=ロシアの闇が浮かび上がる
完璧にフープを操ろうとする新体操選手が思わず手を滑らせた途端、練習場に場違いなブランド服で着飾った鬼コーチが現れ、聞くに耐えない罵詈雑言を投げつける。間に挟まれたトレーナーが中間管理職みたいに凍りつく。ロシアの新体操を取り巻く恐怖の実態を克明にリポートするスポーツ・ドキュメントからは、画面には直接姿を現さないスポーツ大国=ロシアの、スポーツを国威掲揚の手段に使ってきた矛盾の本質が、薄らと見えてくる。勝つためなら手段を選ばず、選手自身の尊厳は後回しにする。。。ことは新体操だけで終わらない。長引くドーピング問題、女子フィギュアスケートの目まぐるしい主役交代劇、等々。ここには、スポーツファンが長らく抱えたきた疑問に対する答えが、さりげなく提示されているような気がする。
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